1999.08.01.
★「渋谷タワーレコード in store live」★

渋谷タワーレコードB1・STAGE ONE

・・・・・みやもり

タワーレコード渋谷店地下、STAGE ONEでのインストアライブ。
ここは今年5月くらいに改装してライブハウス仕様になり、とても音響が良いので楽しみだった。 今まで4回くらいインストアライブをここで観ているが、肌で感じるライブ開始前の観客側の期待感は この日が一番だった‥‥もちろん自分もそうなんだけど。

ステージには中央やや奥にパーカッション、手前左右にイスが二つ。 コンガだけでなく、ボンゴにもおどけた表情のペイントが目立って いてそれだけで笑えてしまう、困った。
バッファローTシャツを着た司会の男性が登場。まずは「牡牛座ラプソディ」 のVCを鑑賞、初めて目にする方も多いと見えて、要所要所での会場の反応が可笑しかった。

ちょっと空気もほぐれたところへ「牡牛座」をBGにギターを抱えた二人と山口ともさんが登場。
弟はいつもの泰行カラーのシャツとジーンズだが、兄はペールオレンジのシャツになんと、初めて見る短パン姿!しかもかなり短め(見てるだけで内心少し動揺:笑)、たしかに今日は暑いけど‥‥(笑)。 ムッシュ・トモは辛子色のシャツにタイを締めて一番スタイリッシュ、流石!

二人で顔を見合わせ、弟「‥‥やりますか。」こっちまでいきなり緊張してくる。
一曲目は「風を撃て」。弟はアコースティックギター、兄はいつものギブソン。 最初、兄がおそるおそる弾いている感じが少し気になったものの、普段のライブでは聴けない編成に一気に引き込まれる。音数が少ないので曲の骨格がはっきりわかって魅力がダイレクトに伝わってくる感じ。アコギもちゃんと聴こえて音のバランスも良い。
ともさんはコンガとタンバリン中心でこれが全体をグっと引き締めていて効果的。
なにより、泰行氏の声の魅力が前面にでていてこちらを惹き付ける。なんといったらいいのか、マジックのようなものがあるのだ、生の彼の声には。誰しも聴き入ってしまうような‥‥。
うーん、いいなあ。場内いきなりうっとりムード一色(笑)。曲があっさり終わってしまうのが惜しいほど。拍手にもそれがあらわれていたと思う。

「こんばんわ‥‥キリンジです」兄によるちょっとしたMC?をはさんで
(二人とも、慣れないイスがあまり落ち着かなかったらしい)
弟「じゃあ、やりますか。‥‥適当に」

しっとりしたアコギに兄のギターがからんできてもしや?
テンポ遅めの「双子座グラフィティ」だ!思わず胸が一杯になってしまった。
ひときわやさしい泰行氏の声が会場中を包み込む。この曲のロマンチックな面がいつもより際立って素晴らしかった。またしても、このまろやかな声の持つ力を思い知らされるよう‥‥。

兄にうながされて弟から曲紹介。
「‥‥ちょっと遅い感じでしっとりとやってみました。」
それにしても、いつも身もフタもないMCですねえ、お二人さん。そこもいいんですけど。
ツアーに関するMCをはさんで、兄「新曲やりましょうね」

ともさんが口に赤い笛をくわえてスタンバる姿に会場中が小さく衝撃を受けつつも、期待感一杯で待つ中、イントロが始まり‥‥わォ、「唐変木のためのガイダンス」だ〜!
まさか本日登場するとは考えていなかっただけに嬉しい一曲!
‥‥と思ったら高樹氏にハプニングが。会場が沸き、程よく緊張がほぐれてかえって良かったくらい。
御本人はそれどころじゃなかったかもしれませんけどね、「ガンバレ〜!」って声も飛んでいたし。

仕切り直してスタート、こういう曲ではともさんが大活躍!本日初の兄によるコーラスも登場!でも入ったり入らなかったりではもったいないし、できればファルセットにチャレンジして欲しかった。
とはいえ、サビのギターソロはバッチリだったし、曲事体の持つ楽しさもちゃんと伝わってきたし、3人でここまでならば十分満足。

