ルヴァ: |
あ~、それではちょっと出かけてきます。お土産は何が良いですか? |
オリヴィエ: |
マニキュアでも買ってきてもらおうかな?もちろん、春の新色だよ~ん☆ |
セイラン: |
沙ナツメ香水でもお願いしましょうか。 |
ルヴァ: |
ええ、わかりました。探してきましょう。アンジェリークは何が良いですか? |
アンジェ: |
肉まん買ってきてください。 |
オスカー: |
お嬢ちゃん。ここはバラの花をおねだりするところじゃなかったか? |
アンジェ: |
オスカー様。ナレーターは口出ししないで下さい。私はあなたと違ってバラの花より肉まんの方が好きなんです。 |
ルヴァ: |
…わかりました。 |
オスカー: |
いいのか? |
ルヴァ: |
アンジェリークが欲しいというんですから、仕方がないでしょう。 |
オスカー: |
しかし…。あ~あ、肉まん探して遭難か。 |
ルヴァ: |
でも、前方に建物が見えますから、あそこで休ませていただきましょう。 |
オスカー: |
あれって、虚空城じゃないか。本当にあそこで休むのか? |
ルヴァ: |
話の都合上、仕方ないですよ~。 |
オスカー: |
それで、筋書きに則って肉まんに手を出したわけか。 |
レヴィアス: |
休む場所を与えてやった恩も忘れて、我の肉まん(って、あの女、妙なもの注文しやがって…)に手を出すとは…。 |
ルヴァ: |
あ~、申し訳ないですねぇ。アンジェリークが、肉まんが欲しいといっていたのを思い出してしまったものですから。 |
レヴィアス: |
ならば、諸悪の根元に責任をとってもらおう。 |
ルヴァ: |
アンジェリークをここへ連れてくるんですか? |
レヴィアス: |
そうだ。絶対に連れてこい。 |
ルヴァ: |
でも、嫌がったらどうすれば良いんでしょうかねぇ。 |
オスカー: |
お嬢ちゃんが嫌がったら、ルヴァが戻ってくりゃいいんじゃなかったか? |
ルヴァ: |
でしたら、私がそのまま残りますよ~。ここにはまだ読んでない本がたくさん有りますから~。 |
レヴィアス: |
お前などには用はない。さっさと、あいつを連れてこい。茶菓子を用意して待ってると言えば、飛んでくるだろう。 |
ルヴァ: |
そうですか~。それでは、ちょっと呼びに行ってきますね。 |
オスカー: |
茶菓子があると聞いたら、お嬢ちゃんが嫌がるわけないか(溜息) |
アンジェ: |
こんにちは~♪ お茶に呼ばれてきました~。 |
レヴィアス: |
待っていたぞ。 |
アンジェ: |
わぁ、本当にお茶菓子がいっぱいだぁ。 |
レヴィアス: |
全て、お前のために作らせたものだ。好きなだけ食べると良い。 |
アンジェ: |
わ~い♪(もぐもぐ、はぐはぐ)ふ~、美味しかったぁ。 |
レヴィアス: |
では、部屋へ案内しよう。 |
アンジェ: |
うふふ、素敵なお部屋ね。 |
レヴィアス: |
夕食まで、自由に過ごすが良い。だが、その前に…。 |
アンジェ: |
はい? |
レヴィアス: |
その服を脱げ。 |
アンジェ: |
け、けだもの!! |
レヴィアス: |
誰が…。とにかく、その妙な服を脱いで、こっちの服に着替えろ。 |
アンジェ: |
あ、そういうことだったのね。悪いこと言っちゃったな。 |
オスカー: |
いや、あいつの言い方が悪いんだろう。俺もお嬢ちゃんと同じことを考えたからな。 |
アンジェ: |
オスカー様の場合は、私が勘違いした通りの意味ですよね。 |
オスカー: |
おい、おい、そりゃないだろう。 |
アンジェ: |
とにかく、ちょっと何処かへ行ってて下さい。これから、着替えるんですから。 |
オスカー: |
ふっ、役得でいろいろ拝ませてもらえるかと思ったが、残念だな。また後でな、お嬢ちゃん。 |
アンジェ: |
