浄土真宗の仏事・おつとめ あなたの知りたいことは? 本文へジャンプ
日常の仏事

仏具とお荘厳は

浄土真宗用の金仏壇でもそれぞれ本願寺派(お西)用、大谷派(お東)用、高田派用などの派別に形がそれぞれ異なります。一般的に、ご本尊をお迎えする須弥壇上の宮殿の形がそれぞれご本山の本堂の形を模してあります。お仏壇のお荘厳は次のとおりです。

三具足(向かって左から花・香・ローソクの三つの仏具)

お灯明(燭台・しょくだい)

 ローソクの火から、如来さまの智慧のお心を味わいます。三本脚の一つを手前にして置きます。

 ローソクを消すときは、口で吹いたりせず、芯切箸(しんきりばし)や芯切挟(しんきりばさみ)ではさみ消すか、専用の蓋(ふた)を被せます。ローソクを消した後は、本来は木蝋(もくろう)(朱塗りの木製ローソク)を立てておきます。

 

仏花(お花・花瓶・カヒン

 如来のお徳を讃え、そのご恩に感謝する心、いきいきと咲く花から如来さまのいのちを感じ、私がお供えした花が私の方を向き、そのまま私に注がれていることを味わいます。(注・トゲや悪臭、毒花、造花等はお供えしません。)

 

お香(おこう)

 お香によって清らかなお浄土と如来のお慈悲を感じ、誰かれとわけへだてなくゆきわたるお香のかおりを味わいます。

 お線香は香炉の大きさに合うように折り、立てずに寝かせます。本数に規定はありません。

香炉には金香炉(焼香用)と土香炉(燃香用・今では飾物)とがあります。 焼香の作法は〇項を参考にして下さい。

 

お仏飯(おぶっぱん)

 朝ご飯を炊いた時、真先にお仏飯としてお供えし、仏さまからのお恵みとして味わいます。(注・お昼までにお下げして、家族で いただきます。)

  本願寺派や高田派では蓮のつぼみ方に形を模して盛りつけます。大谷派は、蓮の実にもして上卓(うわじょく)がある場合は仏飯器一対を直接置き、無い場合は供飯台(ぐはんだい)にのせて一つ置きます。親鸞聖人と蓮如上人の御影(ごえい)にした場合も、供飯台にのせて一つづつ置きますが、十字・九字名号にした場合は脇掛に仏飯は供えません。ご飯を炊かない家庭もありますが、その際は主食(例えばパン)をお供えします。なお上供・下供する際は一揖(いちゆう)(軽くおじぎ)して行ないます。

 

お供物(くもつ)

 日常は、お仏飯だけ供えますが、仏事(報恩講、彼岸、お盆、年忌等)時、お供物を供えます。中央におもち、両側にお菓子、果物の順に対称型に供えます。(注・生臭い物、お水、お酒、お茶等は供えません。)

 お供物は供笥(くげ)という専門の仏具があります。四角・六角・八角形のものがあります。供笥の他に、鏡台(かがみだい)(四角形で脚のない白木地の台)、雲脚台(うんきゃくだい)(雲型の脚を付けた四角または丸形の白木地の台)も供物を供える台として用いることがあります。

 高杯(たかつき)は、正式な仏具ではありませんが、使いやすいので、一般家庭では供笥の代わりによく用いられています。

 

打敷(うちしき)

 供物(くもつ)を供える目的で、上卓(うわじょく)や前卓(まえじょく)にかける装飾布です。年忌法要や祥月命日法要・お彼岸・報恩講など特別の法要の際に用います。季節や行事によって色や図柄を使い分け、一般的に三回忌法要までは白や銀色を用います。白や銀色がない場合は、打敷を裏返しにして使用することもあります。

 

鈴(りん)

 「カネ」・「キン」ともいい、お勤めの際に決められた箇所で使用します。普段は経卓の右横に置き、桴(ばち)というりん棒は中に入れておきす。

 基本的には鈴の外側を打ちますが、小さい鈴の場合は内側を打つこともあります。沙羅(さわり)という特別なキンは必ず内側を打ちます。

 なお、焼香や合掌やお供えをする前後に鈴を鳴らす、という作法は正式ではありません。


毎日のお給仕について

お仏壇のお給仕の順序は

@一.花瓶に花を供える(水の入れ替え)。ただし造花は用いません。

A二.金灯籠、輪灯に点火

B三.ロウソクに点燭(点火)

C四.土香炉に供香(寝かせて置く)

D五.炊き立てのご飯(お仏飯)を供える(主食を供える)

 この時、浄土真宗では、水やお茶、また、霊供膳、カゲ膳といわれる小さなお膳は供えません。

E キンを鳴らしお経を読む。

 お経は時間がないときは、短いお経もあります。ほとんど時間がない折りは、合掌・礼拝し「なんまんだぶつ」とお念仏を称えます。その際、必ず念珠を両手にかけるようにします。朝の勤行は正式には、「正信偈(和讃)」と「御文章」(御文)で、夕方の勤行は「正信偈」(和讃なし)か讃仏偈(嘆仏偈)などの偈文です。高田派は略文類の正信偈である「念仏正信偈」の場合もあります。


