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フォーシーズンズホテル椿山荘東京
■スーペリアルーム(シティビュー)■(2003年5月)
ホテル選び
パレスホテルに続いて泊まるべく、どこかいいホテルないかな、探していた時、
税サ込みで1室1名\29,000、1室2名\38,000の【レディスステイプラン】を発見。
1人あたり\9,000を追加してスイートに泊まるバージョンもあります。
朝食は\2.800相当の食券として機能し、アフタヌーンティーや昼食に振り替え可能。
12階のクラブフロアで提供するブルガリのバス・アメニティ・キットが用意されたり、
スパ利用権(1日\5,250)も付いておりを何度利用してもよいなど、かなり好条件。
ホテル好きなら一度は泊まりたいフォーシーズンズホテル椿山荘東京!(以下FS椿山荘)
ワクワクしながらホテルサイトから予約を入れたのでした。
ちなみに2004年12月現在【レディスステイプラン】はリニューアルされています。
よーじやのあぶらとり紙やルームウェアを部屋に置く一方で、オプション選択による
自由度が広がりました。
加えて、ホテル予約サイト一休.comでは、スーペリアキングダブル (シティビュー)に
1名1室でも2連泊\43,000で泊まれる【Escape to Four Seasons】を提供(2004/12現在)。
朝食もスパ利用権も付いていますので、ものすごくおススメ。
まわりを探検
ショッピングはロビーフロアで可能。エレベータホール脇からシーズンズ・ビストロにかけて
世界の雑貨を扱うお店やホテルショップがあります。エントランスから式場としての椿山荘に
向かう通路には、結婚相談窓口や引き出物を用意する百貨店ショップなどがズラリ。
エントランスから外に出ると、信号を渡った先に東京カテドラルが見えてきました。
カトリックの東京司教座、関東地区などを統括する東京教区長の司教座聖堂です。
1964(昭和9)年に竣工した建物とは思えない、コンクリート打ちっぱなしのモダンさ。
でも、十字架を象る敬虔な空間です。聖堂入り口から外を見ると、正面の法面には
「ルルド」がありました。ルルドにおけるマリアの奇跡を模した洞窟です。
建築や美術に興味がある方なら散歩がてら、行ってみてはどうでしょうか。
宗教施設ですから慎みを忘れてはいけませんが。
椿山荘から見て東京カテドラルの右手が獨協中・高、左手に歩いていくと日本女子大、
奥に東京音楽大附属高や筑波大学附属中・高、御茶ノ水女子大。椿山荘の背後、目白通りを
はさんだ向こうに早稲田大の大隈講堂やリーガロイヤル東京。学校だらけの文教地区です。
(左)東京カテドラル (中)聖堂前のルルド (右)撮影側後方に椿山荘の車寄せ。さらに奥がFS椿山荘の車寄せ
お部屋あれこれ
土地勘がないので最寄の駅からタクシーを使ったのですが、運転手が何度も
「旅館のほうかね、ホテルのほうかね」と確認してきたのが印象に残っています。
間違えて右往左往する人が結構いるのだろうか。ちなみにこの後の待ち合わせで
椿山荘ロビーにて「みんな来ない」と動揺していた友人が……椿山荘の罠(笑)
ただし、椿山荘とFS椿山荘はショッピングアーケード的な棟でつながっていますし、
携帯電話も通じるので、間違えても移動は難しくありません。
FS椿山荘のロビーへ一歩足を踏み入れると「黒と金と緑」の洪水に襲われました。
大理石系の黒色、手すりや装飾類の金色、そして、館内外に強烈なボリュームで
植物を配置しています。クラクラきますね。
チェックインはきわめてスムーズ。男性スタッフが担当してくれましたが、常に笑顔を
絶やさず、ソフト。館内レストランの予約などの手配が必要かなどを確認していきます。
宿泊日によってはとても混みあうので、決まっているならお願いしてしまいましょう。
(左)ロビー階のジャンクションといえる場所の要に盆栽を置く。そこが椿山荘趣味 (右)ソファあれば、緑あり
女性ベルスタッフは、部屋まで案内しながら追加で手配が必要なアイテムがないか、
いろいろ話を引き出そうとしてくれます。枕やオーディオ機器などのリクエストを
忘れていたら伝えましょう。すぐ動いてくれます。
(左)考え抜いた置き方(中)寝巻きはパジャマにあらず浴衣(右)揺れているのはサシェ
