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リーガロイヤルホテル
■ザ・プレデンシャルタワーズ スイートルーム(スタイリッシュ・ラグジュアリー)■(2005年3月)


ホテル選び
長きにわたって大阪ナンバー1に君臨し続けてきたホテル、それがリーガロイヤル。
関西財界肝いりで戦前から運営されてきた伝統ある名門です。大阪エリアを中心に、
「結婚式を挙げるならロイヤル」「ロイヤルにおでかけ」「接待でロイヤル」という
感覚は根強いものがありました。

しかし、ザ・リッツカールトンホテル大阪が登場し、安閑とはしていられません。
残念ながらここでリーガロイヤルは規模メリットが弱点になってきます。
総客室数1000室弱、総収容人数1600名強と聞く規模は、建て増しに継ぐ建て増しが
作りあげてきました。古い部分はエレベーターのボタンも古臭ければ、建物の天井も
低く、廊下も狭い。メンテナンスをどれほどきっちり手がけたところで、リッツの
醸し出す非日常的な雰囲気を全館に作り出すのは難しい。
一方で、昔ながらの「何十年もホテルの一室で暮らしている人」が実在するのです。
ホテル広報誌には、バイオリニスト・辻久子さんがインタビューされてました。

1泊1万円以下のビジネス客から、有り余るお金の使い道に困っている富裕層まで
併せ呑んでしまう。それがリーガロイヤルなのです。

でもリッツや阪急インターナショナルなどに流れた層を呼び戻し、それらでホテルの
楽しみを覚えた層を惹きつけたい。おそらくそういうコンセプトで設けられたのが、
ザ・プレデンシャルタワーズです。

利用したプランは某カード会社の優待で、スイート3名¥54,000(税サ込)。
これがどれほどすごいのかといえば、タワーズフロアのスイートに1人あたり
¥18,000で泊まれてしまうってこと! 眩暈起こしそうな話ですよ。

もう嬉しくて、ワクワクしながらのお出かけとなりました。

ちなみに一休.comでは「特別フロア ホテルが選ぶスイートルーム(2名利用)」で
\55,000または\65,000の提供があります。(2005年3月時点)
1室につき1台までのエキストラベッドが\5,775という設定は、驚くべき低価格。
なぜならタワーズフロアにおけるサービス一式が、インクルードなのですから。


チェックインに至るまで
ザ・プレデンシャルタワーズへは、エレベーターのセキュリティを客室用の鍵で
解除する必要があります。チェックイン時はロビーフロアのスタッフに声をかけて
連れて行ってもらいましょう。他のフロアはカード式鍵のようですが、タワーズは
エレベーターを開錠するためもあって、重厚なシリンダー鍵になっています。

23階に設置されている専用フロントはパーソナルデスクが2ブースあり、スタッフも
最低3、4名が常駐し、同時に2、3組をさばける体制でした。繁忙期はさらに手厚く
配置されるそうです。
ちなみに、私が泊まったのは前日が満室、当日はガラガラという落差の激しい日でした。
なので清掃が追いついておらず、ラウンジでしばし待つことに。

ここで気が利いていたのは、3名それぞれのお祝い事を兼ねての宿泊であると言った瞬間、
即座に「ホテルからもお祝いの品をご用意いたします」。見事な反応でした。
また、パソコンを使うためのLANカード貸与を依頼すると、館内のネット環境全般や
それにともなう客室選択について説明がありました。

つまり23・24階(スタイリッシュ・ラグジュアリー)なら客室で無料の無線LAN利用可。
25〜27階(ヨーロピアン・クラシック)なら無線LAN不可。23・24階に持ってくるか、
客室のモジュラージャックからダイヤルアップ接続(有料)になります。
ホテルでネットを使いたいなら、条件が全く違ってきますよね。