さて、と着替えも済んだし、ちょっとお城の中を探検させてもらっちゃおうかしら? |
オスカー: |
あんなこと言って…。迷子にならないように気をつけるんだぜ。 |
レヴィアス: |
迷子になっても夕食の匂いに誘われて出てくるだろう。 |
オスカー: |
……。 |
アンジェ: |
えぇっと、どっちから来たんだったかしら? あ、向こうから良い匂いがする。そう言えば、そろそろ夕食の時間よね。行ってみましょう。 |
レヴィアス: |
来たか。 |
アンジェ: |
美味しい~♪ |
レヴィアス: |
それは良かったな。では、我の妃となってもらえるか? |
アンジェ: |
えっ、いきなりそんなこと言われても…。 |
レヴィアス: |
返事はすぐでなくても良い。どうせ、お前はここから出られないのだから。 |
アンジェ: |
嘘でしょう~。違うと言ってよ、オスカー様。 |
オスカー: |
いや、お嬢ちゃんの御期待に添えなくて心苦しいんだが、確かこれはそういう話だったはずだぜ。 |
アンジェ: |
そんな~。だったら、持って来たいものがいっぱいあったし、ちゃんとお別れも言いたかったわ。 |
オスカー: |
ルヴァはちゃんと説明しなかったのか? |
アンジェ: |
…したかも。でも、お茶菓子があるって聞いて、飛んで来ちゃったから。 |
レヴィアス: |
諦めるんだな。欲しいものがあるなら取り寄せよう。手紙くらいなら、少しは認めても良い。 |
アンジェ: |
わかったわ。そのかわり、毎日美味しいもの食べさせてね。 |
レヴィアス: |
いいだろう。 |
オスカー: |
何だかんだで、お嬢ちゃんはこの城とあいつに馴染んでしまった様だな。そう言えば、ルヴァ達はどうしてるんだろう。 |
ルヴァ: |
はぁ~、死ぬ前にもう一度アンジェリークに会いたいですねぇ。 |
オスカー: |
死ぬのか? |
ルヴァ: |
病気らしいんですよ~。 |
オスカー: |
…と言うことなんだが。 |
アンジェ: |
どうしよう。ねぇ、レヴィアス。どうしてもここから出ることは出来ないの? |
レヴィアス: |
……。 |
オスカー: |
何か、方法を知っている様だな。 |
アンジェ: |
レヴィアス! 一生のお願いよ。ルヴァ様の御見舞いに行かせてちょうだい!! |
レヴィアス: |
…1週間だ。必ず1週間以内に帰ってくると誓えるか? |
アンジェ: |
誓うわ。 |
レヴィアス: |
この指輪を枕元において、あいつのことを考えながら眠れば、目覚めた時には家に帰っているだろう。こっちに戻ってくる時は、同じように我の事を考えながら眠れ。 |
アンジェ: |
わかったわ。えぇっと、ルヴァ様のことを考えながら眠ってと…。 |
ルヴァ: |
おや? アンジェリークじゃないですか~。 |
アンジェ: |
あ、ルヴァ様。…お元気そうですね。 |
ルヴァ: |
ええ、先日ちょっと風邪で寝込んじゃいましたけど、もうすっかり元気になりましたよ~。 |
アンジェ: |
風邪、だったんですか? オスカー様から、ルヴァ様が死にそうだって言われて必死になって頼み込んで帰って来たのに…。 |
ルヴァ: |
そうだったんですか。それは、悪いことをしてしまいましたね~。 |
アンジェ: |
いいえ、こうしてお会い出来て良かったです。あの時は、禄に挨拶も出来ずに出て行ってしまいましたから。 |
オリヴィエ: |
あ~ら、アンジェリークじゃないの。 |
アンジェ: |
オリヴィエ様♪ |
オリヴィエ: |
おや~、素敵なドレスだね。この宝石も随分といいものが揃ってるじゃないか。 |
アンジェ: |
そうですか? 私には良く解りませんけど…。 |
セイラン: |
評価なんて、結局は人それぞれさ。自分が気に入ったものを身に付けているなら、それが高価だろうと安価だろうと関係ないよ。 |
アンジェ: |