部屋はシティビューのスーペリアキングダブル。扉をあけて室内に一歩踏み込めば、
微妙に屈折した形の最奥に鋭角的な出窓とクラシカルなソファ、その向こうに青い空が
広がっていました。ガーデンビューだと広大な緑が飛び込んでくるわけです。
思わず、歓声をあげたくなるような視覚効果を計算した設計だと思いますね。
しかし両隣のお部屋がレースカーテンを全開にしている場合、こちらから覗き込めるし、
逆にのぞきこまれるケースもあるわけです。そのため、レースカーテンの開閉バランスに
ついては慎重にアドバイスしてくれました。
ガーデンビューではないので、雑多な町並みが広がります。直下にはスパのプールがあり、
透明な屋根部分に乗ってもそもそと動いている男たちが……おもしろい光景でした。
一方で、客室清掃スタッフをまったく見かけませんでした。大変な気遣いだと思います。
それに対して、パブリックスペースは維持管理スタッフが常に動いていました。
フロント近くでは黙々と植物の水遣りや枯れ草を取っていますし、トイレに行けば常に
タオルが籠いっぱい、ゴミ箱の底が見えなくなることもない。まさに、メンテナンスの鬼。
シティビューは高層階がよいのではと思いました。目の前に学校や雑居ビルが立っていると
何しに泊まりにきたのかとがっかりしますからね。逆にガーデンビューは低層階の部屋だと
目線に庭園が迫ってきて楽しめそう。なので眺望リクエストは明確に伝えたほうが吉。
ちなみに空室があれば、プランによっては\1,000、\2,000程度でガーデンビューに
変更してもらえます。別の機会に泊まった身内は、無償でガーデンビューになりました。
時にはそういうラッキーもあります。
ターンダウンについてはあまり印象に残っていませんが、欧米の田園別荘に似合いそうな
ベッドカバーが外れ、真っ白なリネンがむき出しになる、その対比がとても鮮やかです。
ところでホテルで天井と壁の境目あたりを観察したことってありますか?ブランドイメージに
忠実で執念深くこだわって建てているホテルは、客室やパブリックスペースの天井周りに
華やかな装飾があり、滑らかなんです。建設のコストダウンを図って高品質なインテリアで
バランスを取るホテルや、後から高級路線に転換したホテルがごまかせない部分の1つでしょう。
FS椿山荘の場合、客の目に触れるあらゆる場所にこの種の装飾が施されています。
(左)出窓からは他の客室が見える(中)家具は贅沢な田舎暮らし路線(右)シティビュー。透明な屋根はスパ
浴室は何といったらいいのか。これまで泊まった国内のホテルではホテル西洋銀座と双璧。
美しくて広くて機能性も十分で、湯量も安定。アメニティに特典でブルガリのキットが
ついていたのですが、スタンダードフロア用のロクシタン製品も定位置にありました。
ただ給湯能力より排水能力が低いらしく、お湯は3分で満水になる旨の注意書きがありました。
(左)トイレ (中)シャワーブース (右)ブルガリのキット。某巨大コスメサイトでは結構な数の感想を読めます
(左)唐草模様の磁器にもアメニティ(中)浴槽のふちにロクシタンのソープ(右)ティッシュボックスが可愛い
アフタヌーンティー
まず、ロビーラウンジ ル・ジャルダン名物のアフタヌーンティーを食べに出かけました。
クラブフロアの場合は料金内に含まれ、専用ラウンジで提供されるとのこと。
これには朝食券を転用。このチケットは\2,800相当の食券として機能しています。
\2,500のアフタヌーンティーに使ってしまうのはもったいないように見えますが、
ちょっとしたアテがあるのですよ。それはまた後ほど。
アフタヌーンティにはイングリッシュとフレンチの2種類。選ぶのにとても迷います。
複数で行くなら、両方とって食べ比べてみるのも楽しいですよ。
紅茶もメニュー内から自由に選べます。茶葉の販売があってもおもしろいのですが、
その時は残念ながらダメでした。次行った時はホテルショップに置いているといいなあ。
ラウンジは常時混んでます。入り口で席待ちしている人がズラリ。時間帯・曜日にも
よると思うのですが、朝から昼にかけては日本女子大・学習院・川村学園・獨協に
通う子どもたちのお母様方が入り乱れているようでした。女の世界だわ……。
お迎えまでの時間つぶしも毎日となると楽ではなさそうですね。聞くともなしに
聞いているだけで、校風による文化の微妙な違いが垣間見えてきます。