利用プランの基本的内容は「タワーズで\103,950(税サ込)のスイートを提供」。
なので、スタイリッシュなら一体型コーナースイートかセパレート型スイート。
ヨーロピアンなら一体型スイート。その3タイプのいずれかに通されるだろうと
ホテルサイトの説明から予想していました。どの客室がいいなあと考えると、
3名の生活時間帯が微妙に違うからセパレート型の居住性がいいけれど、
ゴージャスなヨーロピアンも捨てがたい。眺望に優れるコーナーも気になるし。

しかし、同行者も含め全員仕事を抱えたままの泊まりだったので、ネット接続は必須。
そこでヨーロピアンは消え、セパレート型スイートを示唆する形でリクエストしました。

リクエストといってもとりとめのないやりとり。「ネットは要るよね」「メールは
チェックしないと」「3人とも動きがバラバラだからセパレートがいいかしら」
「エキストラベッドがリビングに入るなら誰がそっちで寝る?」
錯綜する会話にスタッフは口を挟みません。ニコニコしているだけです。
でも、こちらの言いたいことは的確に察知してくれましたね。

たまたま空いてたので、丁寧に対応する余裕があったのでしょう。一方、チェックイン
時間になっても清掃が終わってないのは、リーガロイヤルとして恥ずかしいこと。
端から順に清掃していて、私たちを客室に通すまで長引けば、不満につながります。
そこで案内する客室を早く確定し、客室係と連携しクレーム発生リスクを未然に防ごう
としたとも受け取れます。目に見えない部分でのサービスとして、高く評価できますね。

なお、24階には6畳ほどのフィットネスコーナーがありました。水も無料です。
血圧測定器なども完備。フィットネスクラブまで行くのが面倒ならここで手早く運動を
すませることもできます。


(左)ホテルからのプレゼント(中)廊下は2人が余裕ですれ違えるほどゆったり(右)入口からリビングへ

また、最近泊まったホテルの中では廊下の幅がゆったりしていることが印象に残りました。
リッツより体1つ分ぐらい広い感じでしたね。絵画などもフロアに合わせてモダンテイスト。


お部屋あれこれ
スタイリッシュ・ラグジュアリーのセパレート型スイートは61平米。
都会的な高機能と高品質が売り物の、とても洗練された内装が特徴的。

音響設備はバング&オルフセンで、後に地下のショッピング・アーケードにて
一式30万、40万クラスの値段がついているのには、ひっくり返りそうでした。
某指揮者の自宅に同じものがあったので、プロ好みのメーカーなんでしょう。
これが感知センサー付で、側に近づくと自動ドアのように透明カバーが開く。
うっかり前を通り抜けると、動作音にびっくりしてしまうのでした。
自動開閉機能付きの温水洗浄便座のふたみたいなものですね。
そのほかにもずらりと並んだテレビ・オーディオ類をあわせると約100万円の
装備になるかと思います。ちなみにさすが関西財界御用達ホテルだけあって、
家電製品の大半が松下電工製。ほかにも関西系メーカーの物品がちらほら。
(左)リビングから入口方向(中)本日の菓子は鶴屋八幡「薄雲」(右)高額な音楽機器がずらり。総額100万円ぐらい

リビングと入口の間は締め切ってしまうこともできます。ベッドルームと
リビングの間も同様。それほど重厚でもない木製扉ですが機能的。
とくにベッドルームと隔てる引き戸はテレビを付けていても音が響かない。
スグレモノの遮音能力でした。

そして、エキストラベッドはベッドルームになんとか入ったようでした。
ただ、ベッドルームにある液晶テレビ台がエキストラベッドの頭部に一部
かかっていたので、頭をぶつけないよう寝起きには多少気を使ったかな。
また、ベッドルームが3台のベッドで埋め尽くされてしまい、窓際のソファは
ほとんど利用しませんでした。しかたないですよね。
なお、リビングから鏡台前、ベッド脇を通り浴室に入る通路は十分に
確保されていたので行き来自体には問題なし。

ベッドの上にはそれぞれパジャマが置いてありました。藍色ベースの変わり織が
独特で、パンツ部分には脇にラインが入ってました。かなりユニーク。
他の布製品も地紋に凝っているものが数多く見かけました。こだわってますね。

(左)カラーデザインには力が入る(中)青系変わり織カバーの上にパジャマ(右)手前がエキストラベッド。ふかふか



浴室まわり
洗い場付きで、津軽産ヒバの来で作った桶と椅子が置いてあります。
液晶テレビや泡風呂可能な高機能風呂にあってちょっと不思議空間。
でも使いやすい構造です。青系統の小片タイルはやや安っぽいかしら?

