絵本の虫で候

〜ワタシ的傑作絵本〜


  ああ今日も、川の字の枕元に絵本の山ができている。
  図書館で借りては家族で「絵本の虫」のになって読みまくっている傑作な絵本の数々を、
  心の内にしまっておくのは勿体ないので、覚え書きなんだけど、公開します。
                                 (C)松永なすb  無断転載を禁じます。



 ●目次
  
  のうさぎのおはなしえほん いえ  片山令子・片山健 ビリケン出版
  月にあいにいったアギサ  伊藤比呂美・斎藤隆夫 福音館書店(こどものとも)
  うんぴ・うんにょ・うんち・うんご  村上八千代・せべまさゆき ほるぷ出版
  やまのディスコ  スズキコージ 架空社
  ねぎぼうずのあさたろう  飯野和好 福音館書店
  でこちゃんとらすたくん つちだのぶこ PHP出版
  いってかえって星から星へ 佐藤さとる・田中清代 ビリケン出版
  ゴムあたまポンたろう 長新太 童心社



のうさぎのおはなしえほん いえ

 片山令子・片山健/ ビリケン出版 2002/ISBN4-939029-23-9/1300円

  美しくなった いえ に、光が射すシーン、そして最後のシーンは、何とも静謐で幸せな感じ。
  かつて「建築への愛を、皆があるレベル以上に保つには、どうすればいいのか」と考えていた私に
  これはドンピシャリでした。そもそもは、のい兄と夫が図書館で見つけて借りてきた本だったのですが、
  後で私のために買いました。買ってみたら帯に「ちゃっかり うっかり さっぱり しっかり」。
  これ、主人公の のうさぎさん の性格をさしているものと思いますが、
  片山令子さん(健さんの奥様です)の文に出てくる女の子の台詞は、
  どれもさっぱりきっぱりしていて、同性に好かれる感じがいい。
  登場するオオカミくんが、狼だけにいつ悪役になるのかと思っていたら、
  最後の最後までいい人で終わるのも、意表を突いています。
  私の中では、健さんのベスト1は『すてきなふゆごもり』(これも令子さんとの共同作品)。
  言葉で言い表すのが勿体無いほど、絵と文が絶妙なので、ぜひぜひ本物を見てみてくださいませ。
  (20 Jul.2004)
    


月にあいにいったアギサ

 伊藤比呂美・斎藤隆夫/福音館書店/こどものとも478号 1996年1月/350円

  副題が“パプアニューギニアの民話”。
  ある男が、月の正体を知るため、カヌーに乗って、「およしよ」と引き止める人たちを振り切り、
  困難を乗り越えて、月に会いに行くという話だ。
  たとえばシロヘビのくに を通るときは、こんなふう。
  「シロヘビのくにでは シロヘビにおそわれた。
   くいついてくる シロヘビを、みぎへ ひだりへ たたきおとして、
   アギサは さきへ こいでゆく」。
  淡淡とした語り口。伊藤比呂美さんの言葉のリズムがたまらない。
  絵もいい。コントラストの強い、南国の色鮮やかな雰囲気(行ったことないけど)、
  素朴でユーモラスな人・動物たち。
  今、私の心の中に、お経のように「……アギサは ぶじだ。……アギサは すすむ」が流れている。
  そうして、一つ一つのハードルを乗り越えていく。
  (1. Jul.2004)