紅茶が冷めてきたなと思いつつお母様ウォッチングを続けていたら、スッと寄ってきた
スタッフが何て言ったと思いますか?「冷めた頃合でしょうからお取替えしますね」
淹れたてのまっさらなポットを持ってきたんですよ。かなり驚きました。なかなか
できるサービスじゃありません。
スパ
スパ、何といってもFS椿山荘はスパ! スパ・プールの施設規模とエンタテインメント性では、
ディズニーシーのホテルミラコスタに軍配があがるでしょう。とくに子ども連れなら、
ミラコスタほどの満足は得られない。子どもが楽しめる要素が少ないですからね。
大人でも、ボーっとしている時間が楽しめないならFS椿山荘のスパ利用権は宝の持ち腐れです。
宿泊客としてスパを利用する際には\5,250かかります。クラブフロアなら半額になるとのこと。
私は終日スパ利用権付プランしか使ったことがないのですが、プランによっては利用を1回に
限定しているものもあります。注意して提示内容を確認しましょう。
スパに行く前には内線をかけるといいかもしれません。繁忙期には入場制限をすることが
あるからです。その場合は客室のデスクに案内文書が置かれているようですが。
「今なら大丈夫ですよ」と返事をいただいて、2階のスパ受付に向かいます。全館で宿泊客の
情報を共有しており、各施設の受付で名前を伝えるとパソコンで特典確認をしていました。
受付からサロンを通り抜け、ロッカースペースを併置したパウダールームに案内されます。
真っ白な家具が立ち並ぶため、視力の程度に関わらずどこに何があるのかわかりません。
しっかりバスローブやタオルの位置はもちろん、スパ側も含めて2つある出入り口の区別など
しつこいぐらい説明してもらいました。通路もクランク状の部分があるので視力の弱い人や
方向音痴なら最初は1人で行かないほうがいいでしょう。でも、いかにも手慣れている風の
おばさま方に、きゃー初めてでわからないんです!と縋れば、親切に教えてくれます。
(左)2階のスパ入り口(中)細部まで装飾を施したクランク状廊下(右)和風庭園内の露天ジャグジー
パウダールームは信じがたいほど1人あたりのスペースが広く、アメニティがズラリ。メイク落し、
化粧水、乳液、ヘアケア用品、ブラシ、綿棒、コットン……まだ何かあったはず。伊東温泉の
藤田観光系施設から週2階温泉を運んできているという浴室にも、各種アイテムがあります。
シャンプー、リンスをはじめ、垢すり用のパックとかいろいろ。それらと客室アメニティの違いは、
知名度がさほど高くない国内メーカー品であるところでしょう。よく旅館の大浴場で、メーカーの
PRが大書してあるシャンプー類が置いてありますよね。まさに、あれですよ。
欧米的な各種ハードと旅館の流儀が交錯する不思議な亜空間でした。
プールはくの字形の15mサイズで、その脇に2レーン分ほどを使ったジャグジーがあります。
通路脇にはドライとミストのサウナを設置していました。周囲は椿山荘の和風庭園で、
プールとジャグジーを仕切っている花壇には観葉植物がぎっしり。
天井は透明で、気候のよい季節には開け放たれるらしい。客室から屋根を掃除しているのが
見えていたということは、その時スパにいた人たちは頭上を作業スタッフが歩き回っている
様子を見上げつつ、泳いでいたんですね。ちょっとシュールな光景だわ。
屋外には滝のある池や露天風呂風ジャグジーがあります。プールで一緒になったおばさまに
ぜひと勧められました。屋外ジャグジーを囲む石垣に押しボタンがあり、これで水流を発生
させることができるとのフォロー。スパ会員らしき中高年層が親切なのはここでも一緒でした。
サロンは15名強が座ればいっぱいというサイズですが、プールを眺めながらのんびりできます。
オーダーにより有料で飲食可能。レモンやライムの入った冷水は無料です。新聞・雑誌も豊富。
ここで最大のメリットは朝6時から9時までコンチネンタルブレックファーストの簡易版が出る
ということですね。籠に盛った果物やパン、コーヒー、紅茶、ジュースをセルフサービス。
朝食はパン派なので、これで必要十分でした。朝食券をアフタヌーンティーに転用したのは、
こういう使い方を考えていたからなんですよ。なのでスパ利用権が1回限定なら朝に使います。
朝から一泳ぎして朝食を食べて、後は客室に戻って二度寝する……ああ、至福なり。