(左)アメニティは籠にどっさり(中)タオルは1人分ずつ籠にセットされてます(右)トイレは扉がある独立型

洗面エリアはボウルが1つ。その分カウンタ部分が広く、小物をたくさん
広げることができます。タワーズ客室共通のアメニティも大量にありました。
入浴剤は6種類あって使い切れません。女性にはエルメスの非売品コスメが
用意されます。今回は「オー・デ・メルヴェイユ」のオー・ド・トワレでした。
きちんと宿泊メンバーの年齢・性別構成に応じた内容で、客室係と宿泊予約の
連携ぶりが、ちゃんと現れています。

(左)脱衣籠にも使用済タオル籠にも使える。上部はガラス棚(右)エルメスのグッズは時季によって変わるそうです




プライベートラウンジ

エレベータホールから見て、23階半分をフロントとラウンジに割いており、
とても広い。美術書やCD・DVDなどが置いてあるライブラリーは貸し出し可。
ただしイメージ重視で選択肢は狭いので、客室の音響設備で音楽・映像を
楽しみたいなら、持参したほうがよいでしょう。
隅っこには最新式マッサージ・チェアまであり、思わずニヤリ。繁忙期には
順番待ち状態になることもあるそうです。
(左)気持ちいいマッサージチェア(中)ライブラリーも混雑時には満席に(右)終日喫煙OKのスペース


ラウンジはほぼ全面禁煙。カクテルタイムのみ入口に近い10席ほどが喫煙可に
なるそうです。ただ居合わせた宿泊客は最大3組でその誰もが喫煙しなかったので
繁忙期になると多少様相が異なるかもしれません。

(左)ラウンジの最奥から全体を眺める(中・右)紅茶やハーブティはリクエストでスタッフが淹れてくれる

空いていたがために物足りなかったのはアフタヌーンティーのケーキ類。
ほとんど消費されないので、入れ替わらない! ホテイチのさきがけとして
名高いメリッさのスイートがいっぱい食べられるのだが、減らないものだから
当然追加されず、ちょっとつまらなかったですね。

(左)グラス類も重たい上質なもの(中)小菓子もフルーツ豊富で美味しい(右)ムースでした

また、11〜14時を「ティータイム」として食べ物をスイート系しか出さないのは
どうかと思いました。おかず類やサンドイッチはこの時間帯こそ食べたいですから。
14〜16時を「アフタヌーンティー・タイム」とするから、サンドイッチがそこに
回るわけで、名前に縛られすぎて実を失っている気がします。もったいない
11〜14時が「ランチタイム」で14〜16時が「ティータイム」という名称だったなら、
当然提供メニューが変わるでしょう。
おそらく館内飲食店のランチタイムとの微妙な関係があると推察しますが、
ラウンジ側にはもう一押しがんばってもらいたいですね。

カクテルタイムは4〜5種程度の小鉢・冷菜が出ます。リッツの物量作戦に比べると
かなり物足りないけれど、話しながらダラダラ食べているとすっかり満腹。



噂の朝食

ホテル宿泊記サイトでも、ホテル宿泊体験記を載せている雑誌でも、とにかくタワーズで
褒めているところといえば、ラウンジの朝ごはん。それも和食です。
産地を明記したふんだんな食材がずらりと並び、涎モノという印象がありました。
朝からご飯なんて旅館泊まった時ぐらいですが、今回だけは節を曲げて和食にトライ。
ええ、美味しゅうございましたとも。
かつて泊まった熱海・蓬莱旅館の和朝食を思い出す、繊細で薄味な本格的和食でした。
竹筒に仕込んだお豆腐もなかなか深い味わい。
和朝食派の方はもちろんですが、ふだんはパン朝食の方もチャレンジする価値ありです。

