*今回、セットリストに高樹さん&泰行さんのギター、そして冨田さんの担当楽器も見ていてわかった範囲で書き添えてみました。キリンジお二人はおそらくこれで合っていると思いますが、冨田さんのはちょっと自信ないです(笑)。
もし、気付いたことなどお有りでしたら、ぜひメールかBBSへお知らせください。
*Thanks to : かきのきさん、メレンゲさん、よこせきさん
●Play List●
Opening BGM:Shurrasco(渋公のみ、会場ごとに異なる)
高樹さん 泰行さん 冨田さん
01.風を撃て Gibson ES-335 Shecter(エレアコ) Gibson ES-335
--M.C.(挨拶のみ)
02.双子座グラフィティ | | Key.
03.雨を見くびるな | |(イントロのみKey.)Gibson ES-335
04.ニュータウン | | Key.
05.B.B.Q.パーティ | | |
--M.C.
06.耳をうずめて Martin Acoustic | Gibson ES-335
07.メスとコスメ Gibson ES-335/Fender Telecaster |
08.アルカディア | | Key.
09.むすんでひらいて | | Godin?(エレアコ)
10.ダンボールの宮殿 | | Key.
--M.C. (ここまで)Telecaster
11.君の胸に抱かれたい | Shecter |
12.牡牛座ラプソディ | | |
13.車と女 | | Gibson ES-335
14.エイリアンズ | | Godin?
--M.C.
15.イカロスの末裔 | | Gibson ES-335
〜16.グッデイ・グッバイ | | →Key.
17.あの世で罰を受けるほど | 後奏中Shecter→Telecas 曲中Key.→Gibson 335
--M.C.(ひとこと)
18.サイレンの歌 | Shecter Key.
--encole
19.悪玉 Martin Acoustic/Shecter Key.
20.銀砂子のピンボール Gibson ES-335 | 曲中Key.→Gibson 335
(Special Christmas ver.)
21.千年紀末に降る雪は | | Key.
出演‥‥堀込泰行/vocal,guitars
堀込高樹/guitars, vocal
冨田恵一/guitars,keyboads,and more
立川智也/bass
嶋村一徳/drums, chorus
大山泰輝/keyboads, chorus
音川英二/sax, fl, chorus
そふぃあさん
何故冨田氏は素足なのだろう?忙しさのあまり洗濯が滞りがちな殿方が最初にきらす着
替えは往々にして靴下であるが、その間、下着はどうなっているのだろう???
まあ、パンツの話はさておき、キリンジ「Tour 2000”Pt.3では“キリンジ第3のメンバー”冨田氏の参加が注目された。丁寧に練り上げるレコーディングでのサウンド創りの中核を担う人物だけに、キリンジ+大山氏、音川氏、嶋村氏、立川氏という、もはやサポートメンバーの位置付けを通り越し、“ライブバンド・キリンジ”の枠組みを確立したバンドサウンドにどう加わっていくのか、予想として実はシーケンサー類に囲まれた冨田氏の姿を想像していた。
しかし、いつものキリンジのライブよりさすがに広く感じる渋公のステージ上にいたのは、プロデューサーではなく、一人のミュージシャンとしてバンド・キリンジに迎え入れられたことが、誰よりも誇らしく嬉しい冨田氏だったように思う。
一曲目の“風を撃て”から演奏に溢れる彼の笑顔に素直に感激した。キリンジのこの1年
の成長ぶりの、何よりの証しに思えたのだ。
私の位置からは、泰行氏と高樹氏のアイコンタクトぶりが確認できた。このお2人、兄弟なのに相変わらず息合わず(笑)。最初のMCでも弟が兄に相槌を求めていたにも関わらず、お兄さんはギターのチューニングに没頭してまるで気付いていない(笑)。その必死の
チューニングのおかげか、全体を通して高樹氏のギターは安定して聞けた。冨田氏の参加
もあり、ギター演奏への自覚を促されるところもあったのかもしれない。フロントマン泰
行氏の株がうなぎ登りの一年だっただけに、ライブで高樹氏が何をしていくのか、来年に
向けてのポイントの一つだろう。“メスとコスメ”でのリードヴォーカルや、“お兄さん、たまにはデュエットしますか”(MCより泰行氏言)との“悪玉”等、何かに付けて毒を盛りたがるイメージのある高樹氏だが、密かに懸命でもある試みに思わずニヤリとさせられる。