(左)プール入り口のスリッパ入れ(中)泳いだ後に目を洗うアレです(右)パウダールームにはホントに何でもある
カジュアルフレンチ シーズンズ・ビストロ
メインダイニングのイタリア料理 イル・テアトロに隣接。入り口脇のサロン風スペースを
気楽なレストランとして提供したという位置取り。おそらく厨房は共通です。
スタッフ数を絞り込んでいるためか満席時はサービスのタイミングが遅れがちでした。
レジの処理も間が抜けていて、宿泊客割引を利用すると申し出ているにも関わらず、
サインしようとすると予想より高い。指摘するとパソコンで宿泊客に関するデータを
確認した上で、割引しなおしてくれました。この作業に意外と手間がかかって、びっくり。
しかしそのままの伝票を通してしまったら、後々不満が残ったでしょう。
メニューの幅も狭いなど難点はありますが、椿山荘らしい雰囲気は十分楽しめます。
ディナーコースでも\5,500なので、館内から出たくないけれど他レストランの
ディナーは高額すぎるか量が多すぎて困惑する方におススメ。
サービスもろもろ
FS椿山荘級のホテルならあたりまえに用意されているサービスに、無料の靴磨きがあります。
これを依頼するにはボロボロの靴ではまずいな、などと考えつつ旅行の服装を練ることに。
夜依頼しておけば朝には持ってきてくれるのですが、驚きますよ。服や靴を買った時、
白い薄紙にくるんでくれることがありますよね。まさにそのスタイルなんです。
FSのトレードマークを刷り込んだ薄紙に片足分ずつ梱包し、金色のトレードマーク・シールで
封をしてあるの! 開けたくない!! 画像に取り忘れて悔しい1枚です。
この梱包スタイルは他の物品を依頼しても同じでした。生理用品なら1つずつ薄紙で包んで
シールを貼り、FS椿山荘の白い小さな手提げ袋にいれて客室係が持ってきてくれるんですよ。
ささやかな驚きや喜びや感激は顧客満足につながる道の1つなのだな、と実感しました。
サービスの現場において、小さな努力の積み重ねは決してムダなものではないのです。
庭園
椿山荘の歴史は、1878(明治11)年に山縣有朋が「つばきやま」を購入したことから始まります。
江戸時代にはどういう土地だったんでしょうね。山が丸々残っていたとしたら、それほど開けた
土地柄ではなかったかもしれません。江戸は世界史的に見て同時代の都市で最大の人口を
抱えていましたが、現在の東京からすると、え?というぐらい小さいサイズでしたしね。
それはさておき、山縣邸として林泉廻遊式庭園の基盤が築かれた後、1918(大正7)年に入り
男爵藤田平太郎が購入し三重塔や神社を移築。戦後、藤田家の屋敷群を買収した小川栄一が
率いる藤田観光による経営でワシントンホテルチェーンと同系列です。なんとも両極端な話。
土地建物を用意する国内資本と、運営ノウハウを提供しロイヤリティを得る外資系ホテルが
タッグを組んだ成功事例。今では珍しくなくなった手法ですが、現在もトップを走り続ける
先駆者として十分評価できるでしょう。
足の不自由な方は散策を避けた方が無難です。たぶんパンプスも傷みます。ミュールは危険。
ホテルのロビーが3階で庭園入り口は1階、実際にはそれ以上の高低差があるでしょう。
スタッフが案内する見学ツアーが催されていれば参加すると勉強になります。
途中には蕎麦屋や料亭、白亜のチャペル、滝あり小川あり。七福神めぐりができるほか、
羅漢さんなど奇怪な石造物がゴロゴロ。可愛い綺麗ではすまない、異形の庭園ですよ。
庭園に凝縮された椿山荘趣味は、FS椿山荘全体のしつらえにも受け継がれているようです。
フォーシーズンズと組んで欧米的サービス観で運営されているホテルでありながら、
椿山荘趣味の退廃、耽美、装飾過剰な傾向に強く影響されているように見受けました。
手間隙かけた豪奢を志向するフォーシーズンズ・スタイルと融合して独特な味わいです。
椿山荘を拓いた山縣の趣味か、藤田の好みか、小川の意図か、わかりません。
ただ、彼らの合わせ技が織り成す椿山荘ワールドは、江戸川乱歩がニヤリと
笑いそうな器物が跋扈する、魁偉な空間でした。
フォーシーズンズホテル椿山荘東京とは、ジャパニーズ・ゴスロリなのだ!
(左)移築してきた三重塔 (中)庭園内の料亭「錦水」(右)椿山荘の由来碑。背負いしは玄武でしょうか
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