ちなみに洋食はハム・サラダ・パンなど一般的品揃え。目を惹くものは少ないかな。
卵料理を作るシェフが待機してます。みんな和食に走るのでとても退屈そうでした。
洋食派ならぜひ構ってあげましょう(笑)ニコニコしながら運んできてくれました。
(左)和食アイテムを一通り取るとこんな感じ(中)できたてオムレツ(右)パンケーキ



スイミングクラブ
今回最も度肝を抜かれたのが、「ロイヤルスイミングクラブ」でした。
タワーズに宿泊すると、\2,100の宿泊者利用料が要りません。
ホテルに泊まるとたいてい泳ぎにいく私としては楽しみでありつつ、それほど
期待はしていませんでした。
なぜなら相当古い施設だからです。格式は高いのですよ。名門会員制クラブで
「入会金約100万円・年会費20万円以上」というような敷居の高さが聞こえてきます。
一方、宿泊客に子どもが増える学校の休み期間にはとても混雑する、とも聞きました。
「昔ながらのホテルのプール」という漠然とした印象があったんですね。

たしかに受付から更衣室にかけてはとても古くて暗い。天井も低い。これはやはり
つまらないかも……と思ってプールに一歩踏み込んでびっくり。
撮影禁止なので、画像はホテルサイトの「フィットネス」欄を見ていただくしか
ないのですが、それらから想像するより広くて快適でしたね。

とにかく広い! 25mの競泳プールだけでなく、ほぼ同規模の勾玉型「シェイプアップ
プール」があるんですよ。つまりこれは回遊型流水プールで打たせ湯や寝湯もあり
ぐるぐる歩いているだけでダラダラ汗が流れます。とってもワタクシ好み!
天井もガラス張りで明るい! 壁面の一部は宴会場やレストランへの通路に面し、
礼装の宴会客や子どもがプールを覗きこんでいました。これまたちょっと不思議空間。

ハードのメンテナンスがしっかりしていて、建造年代を感じさせません。
もう1つ凄かったのは、床面壁面ほぼ全てに暖房が内蔵されていたことです。
どこを素足で歩いても、どこに寝そべっても凭れても温い。
これこそ非日常を感じさせる贅沢な空間でございます。

このプールには、リーガロイヤルの底力を見た!という気分になりましたね。
細長い建物に入居するリッツでは、絶対に実現できないのが、このプールでしょう。


浴室は機能的にできていて、高温・低温サウナを併設。とくに不便はありません。
パウダールームのアメニティも充実。そういえば、シャンプー類やアメニティは
1つ目のブースが資生堂なら隣はコーセー、といった形で分け合っていました。



1000のランプが灯る
プールのほかに、もう1つ目を奪われた光景がありました。それは1階フロント壁面の
在室状況を示すランプです。
およそ1000個の明滅するランプが、リーガロイヤルの蓄積であり、強みであり、
弱みでもあるのでしょう。
客室稼働率やサービスについて考える時、1000室級ホテルと200室以下のホテルは
裏腹な関係にあるように思えます。

また、広報誌や掲示物で、秀でた技術・才能を持つスタッフを顕彰する活動も盛ん。
書き添えてある彼らの経歴をよく読むと、入社以来リーガロイヤル系一筋という
社員がほとんどです。転職や中途採用が一般化していない頃から、ホテル業界だけは
人材流動性が高いとされてきましたので、ちょっとびっくり。
リーガロイヤルは定着率が高いのか、離職率が低いのか、人材獲得企業ではなく
人材輩出企業としてやってきたのか。とても興味深いところです。


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