2000.07.22.
★ TOUR 2000/pt.2・神戸チキンジョージ ★

 

寄稿/KONさん

神戸は、東京と同じくらい暑かった。チキンジョージの近くには神社があり、木々がうっそうと繁っていてる。東京ではまだ聞こえてこない蝉の声に、たぶん、神戸でも歌ってくれるはずの「午後のパノラマ」が頭の中に鳴り響きだした。

今回、東京からの遠征で、神戸に来るのも初めて。ホテルのチェックインまで少し時間があったので、チキンジョージのある三宮など散策。街中を大きな蝶が優雅に目の前を飛んでいく。東京では見たことのないその光景に、今夜のライブへの期待感、そして暑さに一瞬、夢と現実が混濁する。

午後3時過ぎ、ホテルに向かう途中、チキンジョージにさしかかると何やら音楽 が…。近づくと、なんと「グッデイ・グッバイ」を歌う泰行さんの声! しかも音程が外れてる!?
思わずリズムを取り、中を覗き込もうとすると、スタッフのお兄さんに戸を閉められる。それでも嬉しくて「えー、なんか音痴じゃなかったあー!?」と叫びながらホテルに向かう。
たぶん、音がずれていたのは、壁などの障害物でそう聞こえたんだと思う。 泰行さん、叫んで、ごめんなさい。ほんの一瞬だったけど、サビを歌う泰行さんのあの声は、実は今回の遠征で一番耳に焼きついてるかもしれない…。

チキンジョージはオールスタンディングで800人位収容の、天井の高い箱みたい なライブハウスでした。今回、キリンジのライブは赤坂ブリッツ以来2度目。ブ リッツでは、ギャル系の女の子や、スーツ姿の男性、年齢層も人種も幅広いとい った印象だったけど、神戸は若い子が多いなという感じ。私も運良く2、3列目 に立ち、夢のようだと思いつつスタートを待つ。
遅れることなく、7時にスタート。時間ちょうどというところは、なんだかキリンジらしい。

グレーのTシャツにジーンズで泰行さん、登場。髪も丁度いいくらいに伸びていました。
3m先の泰行さんは、近くで見るとかなり小さい!! そして、かわいい!!
いつも大きなお兄ちゃんの横だから小さく見えていたのではなく、小柄なのですね。その小ささにも感動!。でも、ギターを弾く手は大きく、力強い。
高樹さんはブリッツでもきていたシャツ(に、私は見えた)姿での登場。
MCでの「神戸、初めてなので緊張してます。」とのコメントと関係してるかはわからないが、ギターの位置は、ブリッツとさほど変わらず高めだったような…。

MCでは泰行さんにスポットライトが当る。一人ライトを浴びながら、高樹さんに話を振る。しかし、高樹さんにライトが当らず真っ暗で、場内から笑いが…。しかもやっとライトが当ったと思ったら、オレンジ色のライトで、怪しげにオレンジに染まるお兄ちゃんはまたまた笑いをかっていました。お兄ちゃんのちょっとへそをまげたような、バツが悪そうな、笑ったその表情は少年みたいでした。

今思うと穴があくほど見ておけば良かったと思うのですが、ちょっと恥ずかしくて、ずっと直視できず…。そんなことでギターテクなど見入っていたのですが、改めて近くで見る「雨を見くびるな」の泰行さんのコードチェンジは難しそう!! 歌いながらあれを弾く なんて、本当にすごいなーと感動。
「水色のアジサイの上」では「ぽっと咲いてる〜」という所で泰行さんにスポッ トライトがあたり、「おっ!?」という表情の泰行さん。
「アルカディア」「千年紀末に降る雪は」「むすんでひらいて」「ダンボールの 宮殿」などキリンジのダークなナンバーを歌いあげる泰行さんに酔いしれる。
そして「午後のパノラマ」。少年っぽい感じのかせきさいだぁ≡バージョンとは違った、28歳の泰行さん等身大が歌うパノラマは、少年と大人の交じり合った感じでリアリティを感じました。目を閉じたら本当に夏のパノラマが広がっていくようでした。
「繁華街」は、初めて聴きましたが、すぐ泰行さん作と確信。
CD化されていないというのが信じられない! グルーブ感といい、それにのせるメロディといい、本当に良い曲書いてくれるなあ。
中頃のMCではすぐ曲にいこうとする泰行さんに、後ろの大山さんあたりからMCが短いとダメ出しされたようで、高樹さんが「件(くだん)」の話をしていました。何やら神戸にしかいない怪物(?)で頭が牛、体は人間で着物を着ているとの事。高樹さん、情報集めているらしいです。単純な私はその話を聞いて、その夜ホテルの窓から牛の顔が覗きそうでちょっと怖かった…。

