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日本農業遺産認定『武蔵野の落ち葉堆肥農法』
認定年月日:平成29年3月14日

認定された農業遺産の概要

日本農業遺産『武蔵野の落ち葉堆肥農法』の認定地域は、埼玉県の南西部に位置する川越市・所沢市・ふじみ野市・三芳町にまたがる武蔵野台地上の都市近郊畑作農業地域です。17世紀から始まる武蔵野台地の畑作新田開拓地であり、平地林の植林と育成、そこからの落ち葉による土壌改良を320年以上続けています。
 この地域は季節風が強く、関東ローム層と呼ばれる火山灰土が厚く堆積した土壌であるため、栄養分が少ない上に水に乏しいという特徴があります。そのため、作物の育ちにくい武蔵野台地に、ナラやコナラなどの落葉広葉樹中心とした植林を行い、下草刈りや落ち葉掃き等による平地林の管理、その落ち葉を堆肥として利用し土壌改良を行い安定的な農産物の栽培を行う「落ち葉堆肥農法」という農業システムが続けられています。
 武蔵野台地の開拓は、1603年に幕府が置かれた江戸の急速な人口増に伴う食料不足を補うために始められました。農業を行う上で非常に厳しい自然条件を克服するため、個々の土地区画(地割)を屋敷地・耕地・平地林のセットとして配置することで、集落全体で防風、土壌の飛散防止、地下水かん養など複数の機能を持たせて持続的農業を定着させ、生産性の向上が図られました。現在では、大消費地東京が至近にある地の利も活かし、ほうれんそう、小松菜などの露地野菜の主要産地となっています。
                       


春先の赤い風

       
屋敷の奥に広がる耕地と平地林                  さつまいも畑                      最奥に位置する平地林


また、都市近郊の貴重な緑地空間である優良農地や平地林・屋敷林が緑地帯としてまとまりを保っており、自然環境を保全しながら持続的な農業システムが大都市の近傍で機能していることは、国内では唯一、世界的にも稀有な例とされます。
 この農法は、社会や環境に適応しながら何世代にも渡り形作られてきた伝統的な農業と、それに関わって育まれた文化、生物多様性などが一体となったものです。農用林として育成・管理されている平地林には、自然林とは異なる生き物の生息環境を提供しています。林床管理が定期的に行われ見通しがよく、明るい平地林にはキンランやヤマユリなどが自生し、ミヤマセセリ、オオタカなどの絶滅危惧種の動物も多く確認されています。
 さらに、落ち葉堆肥により土壌微生物の多様性も向上し、持続可能な農業を支えているのです。
落ち葉堆肥農法には、砂漠化対策などの世界のモデルとなりうる知恵と工夫が詰まっており、気候変動による自然災害などの変化に対するレジリエンスがあるとともに、人と自然との共生や都市住民との交流、農産物の6次産業化の推進など地域の活性化にも寄与しています。「低炭素社会」、「環境保全型社会」、「自然共生社会」の実現という三つの目指すべき「持続可能な社会」が、首都近接にありながら320年以上経った今も生きた伝統的な農業システムとして受け継がれていることは、人間の営みや未来の農業を考える上で重要な地域であるため、日本農業遺産として首都圏で唯一の認定を受けました。


  
  平地林の落ち葉掃き      サツマ苗床の落ち葉利用    完熟堆肥に種芋を伏せる 


       
       切り出されたナラ・クヌギ    薪となり残った灰は畑に還元
                                               

日本農業遺産の概要についてはこちら

『武蔵野の落ち葉堆肥農法』世界農業遺産推進協議会についてはこちら

認定地域(三芳町内)の見どころ案内

 三富開拓地割遺跡

 旧島田家住宅

 三富山多福寺

 木ノ宮地蔵堂

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