それもそうですね。私はこの服好きですよ。だって、レヴィアスが初日に選んでくれた服ですもの。 |
ルヴァ: |
あ~、どうやらあなたは彼と上手くやっているようですね~。 |
アンジェ: |
はい。 |
オリヴィエ: |
ん~、な~んか悔しいな。 |
セイラン: |
それじゃ、嫌がらせしましょうか。 |
オリヴィエ: |
どうやって? |
セイラン: |
簡単ですよ。彼女を帰さないようにするんです。 |
オリヴィエ: |
いいね。それじゃ、早速あの指輪を…。ねぇ、その指輪ちょっと見せてもらえるかな? |
アンジェ: |
良いですよ。きゃっ!! |
オリヴィエ: |
何、今の? |
ルヴァ: |
あ~、どうやらアンジェリーク以外の人には触れられないようになってるみたいですねぇ。 |
オリヴィエ: |
ちょっと、セイラン。どうすんのさ? あれじゃ、あの娘を帰さないようになんて…。 |
セイラン: |
大丈夫ですよ。彼女が彼以外の事を考えながら眠ればいいんです。 |
オスカー: |
だからって、この2人は…(呆) |
オリヴィエ: |
何よ、文句でもあるの? |
オスカー: |
毎晩、寝室の扉の前で芋を焼くとは…。 |
セイラン: |
でも、効果はてきめんだよ。 |
オスカー: |
そのようだな。かれこれ、10日か。お嬢ちゃん、とっくに期限は過ぎてるんだぜ。 |
アンジェ: |
わかってるわよ。でも…。 |
オスカー: |
焼き芋のことを考えてしまう、っていうんだろ。 |
アンジェ: |
そうです。どうしてなんでしょう? |
オスカー: |
そりゃ、毎晩寝室の前で…。あ、いや、何でもない。 |
セイラン: |
ナレーターは大人しくナレーションだけしてればいいんだよ。無駄話にうつつを抜かさないで欲しいね。 |
アンジェ: |
良くわからないけど、ちょっとお昼寝しようっと♪ |
セイラン: |
いけないっ。まだ焼き芋の準備が…。 |
アンジェ: |
ん~、あれ? あ、やっと戻って来られたんだわ。 |
オスカー: |
ふっ、あいつら、芋の準備が間に合わなかったんだな。 |
アンジェ: |
レヴィアス! レヴィアス、居ないの? ごめんなさい、遅くなってしまったけど帰って来たわ。 |
オスカー: |
おかしいな。全然、姿が見当たらないぞ。 |
アンジェ: |
レヴィアス!! こんなところで、呑気にお昼寝なんて…。 |
オスカー: |
お嬢ちゃん。こいつ、様子がおかしいぜ。 |
アンジェ: |
レヴィアス、どうしたの? 具合が悪いの? |
レヴィアス: |
お前…。戻って来たのか。 |
アンジェ: |
ええ。遅くなってごめんなさい。 |
レヴィアス: |
期日が過ぎても戻って来ないから、裏切られたのだと思っていた。だが、それでも我の心はお前を求めて止まぬ。食事も咽を通らず、眠ることも出来ぬ。いっそこのまま朽ち果ててしまうのも構わぬと…。 |
アンジェ: |
ダメ! ダメよ、朽ち果てちゃ!! 私達、結婚するんだから。 |
レヴィアス: |
今、何と言った? |
アンジェ: |
お妃になって欲しい、って言ったのはあなたでしょ。ずっと、迷ってたの。でも、心を決めたわ。 |
レヴィアス: |
本当に、我と結婚してくれるのか? |
アンジェ: |
うん。あなたと一緒に生きられるなら、もう2度と外へ出られなくても構わない。私は、あなたを、あなただけを選ぶわ。 |
レヴィアス: |
うっ…。 |
アンジェ: |
どどど、どうしたの、レヴィアス!? 髪の色が…。 |
アリオス: |
その言葉を待ってたぜ。 |
アンジェ: |
あ、あなた…。 |
アリオス: |
封印は解けた。これで、どこへでも行ける。もちろん、お前も一緒だぜ。 |
アンジェ: |
…アリオス。 |
オスカー: |
こうして、お嬢ちゃんはアリオスと末永く幸せに暮らしたって訳だな。めでたし、めでたし…なのか? |