アンコールでのMCでは高樹さんは赤のキリンジTシャツを着て登場!(泰行さんはそのまま。胸のあたり汗がうっすらと滲んでました。)そして、高樹さんは、Tシャツをアピールしながら「キリンジがキリンジTシャツを着ている」事に関する話をしていました。
泰行さんに話を振るものの無視されて、「人の話を聞いていない」と泰行さんに抗議するお兄ちゃん。しかし泰行さんにスピーカーを指差され、「君の声はここを通ってないから聞こえないんだよ」というような事を言われていました。泰行さんいわく、「普段は会話の出来る兄弟なんですけどね。」とのフォローあり。
しかし場内ざわめきたっていて、高樹さんも会場に向かい「この人達も全然人の話を聞いてない」と言い放って、みんなで話している感じが楽しかった!
Tシャツがサイズの関係で着られないのがあるという高樹さんの発言に対し、泰行さんが「俺は、どのTシャツでも着れるけどねー、はははは。」と声高らかに笑う場面もあり、おもしろかったな。
アンコールでは「唐変木のガイダンス」で泰行さんのギターの弦が切れるハプニングが…。泰行さんちょっと苦笑しつつ、ちらちらとバンドメンバーを見ていました。
しばらくして、お兄ちゃんの鋭い視線が、弟の方へ走ったような気がしたのは私の目の錯覚かな?
そのまま、アンコール最後の曲「銀砂子のピンボール」へと―。
切れたギターの弦をびよ〜んびよ〜ん揺らしながら歌う泰行さんを見れたのもちょっと価値あり!!
高樹さんの、最後の言葉は、「件の情報、待ってます。」でした。

今回のチキンジョージのライブでは、泰行さんの笑顔もっと見たかったなーという感じはしました。
でも、私としては泰行さんが言った言葉通り―
   「えー。今日はキリンジのコンサートを楽しんでいって下さい。」
キリンジの演奏を聴けて、キリンジやライブに来た人達といっしょに同じ時間を共有出来て楽しかった。
泰行さんの歌声聴けて、幸せでした。

ライブが終わり、次の日も朝から蝉の声が絶え間なくて…。
チキンジョージの横を通ったら、マーカーで色づけされた「キリンジ」のチラシ はまだ貼られたまま―
夏は始まったばかりなのに、何だか終わってしまった気分も感じながら、相変らず「午後のパノラマ」が鳴り響いている、私なのでした。

 
Play List

Opening BGM:Shurrasco

01.牡牛座ラプソディ
 --(挨拶のみ)
02.双子座グラフィティ
03.風を撃て
04.雨を見くびるな
 --M.C.
05.B.B.Q.パーティ
06.Drive me crazy
07.午後のパノラマ (高樹作・かせきさいだぁ≡への提供曲)
08.水色のアジサイの上
09.アルカディア
10.千年紀末に降る雪は
〜11.むすんでひらいて
12.ダンボールの宮殿
13.繁華街 (泰行作、CD未収録曲)
 --M.C.
14.君の胸に抱かれたい
15.野良の虹
16.耳をうずめて
17.茜色したあの空は
 --(挨拶のみ)
18.グッデイ・グッバイ
 --encole
19.休日ダイヤ
20.唐変木のためのガイダンス
21.銀砂子のピンボール
 
 
出演‥‥堀込泰行/vocal, guitar
    堀込高樹/electric guitar, chorus

    立川智也/bass
    嶋村一徳/drums, chorus
    大山泰輝/keyboads, chorus
    音川英二/sax, fl

2000.08.06. up



homeCDlivepaperson airreviewlinksinfo-BBSBBS