対照的に、ついこの間まで何処を見ているかわからなかった(笑)ステージ上での泰行氏
の視界は格段に広がった。“砂漠の月なら〜”と思わず高樹氏の詞を間違えても、兄の表情を確認する余裕まで(笑)。バンド全体をリードしていく姿は実に頼もしい。“イカロスの末裔”が山になると予想していたライブの構成も、実は“あの世で罰を受けるほど”に個人的にはノリをさらわれて驚いたぐらいだ。
率直に言って、オーディエンスに見守られている感の強かったキリンジのライブは、渋公全体を暖かい雰囲気で包み込めるぐらい懐の深いものに広がった。斜に構えているようで生真面目な高樹氏の演奏も、実は吹き出し口が丸見えだった(笑)“千年紀末に降る雪は”での雪の演出も、クリスマス騒ぎに浮かれる街に乗せられたわけではないが、全部含めて素直に楽しくていいんじゃないかな、と思えて、両手を綿雪に差し伸べた。
世紀末の大団円と呼ぶにふさわしいライブ。個人的に選ぶベストプレイには、“あの世で罰を受けるほど”とどちらを取るかさんざん迷ったが、“サイレンの歌”をあげたい。
「SCHNELL!!」のゆうじ!さんの言だが、“「3」のあの位置に収録されることによって真価を発揮した曲”であり、2000年のフィナーレにふさわしいように思う。20世紀が21世紀になるからといって、私たちを取り巻くものが突然激変するわけではない。大事に思えるものをそっと携えて「ただ歩いて」行きたいなと思えた。
2000.12.09. up
miwacciさん
キリンジ・ファンになってから、幾多の年月まさに光陰矢のごとし。あっ
という間に11月も暮れて師走突入。待ちに待ったXデー(笑)で
ある。
なんとなく、朝から元気があり余る。いつもなら余裕で遅刻をかますとこ
ろを、勤務先まで走ってみたり。1時間早退するからといって、休憩無し
で6時間ぶっ通しで働いてみたり。
さて6時に仕事を切り上げ、勤務地新宿から渋公へとダッシュ。共に駅か
ら遠いこともあって、時間的にかなり厳しい。おまけに週末ということも
あって、すごい人出だ。
人込みかき分け、信号無視して飛び込んだ渋公では、既に“shurrasco”
が・・・。「あぶーっっ」とつぶやきつつ、席の確認もせず会場の扉を開
けると、既に客電は落ち暗闇のなかだった。慌てて自分の席を探すが、暗
くてよく解らない。こんな事なら入口でしっかり確認してくるんだった。
あわあわしていると、先に着席していた友人たちに声を掛けられる。あり
がたい。席も一番通路側だったので助かった。
席について一息ついた瞬間幕が上がる。“風を撃て”だ。それにしても2
階19列は遠いそして高い。ステージの面々の顔は肉眼でははっきり見ら
れない。そして思っていたよりも傾斜の度合がきつく、遠方から見下ろす
感じになる。早速持ち込んだオペラグラスで二人の様子をじっくり観察。
ヤバい、こんな奴周りに誰も居ない、と思いつつ。
ステージ中央に泰行さん、向かって右に高樹さん、左に今回ツアメンには
新加入となる冨田さん(裸足?)。事前に冨田さんに関する噂を聞いてい
たので、チェック入れなければと目論むが、お顔の方はっきり拝見できず
。けれど服装からして思ったよりもお若い印象。二人と同世代くらいかな。
(みやもり註:冨田さんは'62年生まれ。)
“風を撃て”のあと「どうも、キリンジです。皆さん楽しんでいって下さ
い。」というような泰行さんの挨拶。2曲目の“双子座〜”くらいまでは
ぽーっとしてる間に終ってしまった。
“雨をみくびるな”の大好きなコード展開は、生で聴いてもやっぱり心地
いい。アウトロの高樹さんのギタープレイにシビレる。
その後“ニュータウン”“BBQパーティー”と、畳み掛けるように
続いた後、一息。
2階の客席には当日券を買って入ったと思われる人達が、開演後も通路に
続々と押し寄せてくる。
赤い照明に一人照らし出された泰行さんが歌い始めた“アルカディア”。CDとは全く違う劇的なオープニング。この辺りから泰行さんの咽も暖まってきたようで、声がよく伸びている。思ったよりも動きながらギターを掻き鳴らす様子が新鮮。
続く“むすんでひらいて”“ダンボールの宮殿”と、ヤスギャルとしては
瞳孔開きっぱなし。“むすんで〜”ではイントロの"イェ〜"とも"ウェ〜"ともつかないかけ声も再現されていて嬉しい。キリンジの曲で唯一とも言えるラウドなギターを堪能、照明も凝っていた。
