MATERIAL

左官の材料の中でも一番奥が深くて面白いのが石灰である
英語読みでLIME、 ITALIA語でCALCEと言う
中でもイタリアでは料理のように色々な作り方をしている
また東ヨーロッパにあるルーマニアでは日本の漆喰のような使い方をしていた
それらの石灰と日本の石灰を比較してみようと思う


製造

石灰は石灰岩を焼いた生石灰に水分を与え粉状かベースト状にした製品である
そして空気中の炭酸ガスを吸収し結晶して炭酸カルシュウムすなわち石灰岩にもどる
生石灰に水蒸気などの少ない水分を与えると粉状になり生石灰を水中に漬けておくとベースト状になる

   
石灰クリーム   粉石灰   沖縄むち

分類

粉状石灰 粒子が荒く強度は弱いが収縮が少ない
ベースト状石灰 粒子が細かく緻密なため強度が強く表面が滑らかになる 収縮は大きい
水硬性石灰 水に反応して固まる 石灰とセメントとの中間の性質

仕上げ 種類

本漆喰 JAPAN 粉状石灰と海草糊と麻の繊維を混ぜコテで圧縮して仕上げる
土佐漆喰 JAPAN 粉状石灰に発酵させたわらをまぜてある
大津壁 JAPAN 石灰と色土を混ぜて塗る
紙すさ漆喰 JAPAN 粉状石灰と海草糊と紙の繊維を混ぜコテで圧縮して仕上げる
沖縄漆喰 JAPAN ベースト状石灰に藁をいれる
INTONACO ITALIA ベースト状石灰に細かい砂をいれる
ARICHYO ITALIA 水硬性石灰に荒い砂を入れる
漆喰磨き JAPAN 漆喰の上に石灰ノロを塗って磨く
土佐磨き JAPAN 土佐漆喰の上から土佐ノロを塗って磨く
大津磨き JAPAN 大津壁の上に紙の繊維と大津壁を混ぜて磨く
RAZARTA ITALIA INTONACOの上にベースト状石灰と大理石の粉を入れて磨く
MARUMORINO ITARLIA 石灰に大理石の細かい砂を入れて磨く
INTONACO ROMANIA ベースト状石灰に麻の繊維を混ぜコテで圧縮して仕上げる
ARICHYO ROMANIA 石灰に麦の繊維をいれる

素材

麻つた バーミキュライト 瓦屑 山砂
硅砂 白竜 寒水粉 レンガ砂
川砂 パーライト つのまた糊 粉顔料

海苔

本漆喰の海苔はつのまた海苔か銀杏草を煮込んで使う

 
水で煮る   つた合わせ

 



下地

壁構造 下塗り
ITALIA 石、レンガ 石灰、荒い砂
JAPAN 竹小舞い 土、わら
ROMANIA 石、レンガ、木小舞い 石灰、荒い砂、麦の茎


まとめ

日本では石灰に砂を入れて仕上げる事はあまり無いので収縮の少ない粉状の石灰を使われてきた
ヨーロッパでは厚くつける下塗りには粉状石灰で上塗りにはベースト状石灰を使う
その中間としてルーマニアの仕上げ方は注目するに値する

石灰で作られた壁は材料と手法を吟味して行えば2000年以上もつことはイタリアのポンペイの遺跡を見れば明らかである
またルーマニアの教会には400年前に描かれたフレスコ画が外壁に鮮明に残されている
それらの素材と手法を研究していけば理想とする壁仕上げが日本でも復元できるである。











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03/06/97