ビハーラってなに?

ビハーラとは

 サンスクリット語(インドの古語)で、安住、くつろぐところ、寺院のことを言います。
 西洋のホスピス活動に代わる仏教の言葉として1985年提唱され、活動は全国的となり、より広がりをもって今日に至っております。
 私たちは、老・病・死に直面する人や家族と共に、常に失われることのないその人らしさの尊厳に関心を持つ仲間たちです。

ホスピスって?

 ー緩和ケア病棟イコールホスピスではありませんー

 近代ホスピスは、1967年、英国のロンドン郊外にシシリー・ホンダースによって創設されたがん末期患者への新しいケアをめざした聖クリストフアーズ・ホスピスの開設に始まります。
 ホスピス・ケアとは何か。まずケアの内容について、ミルトン・メイヤロフは「ケアの本質」(1971年出版・1987年みゆる出版)の中で次のように示しています。
「一人の人格をケアするとは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである」。
 ケアの本質は、看護人の自己満足であったり、必要に応じた労力の提供や不足している部分の補いではないのです。
 また先のシシリー・ソンダースは、ホスピスの使命を、1997年5月、来日の講演で次のように語っています。
「物質的の世界に向けて、ホスピスが伝える最終メッセージは、人間の精神の逆境におけるしなやかさと言うことです。何度も、何度も、私たちは、人間の内からも外からも品格が現れてくるのを見たよう思います。人間の本質について、真の成熟や究極の現実について、私たちは伝えることがあるのです」。
 ケアの本質は、その人の自己実現という成長であり、歓迎されることのない状況にあっても、人は喜びを感じ、今を受容できるというしなやかな心の達成なのです。ホスピスは、治る治らないといった、物質的な可能性を目標とする場ではなく、人はどんな逆境に至っても、その時を受容し、熟成の喜びに至ることができる。そうした人間の可能性を伝える場がホスピスだというのです。
 欧米におけるホスピス・ケアの歴史は、終末期のがん患者のケアを通して、臨終期にあっても輝きを失うことのない存在に対する感性や品格がある。そうした人間の可能性が明らかになってきた歴史なのです。

ビハーラでは何をたいせつにするの?

 人は終末期にあっても、その存在を肯定していける資質があります。その資質を仏教では智慧として伝えてきました。智慧は、知性や知識ではなく、病気や苦悩や死に意味をあたえ、生死のより所となるものです。
 この智慧という資質がすべての人の上に存在していることを信頼し、関心を持ち、お互いの違いを認めあっていくことを願っています。
 そのためには、まず私たちは、病気や死の現実の中で、安心して私の身の上に起きている本当のことを語り合える場所と、人と人との出会い、それを可能にする人間関係や考え方を大切にしたいと思います。


上記の考えは 西原祐治の考えです。あしからず。