1.1 階段電灯・・手動スイッチ式論理回路


階段電灯の謎

さて、始めですので論理回路とはいったいどんなもののことをいうのか、何をするためのものか、具体的な例で見てみましょう。


さて、右の図は2階建て用の階段についてる電気のスイッチの謎を解き明かすために用意されたものです。一見、なんの変哲もなく見えるこのシステム、実は意外と複雑であるのです。
1つの電気製品について2つのスイッチがついているということはよくあります。例えば、部屋の天井からぶら下がっている蛍光灯などでは、蛍光灯自体についているヒモがスイッチになっているが、部屋の入り口の壁にも電灯のスイッチがついているということはあるかと思います。この場合、2つのスイッチが両方ONにすると電灯が付くかと思います。

しかし、階段の電灯では、例えば1階のスイッチがoffであっても、2階のスイッチでonすることも、offすることもできてしまいます。
ちとどうなってるか、スイッチとその配線を考えてみてくださいまし。



謎の解明


と、まあ、すぐに解答なんですが、
実は右のような回路でOKなんですね。(あくまで一例だから他にも解答はあるはず)

さてここで論理回路について広い概念でまとめてみましょう。(う、えらそうだな まあいいか)

この回路で成されている事は、2つのスイッチの状態と、電灯のON/OFFの状態を、配線により対応付けを行うシステムであると、言えます。すなわち、スイッチという、入力手段と、電灯をon/offするという出力とを、ある特定の論理で結びつけるための回路システムが論理回路ということが出来ます。(ここではスイッチ間の配線自体が論理回路と言ってよいでしょう)


恐怖の三階建て

さて、3階建てにするとどーなるでしょう。これは、けっこー 面倒になります。私は、いろいろ考えた末、下の回路を思いつきました。たぶん、okのはずですが・・


どーでしょ。2階のスイッチは2回路連動型のものです。(ただしスイッチの向きは互いに逆)
2や3の連動多連スイッチは普通にありますので、実際に作れるかと思います。

ついでに、60階建てのも考えてみましょう。
と、思ったんですが、多分多難な前途が予想されます。
1.だいたい、そんなの考えるのが面倒
2.スイッチはどうなるの?


2.は、2階から3階対応へ回路を変更したとき、2連の連動スイッチが必要になったから、60階建てでは・・・を、予想してのことです。実際、工業用では右図のような任意合体増設型スイッチがあるので、いくら段数が増えても対応はできそうですが・・果たして人力で回るのかどうか。

さて、どうしましょうか。うーむ、論理回路って、こんなことばっか考えるんだったらやりたくなーーい、と思いましたでしょうか、いえ、実は複雑な論理回路を設計するためにも便利な手法があります。また、手動スイッチの場合は、多段になると重くて回せないですが、半導体などで論理回路をつくれば問題は解決します。


すこしだけアカデミック

ここで階段電灯の回路の動きをまとめて見ましょう。右の表は、真理値表と呼ばれるものです。

1階と2階のスイッチの状態(A側にスイッチを入れているか、B側に入れているか)に対した、出力状態(電灯がついていれば1、ついていないとき0)を表しています。
真理値表は、大変よく使う表です。
作られた論理回路の動作をチェックするだけでなく、設計をする際にも、まず始めにこのような表にまとめてから設計を開始するのが基本です。



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