2016/03/05 修正
DistroWatch Weekly, Issue 650, 29 February 2016 より、Jesse Smith 氏による、Haiku in 2016 の本文の私訳です。訳のおかしいところは、原文を参照ください。

2016 年の Haiku

大体 1 年に 1 回、私は、Linux ディストリビューションや BSD の様々なフレーバーをわきへ置いて、Haiku を見るのが好きです。Haiku ウェブサイトに記載されているように、"Haiku は、パーソナル・コンピューティングを特に目標とするオープンソースオペレーティングシステムです。BeOS に端を発し、Haiku は、速く、簡単に使え、容易に学べ、なおかつ非常に強力です。"

Haiku オペレーティングシステムは、システムの部分がすべて 1 つのチームにより開発されるという点で他とは異なっています。通常、Linux ディストリビューションは何千もの他のプロジェクトのコレクションから組み立てられています。BSD プロジェクトは、一般にベースとなるオペレーティングシステム (カーネル、ドキュメンテーション、およびコマンドラインユーティリティ) を組み立てますが、デスクトップ環境およびグラフィカルなアプリケーションの作成はサードパーティプロジェクトに任せています。Haiku チームは、カーネルとユーザースペースの開発だけではなく、独自のデスクトップ環境およびたくさんのエンドユーザープログラムに取り組んでいます。

プロジェクトは、カーネル、ドライバー、ユーザーランドサービス、ツールキット、およびグラフィックススタックから、同梱のデスクトップアプリケーションまでをすべて書いているただひとつのチームから成り立っています。Haiku において数々のオープンソースプロジェクトが利用されていますが、それらはシームレスに統合されています。これによって、 Haiku は、多くの便利さを提供し、また同様に、エンドユーザーと開発者の両方にとって本当に使うのが楽しめる一貫性レベルを実現できます。

Haiku の最新バージョンは、3 年以上前、2012 年11月にリリースされた α4 です。プロジェクトのウェブサイトは、Haiku のより新しいコピーを試したい人は、開発スナップショットを試すようにと強く薦めています。開発スナップショットは、しばしば、新機能を試すのに良い方法ですが、それらは壊れがちかもしれず、信頼性が優先事項であるコンピュータにインストールすることはおそらく良い考えではではないでしょう。

私は最新の開発スナップショットをダウンロードしました。それは 283MB の ISO ファイルとして得られました。このメディアから起動すると、グラフィカルなスクリーンが現れます。ウィンドウがポップアップして、リストから、優先する言語を選ぶように要求されます、オプションで、キーボードのレイアウトを別のリストから選択できます。この時に、システムは、ライブデスクトップ環境を実行したいか、プロジェクトのシステムインストーラを開始するかを質問します。

Haiku のデスクトップは、ほとんど、落ち着いた青色の背景を持つ広々とした空のスペースから成っています。スクリーンの一番上には、ファイルシステムにアクセスするための、およびシステムインストーラをスタートするためのアイコンが見つかります。スクリーン右上隅のパネルは、アプリケーションや設定メニューへのアクセスを与えます。また、パネルは、ネットワーク設定と音量調整を見つけられるシステムトレイも含んでいます。パネルの下には、開いているウィンドウのリストを見つけます。それはタスク間の切り替えおよび、ウィンドウを隠すことや復元することを手助けします。

Haiku のインストーラを起動すると、グラフィカルなアプリケーションウィンドウが表示されます。インストーラは、インストレーションプロセスについてのいくらかの重要な情報を表示して始まります。特に、インストールを開始する前に、Haiku で使用するためにパーティションをひとつ確保するべきと言われる。Haiku はパーティションマネジャーの機能を持っていますが、開発者達は、別のパーティションマネジャーを使えばよりよい結果を得られると提案しています。また、インストーラの最初の画面は、どのように Haiku エントリーを GRUB ブートローダに追加するかについてのメモも含んでいます。これは、私達が既存の GRUB コンフィギュレーションを持っていることを想定しています。インストーラの次の画面は、Haiku がインストールされるパーティションを選ぶように要求します。このページには、パーティションの作成および削除ができるパーティションマネジャーを立ち上げるボタンがあります。