真宗では、木魚を使わないのですか。

木魚は、現在、天台・禅・浄土などの各宗において、読経のとき、打ち鳴らすもので、木魚の名前が示すように、木をくりぬいた魚に似せた仏具のことです。なぜ、魚に似せているかといえば、魚は昼夜常にパッチリとしたまぶたを開き、油断も隙もなく勇猛精進の姿が、修行者にとって好模範であるので魚の形を持って戒めとしたようです。

浄土宗では、お経を長くよみ、念仏を多く称えることが重要なので、調子をつけるために木魚が必要となります。ところが浄土真宗では、経を長く読むことよりも、お経の心を頂くことが主であり、念仏を多く称えることより、念仏に寄せられている阿弥陀如来の願いを頂くことが重要なので、別段、木魚を用いて、励ますこともないわけです。

  江戸時代の賢蔵和上という方が、真宗の木魚について、「持ち前の三毒五欲を木魚として称名を相続させよ」と語っておられます。腹が立ったらそれを縁として念仏し、欲が起こればそれをご縁に念仏する。行住座臥、時と場所を選ぶことなく用いることのできる木魚だとのことです。


浄土真宗では「位牌」を用いないと聞きますが

その通りです。位牌というのは、本来、中国で官位や姓名を木の札に書いて神霊に供えるという仏教とは無関係のしきたり(儒家のしきたり・他の仏教国で位牌を使わない)です。一般に位牌は「霊の宿る所」だと考え、その延長線で「お仏壇は死者をまつる所」と誤解しているようです。ひどい場合には御本尊が無く、位牌だけの位牌壇となっていたりします。これでは何のためにお仏壇を求め、ご本尊をお迎えするのかわかりません。浄土真宗で位牌を用いないのは、こうした仏教にそぐわない霊魂観に基づいたことと仏教が混同されてしまい、本来の大切なみ教えがないがしろになる恐れがあるからです。

 位牌を用いる場合でも、その意味をよく理解し、七回忌を勤めたら、過去帳や法名軸に書きかえたらいかがでしょうか。古い位牌はお寺へ納めてください。

 


仏壇に他宗の仏像や故人の写真は入れないと聞きますが。

浄土真宗は「弥陀一仏」ですから他宗の仏像を用いないのは当然です。お仏壇はお寺の内陣をそのまま小さくしたものです。お仏壇に他宗の仏像、御札、お守りなど神仏に関係ありそうなものを何でも入れている方がいますが、これは禁物です。故人の写真はお仏壇の外に出して、お仏壇の真上を避け、左右の長押などの適当なところに掲げておきます。

また浄土真宗では お茶や水はもちろん霊供膳、カゲ膳といわれる小さなお膳は供えませんのでご注意してください。

 


宗派の異なる人の戒名などを過去帳に書き入れても良いでしょうか

 過去帳は、日々の礼拝の対象となるものではなく、あくまで記録帳です。ですから宗派の異なる方の戒名などを書き入れてもかまいません。ご夫婦が同じ宗派ならともかく、異なる宗派の場合など一方の親だけ書かないというのは寂しいものです。自分につらなるご縁の方々の法名・戒名などを記載してもかまいません。ただし、後の子供たちがご先祖の仏事を営むにあたり混乱しないように、きちんと俗名やどういう関係の人かという続柄を記入しておいてください。


家に仏壇が2つあるのですがどうすれば良いでしようか?

一軒の家に仏壇が二つあるという相談ときどきあります。一人っ子どうしで結婚されたときなど妻側と夫側の仏壇がある。また親戚の家で跡がいないために引き取った。家族が以前に個人的に他の宗教に入信したためなど理由はさまざまです。

仏壇はその家の中心的存在であり精神生活のよりどころですから、やはり仏壇が複数存在するのは如何なものでしょうか。結論として、ひきとった仏壇は思い切って処分されることをお奨めします。

 お寺または自宅で法要の後、仏壇仏具店またはお寺に処分をお願いするとよいでしょう。その場合、すべてを処分してしまうのではなく、先祖代々の記録が記されている過去帳は残すか転記しておいて、家の仏壇の引き出しなどにしまっておくようにします。このときには、後の子孫の方が先祖記録を混同しないように過去帳には必ず続柄を記しておくようにします。

 一般的に同じ宗旨ならばこれでよいのですが、そうはいかないケースもあります。宗旨の異なる仏壇の場合です。この場合もお寺と相談して、前記の例のようにまとめたらよいでしょう。いずれにいたしましても、後々の子孫が困ることのないように今のあなたの代ではっきりしておかなければなりません。