さて、ここまで、細かく音程構造を見てきたが、これ以後も、ここまで見てきたように、モティーフA・B・Cまたそれぞれのvariationを中心に曲は進んでいく。広い意味での変奏曲といえるだろう。それが作者本人の説明にもあるとおり、「単純な(旋律的)動機が、ちょうど庭園の小径のように、風景の微妙な変化の中を進んで行く。」ということだろうということは簡単に想像がつくというものである。しかし、この曲は、音列作法で作曲されているわけではないので、全ての音がこれらのモティーフだけで説明できるものではない。そこで、これ以後の部分は、大まかに音楽をとらえ、それぞれのモティーフに関連深い物を書き出した。(総譜-A参照)
特徴的な[完全四度]
モティーフAについても言えることであるが、モティーフBにおいては顕著に現れている完全四度の多様である。モティーフAの出現だけとってみても、最初はG音から始まり、二度目、三度目はC音から、四度目はその四度上のF音から。モティーフAの頂点はさらに四度上のBbから始まっている。その後デフォルメされたモティーフAの冒頭部が初めの役目(ミュートを付けた音色)で奏され、モティーフBを拡大したようなフレーズでこの曲の頂点を迎える。長く伸びた最高音は次第に遠ざかってゆき、テンポが落ちて、最後にモティーフAがミュートを付けた弱音で奏される。
[短六度]
細かく分析を施した冒頭の三段目以降については、この曲の中心的な音程とも言える完全四度以外の特徴的な音程に注目してみたい。原譜に短六度が導き出されたことはこの章の始めの部分で触れたが、四段目あたりから短六度(±8)が頻出する。その段のC~Ab G~Eb。原譜五段目、Bb~F#(これは、増五度であるが、+8)C#~A。
その後、モティーフA-variationと短いモティーフCが奏され、強く印象づけるようにF#~D~Bbがリズムの変化を伴って二度続けて奏された後、大きく拡大された前半部を持つモティーフBが高音域で力強く奏される。
[増四度]
この後もしばらくは短六度(増五度±8)を印象づけながら進行してゆくが、ミュートを付けて奏されるモティーフの交替とともに、その役目を増四度(減5度±6)に譲ってゆく。
曲の最後2段については、これでもかというくらいこの音程が頻出する。D~G# C~F# 続けてC~F# F~B F#~C Bb~Eこの中で印象づけられる音はCとF#である。そのため、曲最後のFは終止の機能を果たしていると言える。
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