システムインストーラは、少なくとも 1 つの Be ファイルシステムタイプのパーティションの作成を必要とします。私はこれをパーティションマネジャーのウィンドウ内で行い、それから、システムインストーラに戻りました。最初、システムインストーラは、私が作成した Be パーティションを認識していないようでした。少しの検証の後、私は、パーティションが、Be タイプに設定されていることと、パーティションマネジャーを通じて Be ファイルシステムにフォーマットされていることの両方が必要であることに気づきました。システムインストーラはパーティションを自動的にフォーマットせず、それがフォーマットされるまで、インストール対象としてパーティションを使うことを許可しません。いったんパーティションが適切にセットアップされて、フォーマットされたら、Haiku インストーラはハードディスクにそのファイルをコピーします。このプロセスには約 10 秒かかります。コンピュータにブートローダーが存在しないなら、次にインストーラーに戻され、そこで、ブートローダーをセットアップできます。すでに GRUB をインストールしているならば、Haiku を既存のブートメニューに追加するために提供された手順に従うことができます。それから、コンピュータを再起動して、新しいオペレーティングシステムをテストできます。

Haiku オペレーティングシステムは素早く起動し、約 5 秒でブートメニューから完全なデスクトップ環境へ移動します。Haiku はシングルユーザーオペレーティングシステムです。つまり、ユーザーアカウントを 1 つだけしか持ってなく、パスワード保護が適所にまったくないことを意味しています。これは、自分のアカウントにサインする必要がまったくないことを意味しているので、とても便利なことです。しかし、それはまた、だれでも単に Haiku を起動するだけで、ファイルのすべてにアクセスできることも意味しています。

Haiku は起動が素早いだけではなく、デスクトップも心地よく反応がよいです。ウィンドウ、メニュー、およびボタンは、ほとんど瞬時に入力に反応します。オペレーティングシステムは、デスクトップにある時に、約 180 MB のメモリを消費し、完全な機能を備えたデスクトップを実行しているほとんど大部分の Linux ディストリビューションと比較して、リソースに関して極めて軽いです。私は、2 つのテスト環境で Haiku を動かしてみました。デスクトップコンピュータおよび VirtualBox 仮想マシンです。Haiku はデスクトップマシンでは起動せず、そのため、試行のその面は極めて短いままでした。Haiku は VirtualBox においてはよく動作しました。Haiku は VirtualBox 環境にシームレスに融合することができず、デフォルト画面解像度が低かったが、Haiku のデスクトップのコンフィギュレーションツールのうちの 1 つを介してオペレーティングシステムの画面解像度を大きくすることができました。

Haiku はオペレーティングシステムに特有のように見えるデスクトップアプリケーションのコレクションを標準装備しています。これらのプログラムは、Linux ディストリビューションで動作しているものとわずかに違うかもしれませんが、機能はたいへん似ている傾向があります。Haiku は、機能的なウェブブラウザ、パッケージマネジャー、および電子メールクライアントを標準装備しています。また、1握りのデスクトップのコンフィギュレーションアプリ、コンタクトマネジャーおよびテキストエディタも付属しています。Haiku は、サウンドレコーダー、メディアプレーヤー、IRC クライアント、また最小限のウェブサーバーも同梱されています。背後には、GNU コンパイラコレクションの古いコピー (バージョン2.95) が見つかります。

Haiku とともに過ごした時間において、私が真価を認めた 1 つのことが、アプリケーションの名前からそれが行うことをだいたい推測しやすかったことです。たとえば、"People" が住所録の機能を提供すること、または、"WebPositive" がウェブブラウザであり、"MediaPlayer" がさて、メディアプレーヤーだと推測することは困難ではありませんでした。2,3 のプログラムは、名前がそれほど説明的ではありませんでした。私は、"Poorman" および "Pe" を試す前に、それらがなにをするのかわからなかった (それぞれ、ウェブサーバーとテキストエディタでした)。

Haiku は、時刻やシステムリソースといったものを監視するための、たくさんのデスクトップウィジットを提供します。これらのウィジットはデスクトップのあちこちに生み出されて置かれる。ウィジットが作成された後はちょっとしたビジュアルな乱雑さを結果として生じるが、私は最初それをどのように取り除くかわからなかった。最終的には、不要なウィジットは、デスクトップの上部にアイコンで表現された Haiku のごみ箱フォルダにドラッグできると気づきました。