うんぴ・うんにょ・うんち・うんご

 村上八千代・せべまさゆき/ほるぷ出版 2000/ISBN4-593-59352-2/1200円+税

  2002年の夏、そう、息子が3歳になった前後、親の最大の悩みは、「便秘」でした。
  彼は「ウンチを出すと、大きくなれない」と思い込んで、出すのを我慢していたのです。
  親や医師の説得も届かず、便を出すようにトイレに誘うだけで泣くようになってしまい、困りました。
  何度、緩下剤やキャラメル浣腸のお世話になったことか…(思い出すも涙))
  そんなときに、出会ったのが、この絵本。小学生用なのかもしれませんが、小さい子でも大丈夫。
  いろんなウンチと、その原因が、ユーモラスに紹介されています。
  最近はトイレを我慢して便秘になっちゃう子、多いみたいですね。
  ウンチは健康のバロメーター。決しておろそかにしてはいけないのだ〜!
  姉妹本の「うんこダスマン」(作者、出版社同じ)も、良かったです。
  世界中の人がウンチをしている姿を見て、さすがの息子も大笑いしていました。
  いろんなウンチ絵本が出ていますが、うちの息子の場合、この2冊が一番、効果アリでした。
  「ウンチをしっかり出すと大きくなれる」と理解した今では、催すと颯爽とトイレに駆けていきます。
  トイレのカレンダーに「出た印」の赤丸が、綺麗に並んでいるのが、親としては嬉しいのです。
  (25. Aug.2003)
     


やまのディスコ

スズキコージ/架空社 1989/ISBN4-906268-12-9/1500円

  白馬のみねこさんのミーハーさ、お調子者加減や、クマの大将の懲りなさ加減、
  そのほかにも間抜けな登場人物(動物)がいっぱいで、笑えるポイントが盛りだくさん。
  蜂の巣のミラーボールなんて、斬新過ぎる!
  のい は親が読んでやらないときも、一人で絵を眺めてはニヤニヤしていました。
  スズキコージさんの絵は、ちょっとドギツイので好き嫌いが分かれますが、私は大好き。
  (14. Mai.2003)
  


ねぎぼうず の あさたろうシリーズ
その3 人情渡し船


飯野和好/福音館書店 2001/ISBN4-8340-1742-7/1100円

  のっけから、絵本の本文に「浪曲風で」って注があるところからして愉しい。
  説教臭いところがまるでない、ひたすら浪曲の世界、股旅ものだ。
  ねぎぼうずが主人公、途中で子分になったのが、にんにくのにきち と来たもんだ。
  浪曲知らずの私は、クレイジーキャッツの『面倒見たよ』をうなりましたね。
  悪者との立ち回りの際の必殺技「ねぎじる」も笑える。
  ばかばかしいストーリーも素晴らしいけれど、絵がまたド迫力。手描きの文字が泣かせる。
  早く、続きを読みたいーーー。
  なお、同じ作者で、クレヨンハウスから出ている『くろずみ小太郎』もあり。
  でもどっちかってーと『〜あさたろう』の方が、ワタシ好みな感じ。
  (04. 0kt.2002)
              


でこちゃんとらすたくん

つちだのぶこ/PHP出版 2001/ISBN4-569-68266-9/1100円

  東京の西側のニホヒがする。背景の小物が可愛い。画風がとてもファンシー。
  それもそのはず、作者は70年生まれだ。
  てこちゃんが「でこちゃん」と呼ばれるようになった顛末の前作『でこちゃん』も可愛いが、
  続編のこちらも、この謎の一家の謎さ加減が顕著。とくに、お母さんとおじいちゃんが奇怪。
  作者は片山健氏(『タンゲくん』他、傑作多数。随時紹介しましょうね)のファンらしい。センスいい。
     


いってかえって星から星へ

佐藤さとる:文 田中清代:絵/ビリケン出版 2000/ISBN4-939029-13-1/1600円+税

  本のつくりが、ものすごく面白い。よくできてる。
  まず本を左側から開いて右へ読み進み、
  右端に着いたらグルリと回して、本を逆さまにしてリバース!
  1ページずつ最初のページに戻りながら読み進みます。
  宇宙とシャボン玉好きの息子は大喜びで、「土星!」なんて叫んでます。
  お話は読んでのお楽しみ。宇宙人が可愛い。
  (04. 0kt.2002)
  


ゴムあたまポンたろう

長新太/童心社 1998/ISBN4-494-00881-8/1300円

  頭がゴムでできている!ゴムボール頭!
  それだけでも斬新な主人公が、ポンポンと弾みながら、なんと世界を一周。
  蛍光ピンクを中心とする妖しい色遣いが、可笑しな世界を盛り上げる。
  このポンたろうくん、髪が薄かった1〜2歳頃のうちの息子に似てるんだよね。
  寝顔とか表情とかそっくり。ポンたろうみたいに、世界をまたにかけて活躍してくれ(親バカ)。
  (16. 0kt.2002)
  



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