拍手の中、一拍置いただけで兄のギターが飛び込んだ曲は「茜色したあの空は」
会場からも歓声が沸き起こる。テンポは丁度CD収録ver.くらい。この曲でも特にともさんのコンガが効いている。泰行氏のヴォーカルものびのび、このヴァージョンいいよ!
ただ、間奏部の兄のギターソロはフェイク気味がかえってちょっと苦しかったように思う。10日後にまた観られるのでそのときまでにはヨロシク!高樹さん!
ラストはバッチリタイトに決まった!バンドの時とはひと味ちがうブルーグラス風?これも好きだな。

ほんわかと暖まった会場の空気に反して?弟があくまでも平熱で
「ここでちょっとギターをチェンジしまして‥‥はい。」
思わずこっちが微笑んでしまうこの雰囲気。弟が抱えていたアコギを兄に手渡し、自分は、と見れば足元にあった紙を手にしている。新曲は歌詞を見ながら慎重に、ということね。
兄をうかがいつつ、「次が一応最後の曲ということで‥‥これも新曲です」 もちろん会場からはそれを惜しむ声が。
唐突に弟「今日はありがとうございました。」その挨拶は、まだ早いんじゃないのか?
「‥‥並んでいただいたようで。」こういうところに出る人柄って、音楽にも出ているとほんとうに思う。なぜか嬉しくなった一言。

二人で顔を見合わせ、兄のカウント〜やさしいフレーズで始まったのは「耳をうずめて」
会場中が静かに息をのんだようだった。今思い出してもあの空気は忘れられない。もうなにも言うことなんてありはしないのだ。こちらはその世界に思う存分溺れるのみ。
ただ、弟がやや遠慮がちに歌っていたように感じられたけれど、これも回数を重ねれば解決すること。歌や演奏がもっと完璧になったら‥‥と思うとちょっと恐ろしいような気さえする。

曲が終わるや否や「ありがとうございました。」ややぶっきらぼうに弟。
もうちょっとだけ、曲にひたらせてくださいな(苦笑)。
 
このあと、一旦3人がハケてひと呼吸おいてから、二人が再登場。事前に観客から集めた質問コーナーに移り、かなりくだけたトークが楽しかった。
中でも印象的だったのは、「Drive me crazy」の一節からの質問、
”キリンジのお二人はキスが上手ですか?”に関して、 「僕ら二人がどうかということはこの際置いて(苦笑)、」と前置きした後、
「『キスの下手な女』って、憐れを誘うでしょ?愛されてない感じで。」
と高樹さん自ら解説してくださったこと。やはりひっかかってしまうところには周到にワナが仕掛けられているらしい、あな恐ろしや(笑)。

インストアツアー一日目ということで、弟のヴォーカルは新曲では真価を発揮し切れていない感が少しあったし、兄のギターにも少々物足りないところが残った。
兄のコーラスが1曲しかなかったのは良かったのか、もったいなかったのか。もっと聴きたかった気もするし、ないのはないで今回は良かった気もするし。できればもっとコーラスが入ったのも聴いてみたいところ。

ちょっと辛口なことも書いてしまったけれど、東京では8ヶ月ぶり、個人的には初のアコースティックでのキリンジのライブには大満足だった。正直、余裕があったら名阪までも行ってしまいたいほど。でも、8/10の冨田さんとのステージ、11のHMVでのインストアもあるし、それまでにはもっと素敵になるだろうキリンジを楽しみに待つことにしよう。

そうそう、最後にタワー渋谷店で「47'45"」を購入した人にサイン入りリーフとステッカーがプレゼントされたのだが、できればキリンジから手渡して欲しかったなあ。
ライブ事体は購入しなくても観られたとはいえ、ぜいたく言ってます(笑)?
CD購入時に引換え券をもらえなかった方も少なくなかったようだったし。
 
出演‥‥堀込泰行/vocal, acoustic guitar
    堀込高樹/guitars, chorus
    山口とも/percussions

 ●Play List

 1.風を撃て
 2.双子座グラフィティ
 3.唐変木のためのガイダンス
 4.茜色したあの空は
 5.耳をうずめて



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