Haiku は、グラフィカルなソフトウェアマネジャーを標準装備します。それは、HaikuDepot と呼ばれます。Depot は、そういえば、2 つの部分に分かれたウィンドウを表示します。ウィンドウの上の部分は、入手可能なソフトウェアパッケージのアルファベット順リストを表示します。パッケージの項目をクリックすることで、ウィンドウの下の部分に反転表示したアプリケーションのより詳細な情報とスクリーンショットを表示します。検索ボックスは、アイテムを名前で探そうとすることを可能にします。ウィンドウの下部の近くにインストール / 除去ボタンがあり、それをクリックすると、反転強調されたパッケージを、システムに追加するか、またはシステムから削除できます。ソフトウェアマネジャーはよく動作し、私は、操作の処理が迅速なことに感動しました。私が遭遇した唯一の問題は、Haiku ユーザーに利用可能なソフトウェアに対する私自身の不案内でした。私は、望む機能を説明したキーワードを検索することで、私が望んだもの、または、たぶん幸運にも得られたものをブラウズできました。しかし、私は Haiku 初心者であるので、なにが入手可能であるか、または、それを見つけるにはどうすれば一番良いのかということが常にわかるというわけではありませんでした。たとえば、私は、スクリーンショットユーティリティを検索するのに約 5 分を費やし、最終的に、デフォルトで Haiku がそれを含むので、Depot にはないということがわかっただけでした。しかし、スクリーンショットプログラムは、アプリケーションメニューにはリストされず (私の知る限りでは)、 コマンドラインから実行する必要があります。

試行中に、少しの技術的な問題に遭遇しました。たとえば、Haiku のデフォルトウェブブラウザは YouTube ビデオを含むほとんどのオンラインコンテンツを表示できましたが、YouTube でビデオを見ていると、時々オペレーティングシステムがロックアップし、ハードウェアの再起動を必要としました。私がオーディオファイルを再生しようとした時には、Haiku のメディアプレーヤーはファイルを開き、それから、早口のモールス符号のような音を生み出しました。これは Haiku を実行しているときに、私のマルチメディアの経験が少し限られていたことを意味しますが、オペレーティングシステムのすべての他の面はよく機能していました。

結論

私は、Haiku プロジェクトが、BeOS の現代のイメージのオペレーティングシステムを作成することについてよい仕事をしているという意見をもっています。Haiku がウィンドウを管理するやり方や、入手可能なソフトウェアの見慣れない水域をナビゲートすることに慣れるのに少し時間はかかりましたが、しかし、一般的に言って、私は、Haiku はよく機能すると思います。

Haiku は、オペレーティングシステムのすべての部分が 1 つのチームにより開発されている点で変わっています。そして、私は、それが Haiku のスタイルまたは、またはそれが機能する方法に違いを生じさせるかどうかに好奇心をそそられました。私が話すことができた限り、エンドユーザー視点からは実用的な違いはありませんでした。1 つのチームにすべての開発者がいることは、物事を、舞台裏ではスムーズに動かすことはできますが、スクリーン前に座っている人に対しては、開発への統合されたアプローチに対して、どのような利点または欠点にも私は気づきませんでした。

私の目を引いたことは、Haiku は1990 年代のオペレーティングシステムの感触がするということでした。特に、ユーザーアカウントとセキュリティチェックが無いことは、 Haiku に過去の遺物の感触を持たせます。ユーザーはどこでも探検できて なんでも削除でき、資格情報のプロンプトを表示することなくどのようなソフトウェアでもインストールできる。これは、Haiku を使うことを非常に効率化するけれども、それはセーフティネットを取り除き、また、事実上 Haiku がコンピュータユーザが 1 人だけの状況でのみ実用的であることを意味しています。要するに、Haiku は、どのように私達が物事をなしていたかについて現代的な表現の感触を持っている傾向がありました。私達のほとんどがセキュリティと抽象化について懸念するようになるより前のように、コンピューティングが用いられてきた技術的に優れた高性能なモデルです。

このレビューで使用したハードウェア

このレビューのためのハードウェアは、以下の仕様を備えたデスクトップ HP Pavilon P6 シリーズでした。