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体験記 NO.1012 栃木 星野富弘美術館
                                   佐藤俊彦
外出日 平成6年9月19日
 

  新宿の心身障害者福祉センタ−にお世話になっていた頃に、STのT先生にいろい
ろ参考になるお話や本をお借りして、自分を見つめ直した時期がありました。お借りし
た本には当時医学生だった石黒氏の「脳卒中 復学まで」、教師だった星野氏の「限り
なくうつくしき花々」、俳優の千秋氏の「生きるなり」・・・等があり、確か美術館の
事もお聞きしていましたが、場所と名前まで覚えていなくて行くことが出来ず、センタ
−を退所して1年になろうとしていました。

 たまたまテレビのニュ−スを見ていた時、皇太子と皇太子妃が群馬に行かれ「富弘美
術館」を訪問された映像が写し出されて、「ここの事だ」と思い、女房に話し長男の帰
省を待って車で出かける事にしました。

 長男の運転で、朝10時に自宅を出発して、練馬経由関越自動車道に乗って前橋で降
りて、わたらせ渓谷の狭い道路を通って目的地である草木湖の側に13時頃着きました。
こんな辺鄙な場所に立派な美術館がある事に驚きました。美術館の前には広い駐車場、
数台の観光バスが停まっていました。

 美術館に入って見ると平日にもかかわらず人、人で混雑していました。

 星野氏の作品は自宅の裏庭に咲いている様な花々を題材にされて、絵を書かれ、かつ
詩を書かれている。驚く事に首から下は動かず、口に筆をくわえて絵と詩を書かれてい
るだけでなく、綺麗な絵とお母さん、奥さんに感謝している詩が美しいと思いました。
少し照明が暗かったし、自分が車椅子で詩を読みにくいため、介護してもらっている妻
に全部小声で読んでもらいました。見終わった後、心が洗われた様で、本当に来て良か
ったなと思いました。自分の状態よりもっと厳しい状態にありながら、良く自分に打ち
勝ち、生きる喜びを感じられた事に感銘しました。

 美術館の1階から2階にエレベ−タ−で上がって見て、書かれた色紙の多さに驚きま
した。本を読んで後から知った事ですが、絵を書くのに奥さんの内助の功も計り知れな
いものがあったようです。1階のロビ−のところで詩集「鈴の鳴る道」を買って帰りま
した。 帰りは来た道とは違う今市経由東北自動車道を通り、途中で雹まじりの豪雨に
会ったが無事帰る事が出来ました。久しぶりに充実した1日で、長男に有り難うと言い
たい。
                                     以上

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