ルナティック・シアター

~白雪姫~

《キャスト》
白雪姫: アンジェ
魔女のお妃: オリヴィエ
猟師: ランディ
隣の国の王子: アリオス
鏡の精&ナレーション: エルンスト
森の小人: 残りの守護聖達
オリヴィエ: 鏡よ鏡、鏡さん。世界で一番美しいのはだ~れ?
エルンスト: それは、もちろんオリヴィエ様です。
オリヴィエ: あ~ら、エルンストってば棒読み。
エルンスト: はぁ、申し訳ありません。
オリヴィエ: でさぁ、本当の処はどう思ってる訳?
エルンスト: えっ?
オリヴィエ: もう1回聞くよ。世界で一番美しいのはだ~れ?
エルンスト: オリヴィエ様です。
オリヴィエ: 本当に?
エルンスト: いえ、その…、本当はアンジェリークの方が美しいと思います。
オリヴィエ: 何か、今の台詞は棒読みじゃ無かったみたいだね。まぁ、いいや。それじゃぁ、セオリーに則って…ランディ、あの子を森に連れてって殺っておしまい!!
ランディ: えっ、俺がですか?
オリヴィエ: 仕方ないじゃない。アンタはアーチェリーが得意なんだからさぁ。
ランディ: …とにかく、行って来ます。(とぼとぼ)でもなぁ、アンジェリークを殺すなんて…。
エルンスト: ランディ様、このお話御存じないんですか? あなたの役どころはアンジェリークを森に連れて行って、そのまま逃がせば良いんですよ。
ランディ: あはは、何だ、そうだったのか。それじゃ、アンジェリーク、俺と一緒に逃げよう!!
アンジェ: えっ?
ゼフェル: こら~っ、「俺と一緒に」は余計だっつーの!!
ランディ: って~!! いきなり殴ることないだろ。
オスカー: お嬢ちゃんがなかなか来ないから迎えに来てみれば…。ランディ、お前の役目はここまでだ。後は俺達に任せろ。
マルセル: そうだよ、ランディ。これはそういう話なんだから。
ランディ: …何だか良く解らないけど、俺の出番は終わったみたいだね。それじゃ、元気でね、アンジェリーク!!
アンジェ: はい、ランディ様もお元気で♪
ジュリアス: では、参るとしようか。
クラヴィス: フッ…。
リュミエール: どうぞ、足元にお気を付けて。
ルヴァ: あ~、少々歩くことになりますけど、辛抱して下さいね。
アンジェ: はい、大丈夫です。
エルンスト: どうやら、アンジェリークは無事に7人の小人さん達の家に居候出来たようですね。
ルヴァ: あ~、アンジェリークの望みのままに、地の力を送りましょうね。
エルンスト: おや? どうやらアンジェリークは小人さん達の家の周りで育成を始めたようですね。
アンジェ: こんにちは、リュミエール様。
リュミエール: こんにちは。育成のご用でしょうか?
アンジェ: 今日はご機嫌が悪いみたいね。それでは…。今日はお話したいと思います。
リュミエール: そうですか。では、あなたは悩みが生じた時、オスカーとクラヴィス様のどちらに相談したいと思いますか?
アンジェ: クラヴィス様です。
リュミエール: ええ、私もその方が良いと思いますよ。
アンジェ: それでは、失礼しま~す。っと、あそこにいらっしゃるのはジュリアス様のようね。こんにちは。
ジュリアス: そなたか。
アンジェ: ジュリアス様も御機嫌斜めみたいね。あの、お話を…。
ジュリアス: 話か。そなたは、悩みを抱いた時、オスカーとクラヴィスのどちらにそれを打ち明けたいと思う?
アンジェ: オスカー様です。
ジュリアス: うむ、良い判断だ。
アンジェ: それでは失礼します。
エルンスト: ふむ、さすがはアンジェリーク。見事な気配りですね。
オリヴィエ: 気配りかねぇ…。
エルンスト: …オリヴィエ様!! 御覧になられてたのですか?
