1項 表紙
2項 ミニ説法
寺報「清風」に引き続き柴田鳩翁の「鳩翁道話」(天明三年〜天保十年・心学者)よりの引用です。
サザエの話しをお説教でよく聞いたことがありますが、ここに出ていたのかと納得した話しです。
サザエという貝は、ごつごつしたぶ厚い貝で、しかも丈夫なフタがある。そこで、あのサザエは何かというと、うちからフタをぴつしやり締て、「丈夫な事じや」と思っている。鯛(たい)がうらやましく思い、「コレさゞえや。おまへの要害は大丈夫なものじや。うちからフタをしめたが最後、外からは手がだせぬ。さりとては何とも結構な身の上じや。」
と言うとサザエは、ヒゲをなでて、 「おまへ方がその様に言うてくれるけれど、あまり丈夫な事もない。しかしながらマアこうしていれば、まんざら難儀な事もない。」と、卑下自慢をしていた。その時、ザブリと音がした。サザエがうちから急にフタをしめて、じつと考えながら、
「今のは何だったのだろう。網であらうか。釣針であらうか。これだから要害が常にしてないと、どうもならぬ。鯛やすゞきは取られたか知らぬ。さても心もとない事ではある。だがまづおれは助かつた。」
と思っている間、時刻もうつり、「モウよからう。」とそつとフタをあげ、あたまをぬっとさし出して、そこらを見まわした。何とそこは勝手が違う。よく\/見れば魚屋町の肴屋の店に、「このサザエ十六文」と、正札がしてあった。
柴田鳩翁は、「ナント面白い話でござりませうか。「おれが\/」を引ひつさらへて、家も藏も、智惠も分別も、臺も後光も、丸で取られてしまうた事はしらず、気のどくなサザエ」と結んでいる。
身を守るために固く結んだフタが弊害となる。よくある話しです。
私たちは、まったく新しい時間と環境の中を生きています。生きる指針は、過去培ってきた経験です。しかし、あまりに経験に縛られると、サザエの様に、あとの祭りのなってしまいます。経験に凝り固まるのではなく、阿弥陀さまと共に、流れていく事が最良です。もし流れにくい自分に出遇ったならば、「南無阿弥陀仏」「南無阿弥陀仏」とお念仏を申すと、阿弥陀さまのいのちの流れの中に流れて行けそうです。
「心を弘誓の仏地に樹て、念を難思の法海に流す」と親鸞聖人は、この世を生きる極意を伝えておられます。
3項 今月の詩
濁れる水の流れつつ澄む
種田山頭火
山頭火は、明治15年、山口県に生まれている。11歳の時に母フサ(享年33歳)の井戸への投身自殺をまの当たりに体験する。
山頭火自身も42歳のおり、熊本の路面電車の前で仁王立ちする事件を起こしているが、これは自殺未遂だったとも言われている。
また53歳のある日、カルチモン(睡眠薬)を大量に飲み、寝入ってしまいます。やがて苦しみだした山頭火は無意識のまま縁側へ這えづり、カルチモンを吐き出し、転げ落ち一命を取り留めている。
大酒を飲みの山頭火。旅からもどった日、松山の庵で開かれていた句会の折り、皆は、いつものように酒によっている山頭火を寝かしつけました。句会が終わっても目が覚めることなく、そのまま死んでいました。59才でのころり往生と言われています。
そうした最晩年の松山で詠んだ歌が標記の歌です。「無駄に無駄を重ねたような一生だった。それに酒をたえず注いで、そこから句が生まれたような一生だった」と山頭火は最晩年の日記に書いている。
4項 上段 集い案内
4項下段 通信
本願寺関係のテレビ番組です。
番組名 放送予定日
■NHKスペシャル(49分)
「西本願寺 名宝ものがたり」 <総合>
3月23日(日)21時から
※国際放送も同時放送
<BSデジタルハイビジョン>
3月23日(日)7時40分から
■ハイビジョンスペシャル(60分)
「木と土の名工たち〜西本願寺御影堂大修復〜」
<BSデジタルハイビジョン>
3月15日(土)10時30分から
■ハイビジョンスペシャル(59分)
「西本願寺 白と黒の書院(仮題)」 <総合>
4月19日 16時30分から
<BS デジタルハイビジョン>
4月4日 18時から
■西本願寺の名宝
(1)「時をこえた信仰の美」(25分)
<総合>
4月6日(日)17時30分から
<BS デジタルハイビジョン>
4月12日(土)22時から
4月27日(日)21時20分から
(2)「桃山の華 王朝の美」(25分)
<総合>
4月20日(日)17時30分から
<BS デジタルハイビジョン>
4月19日(土)22時から
4月28日(月)21時30分から
■日曜美術館 教育 4月20日(日)予定
ハイビジョンとは、何チャンネルかと疑う人もあるかも知れませんが、総合がNHKです。
国立博物館で「本願寺展」を開催している関係でしょうか。わが家のテレビでじっくりご覧下さい。
合掌