“ダンボール〜”は個人的にこの日で一番印象深かった。例え万が一バックが崩れたとしても、泰行さんの歌で引っ張って行ける力強さを感じた。
もちろんバックも崩れることなく、アウトロのセッションも完璧だった。ちなみに友人の言葉を借りると、泰行さんの声はCDではマット、ライヴではグロスだそうだ。
さて他会場では「もう少し喋ろうか」などという言葉が聞かれたというMC。勿論期待していたのだが、演奏のほうが絶好調なのとは裏腹に、すこぶる調子が上がらない。「(ホールだから)音の返りが悪い」らしく、二人で同時に喋りだしてしまったり(ラジオでもよくあるけど)。
メンバー紹介後、何か話さなければならないとは思いつつ、何も思いつかない様子の泰行氏。
泰「えーと・・・」
高「ほら通天閣の話しがあるでしょ」
泰「あー、そうそう、登ったんだよね、通天閣」
(みやもり註:高樹氏がツアー合間のオフ日に一人で行ったのだそう。パンフがペーパークラフトになっているとか)
高「ペーパークラフトもらって帰ってきて、作ったんですよ、この休みの
間に。で、ちゃんと今うちの玄関のとこに飾ってありますよ(笑)。」
泰「(笑)」
高「ラミネート加工までしようかと・・・」
泰「(聞き取れず)は?」
高「(はっきり)ラミネート加工」
(私もここで初めて聞き取れた)
泰「あーあー、滑舌悪いから」
高「すみませんねー」
泰「滑舌悪いし、音の返りも悪いし」
というような内容の兄弟トーク。噛みあってるんだか噛み合ってないんだか、よく解らないのはいつも通り?
ライヴもいよいよ佳境へと。楽しい時間はどんどん過ぎていく。この一瞬がこれほど惜しいとは、と何度感じたことだろう。
高樹氏のファットなギターリフでイントロが奏でられた“牡牛座ラプソディ”。ビデオで見た昨年のライヴでは、まるで歌えてなかった(失礼!)泰行氏だが、今回はばっちり。ようやく兄の難解な言葉遊びをモノにしたか。
名古屋では大合唱だったという“車と女”。渋公2階ではさすがに大合唱とまではいかないものの、立って踊る人が増えてきた。一徳さんのドラミングに惚れる(特にサビの"♪シルエット"の部分のハイハット)。
音川さんのサックスがいい感じの味付けになっていた“エイリアンズ”。泰行氏のファルセットはナマだとまた格別だ。
2階席でも自分なりに楽しめたのだが、“グッデイ・グッバイ”の時には前の方の席のはじけっぷりが特に羨ましく映った。
“あの世で罰を受けるほど”はCDよりも少しテンポが早く、ノリや
すいのが嬉しかった。
今回のライヴで、何度となく曲のアウトロで繰り広げられる高樹氏と冨田氏のギターソロ・バトル。片方が見事なギタープレイを披露すれば、相手ばかりにおいしい思いをさせられないと言わんばかりに、負けじとまた素晴らしいソロを披露してくれているようで、聴き手として嬉しい限りだった。
そして本編ラストの“サイレンの歌”。ホールに居る千人余りが、しんとして一丸となって一人の人間の歌に集中する。一体どれほどの人の目がウルウルしていたことだろう。
少し前に見たTVの公録のときには、フロントマンとしてステージの真ん中に立ち、バンドを引っ張っていく立場にある泰行氏に、多少の頼りなさを感じたことは否定できない。しかし今回この大きな舞台の上で見せた泰行氏の堂々としたフロントマン然とした態度は、本当に凛々しいと言おうか何と言おうか・・・。
グッズとして売られているTシャツに身を包んで再登場したメンバーたち。この大舞台に自分のTシャツを持ってくるのを忘れてしまったという泰行氏。やはり器が違う(笑)。
「じゃ、デュエットしますか」
という泰行氏の言葉で始まった“悪玉”。
“銀砂子のピンボール”では"♪楽しいから素直に手を叩くよ"という言葉のままに手拍子を。2階でもかなりの割合だった。
“千年紀末に降る雪は”の高樹氏ソロパートが大好きなわたしは、その部分を歌う彼を凝視し集中して聴いていたら、はらはらと白い雪が降ってくるでは(近くで見たかたによると、泡だったらしい)。なんて粋なはからい。ゾクゾクしてしまった。
キリンジの音楽を本格的に聴き出して約半年。まだ知り合ってそこそこの初々しい関係(?)なのだが、今年の後半は私の中では常に彼ら中心に世界が回っていた。そんな私にとって、この日は20世紀を締めくくるに相応しいイベントだった。と、勝手にさっさと20世紀を暮れさせてしまった。オレ暦の中ではもう既に21世紀が訪れてしまっているのだ。
2000.12.19. up