オリヴィエ: まぁね。どうやら、アンジェリークは小人さん達のところで元気みたいだし、それじゃぁ毒リンゴでも差し入れに行って来ようかな♪
エルンスト: おばあさんの格好して、ですか?
オリヴィエ: するわけないじゃん。でも、紫外線予防には肌を晒さないのが一番なんだよ~ん☆
エルンスト: それで、そんなダブダブのマントで身を包んでるんですね。
オリヴィエ: そういうこと~。それじゃ、ちょっと行ってくるね~☆
エルンスト: おばあさんの扮装するより怪しくなってますが…。ああ、それでもアンジェリークは疑いもせずにリンゴを食べてしまったのですね。
マルセル: アンジェリーク、死んじゃダメだよ~(泣)
リュミエール: ああ、アンジェリーク。どうか、息を吹き返して下さい。
ジュリアス: まるで眠っているようだが、クラヴィスの仕業ではあるまいな。
クラヴィス: 莫迦な…。
ジュリアス: 莫迦とは何だ!!
ルヴァ: あ~、落ち着いて下さい。喧嘩はいけませんよ~
オスカー: そうです、ジュリアス様。ここはひとつこの俺が熱い口付けをもって…。
マルセル: (スパ~ン!!)
オスカー: 何をするんだ、マルセル?
ルヴァ: あ~、それはチャーリーのハリセンではありませんか。
マルセル: この前、チャーリーさんからお借りしたんです。
リュミエール: ふふふ、早速役に立ちましたね。素晴らしいタイミングでしたよ、マルセル。
マルセル: いえ、まだ僕なんて…。
ゼフェル: 今のは、俺も褒めてやるぜ、マルセル。まったく、このオッサンは自分の役どころが全然わかってねぇな。油断も隙もあったもんじゃないぜ。
アリオス: 同感だ。
ルヴァ: おや? アリオスじゃないですか。
アリオス: ああ。やっと出番が回って来たぜ。
ルヴァ: あ~、それでは、あなたがアンジェリークを目覚めさせてくれるんですね。うんうん。
アリオス: ったく、あからさまに怪しいリンゴなんか食いやがって、困った奴だな。
リュミエール: ああっ、乱暴な真似はしないで下さい。
アリオス: ほら、吐け!!
マルセル: あっ、リンゴが口から…。
ジュリアス: しかし、息を吹き返す様子は無いな。
アリオス: 仕方ねぇな。人工呼吸してやるか。
ルヴァ: そうですねぇ。やはり、セオリーに則って王子様のキスが一番ですね~。
アリオス: キスじゃなくて人工呼吸っ!!
ルヴァ: そんなに、怒ったように言わなくても…。
アリオス: 俺は寝込みを襲う趣味はねぇよ。
ゼフェル: へへっ、どこかのオッサンに聞かせたい台詞だぜ。
リュミエール: ええ、本当に。見習って欲しいものですね。
オスカー: おい、おい。お前ら、人聞きの悪いことを言うなよ。
ゼフェル: あん?どうかしたのか、オッサン。
リュミエール: 何を焦っているのですか?
オスカー: 何って…。
マルセル: どうしたんですか、オスカー様?
ジュリアス: そなた、リュミエール達の話していた人物に心当たりでもあるのか?
オスカー: いえ、それは…。
クラヴィス: フッ…。
アンジェ: げほ、げほっ。ああ、苦しかったぁ。ゼィゼィ…。
アリオス: 食い意地が張ってるから、こんなことになるんだぞ。ちっとは反省しろ。
アンジェ: は~い。
アリオス: ほら、立て。帰るぞ。
アンジェ: えっ?
アリオス: あ、違った。行くぞ。
アンジェ: うん♪
エルンスト: こうして、アンジェリークはアリオスと末永く幸せに暮らしました。めでたし、めでたし…なのでしょうか。
-了-

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