阿弥陀経

三奉請

五会念仏作法・奉讃大師作法をはじめ、葬儀や年忌法要など用いられる。伽陀と共通の旋律で、西本願寺で作られたもの。「浄土法事讃」にあるご文であるが、本文は「弥陀世尊」とある。第14代寂如宗主の頃、四奉請あり。これは天台の「例時作法」(阿弥陀経の読誦と念仏を中心に組立らあれている天台の日誦作法、本派では550回忌より)にある四奉請を依用していたから。本如上人の頃、三奉請の記述がある。その頃は「散華偈」があり、色々なご文を用いて散華していた。

散華について

散華の場合、華篭(ケロウ)を用いる。華篭とは真鍮製の花皿で、外側底三箇所から組紐が垂れている。この組み紐は瓔珞で、一般には赤・紫・緑の3色。葬儀の折などは、すべてを白色にすることもある。
散華する場合は、あらかじめ所定の枚数(三奉請の場合は三枚)を華篭の中に入れておきます。同様に経本も華篭中に入れておきます。華篭は赤い組み紐を前にして、紫と緑の組み紐の中りを親指を上にし、他の指で低部を支え持ちます。高さは合掌する辺り(大威儀結目)に支えます。
散華の折は、散華楽の「さ」で蓮華の華びらに似せたケハを一枚、右手の親指と人差し指で摘み華篭の右向こう角から滑り落とします。この時故意に飛ばしたりしません。
この散華は、敬虔な気持ちで敬うときに華を散らすというインドの風習によったものです。散華は他に一一句念仏の時、無量寿経作法等に依用する行道の時に用います。

表白

表白とは「表敬告白」ということで、法要の趣旨を述べる朗読文。法要・儀式の目的を仏祖に報告し、あわせて参拝者へその趣旨を知らせる役目を持っている。本来は法要ごとに作製するものであるが、現在は定形化したものがある。本願寺派では、蓮如上人五百会遠忌法要を記念して「表白集」が刊行されている。この表白集には、口語調(申し上げます)と文語調(申してもうさく)がある。

阿弥陀経

呉音と漢音がある。漢音小経は、本願寺では親しく依用していたが、現在では歴代宗主のご祥月命日本堂(晨朝)で勤めている。

お経は呉音で読むことが基本です。漢字には呉音、漢音、唐音(宋音ともいう)の3種類の読み方があります。呉昔は南北朝時代の呉地方の音と言われ、漢音は唐代の西北地方の音です。唐音は宋時代の標準語でした。例えば「頭」は、「頭(ズ)脳」は呉音、「頭(トウ)髪」は漢音、「饅頭(ジュウ)」は宋音読みです。心空(14世紀の僧)の「法華経音義」に「いま経は、ことごとく呉音を本とする」とあるようにお経は呉音で読むのが習わしとして伝承されてきました。しかし呉音読みは、邦人が初めて呉国の比丘について習読し呉音を伝授されたという説や、聖徳大子が呉音をもって読経の法と定めたという説等があります。
法然上人は、毎日阿弥陀経を3回読まれ、1回は呉音、1回は漢音、1回は訓読をもってされ、その後は一向称名のほかなかったといわれます(勅修御伝)。また宗祖の国宝阿弥陀経集注に濁音の指定をされ拝読されていた事が偲ばれます。

漢音小経

ご本堂の阿弥陀経は、漢音であげられます。綽如上人の阿弥陀経が嵯峨本で、奥書に「嵯峨本の如く毎朝すべし」とあることによります。「嵯峨本」とはくだらよみともいい、室町時代に京都嵯峨の臨川寺(リンセッ)で出版されていたものです。
現在のものは、連門課誦(西山徒慈空作)にあるものと同じです。以前は、漢昔小経の舌舌が、毎朝本堂で読誦されていましたが、安永元年より傍廃、讃仏褐となりました。同じく、正信偈の舌舌も廃されました。
現在本山の蔵版本三部経は、江戸中期の慶証寺玄督師が、伝承された唱読音の変転を痛み、なるべく古音を残そうと伝承に従って濁点符(本濁・連濁)をしるしたものです。宗祖の濁点符と多少異なりますが、現在宗派として用いています。なお濁点符以外の伝承音については、「浄土真宗聖典」(真宗聖典編集委員会編)に、文字の右に呉音、左に伝承音が記人されているので参考にされたい。

和讃

昭和27年、従来在家仏事において三部経全巻を読唱していたが、勤式指導所より仏事勤行として「新制勤行聖典」が刊行され、正信偈和讃の譜に少し手を加えて収録される。

回向

正信偈の回向の節と同じ旋律。

読経中の打ち物

切柝(セッタク)一多数で読経する場合、経文の句切れに拍子木を人れて不揃いにならないようにする、その拍子木のこと。「阿弥陀経」と経題と、最後の経題にはいれません。切柝は句と句の間に入れます。
 「考信録1(玄智)には、「節析は読経時に用ゆる拍子木なり。宗祖五百年忌法会以来始めり。以後読経ただしくなれり」とあります。

経太鼓一経切太鼓は、読経中に入れる太鼓で、お経の最後の切り(経題の前の一節)にはいれません。最初は定期的な間隔をおき打ち、次第に間を詰めていきます。終わりの二行目頃から次第に細く打ち続け、最後の句を読み終わると同時に二打打ちキンが人いります。経太鼓は台の上に乗せた胴の厚い太鼓を用います。(雅楽に使う大鼓は枠に釣った胴の薄い太鼓)