十  五  夜

十五夜飾り
 十五夜様という。十五夜は秋の収穫祝とも五穀豊穣祈願ともいわれます。現在では満月の日(旧暦の8月15日)に十五夜を行うのが一般的ですが、今でも三芳では満月でなくても9月15日に十五夜を行う家が多くあります。十五夜の供え物は縁側に(縁側がなければ座敷に)、ススキを5本一升瓶に差し、団子を15個皿に山状に盛り、栗・柿・里芋、さつまいもを箕の中に入れて供えました。


資料館夏休み事業『民家の暮らしを体験しよう』レポート

 8/19(土)、8/20(日)の2日間をかけて、資料館施設旧池上家住宅を利用して実施した。今回はそのレポートをする。

○実施した内容と参加者の様子
 第1日目は曇り、第2日目も薄曇りであったが、気温が連日30度を超える暑さだった。
 今回の体験事業『民家の暮らしを体験しよう』は資料館屋外施設・三芳町指定文化財旧池上家住宅であった。昔はどうだったろうかという学習だけでなく、暮らしを体験して、生きる知恵を学び、獲得するきっかけにしてほしいということが、大きなねらいであった。

第1日目(2000年8月19日)
民家見学
 午後から事業は始められ、最初に民家(旧池上家住宅)の見学から始めた。子供たちにとっては、見る物・聞く物が新鮮で興味関心を抱いたようである。

こぶしの里見学と葉っぱ集めと葉っぱで遊ぼう
 こぶしの里は柳瀬川の崖付近の雑木林と湧き水と鎌倉街道などの歴史と自然の学習の場である。自然観察をした後、「葉っぱで遊ぼう」で、シュロを使うことになっていたので、使う分だけ葉っぱを採集し、バッタづくりにチャレンジした。初めての経験で1時間の予定を倍近くかけたが、全員が完成という状態にはならなかった。

夕御飯を作ろう
 夕御飯は、七輪で焼いた鰯、冷や汁、それにご飯である。デザートにスイカと決して豪華ではないが、子供たちがすべて自分たちで準備したから、うまさは格別である。

鰯焼き
 七輪の炭をおこし、鰯を焼く。両面真っ黒になってしまう鰯が焼き上がったり、表面は真っ黒でも中はまだ生だったり、さまざまであった。「鰯の油が炭に落ちたら、反対にしよう」と焼く子供たち、「七輪の下の風が入るところを少しだけあけ、火を弱くしよう」など様々に工夫と知恵が絞られていった。焼き上がった魚は、竹の器に盛って出来上がり。

冷や汁づくり
 冷や汁は、夏の郷土料理である。日本の各地にあるが、この付近では胡麻・シソ・ネギをよくすり鉢ですりつぶし、そこにみそを混ぜて冷たいだし汁で伸ばし、そこにキュウリもみを浮かべる。シソやネギは子供たちが苦手と思いきや、「おいしい」という声が多かった。手作り、それともみそ味で苦手な臭みをとりさるという先人の知恵なのであろうか。

ご飯焚き
 お米・薪の準備ができて、手のひらで水加減を計る方法も教えられ、「はじめチョロチョロ中パッパ、あとは弱火で、赤子泣いても蓋とるな」という言葉も説明され、かまどで炊き始めである。悪戦苦闘の末、ご飯も炊けた。おむすびにした。お焦げは香ばしく、それだけでもおなかの虫がさわぎだす。

いただきまーす
 民家に配膳が済んだのは6時。お茶を入れ、大きな声で「いただきまーす」。「おこげのごはんおいしいよ」「おかわりしていい?」と冷や汁を8杯おかわりした子もいた。

家で昔話をきこう
 夕食を済ませ、今日最後の昔話。図書館のボランティアグループ「かにかにこそこそ」の方にお願いした。「うりこひめこ」「ほういんさまときつね」「ばけくらべ」「あたまのおおきいおとこのひと」で、それに手遊び。秋を思わせるような夜風に、雨戸を開け放し裸電球だけの民家は、お話を聞くには実によい。テレビなどの娯楽番組がなくとも,子供たちは夜を楽しんだ。
 終了は8時半近くになっていた。「泊まりたいよ」という子供の声も聞こえた。この子の言葉につきる。僅かは半日であるが、経験のない民家の暮らしに浸りきった証の言葉である。


第2日目(2000年8月20日)
朝の雨戸あけと清掃
 雨戸を開け、民家の掃除をした。畳の掃き掃除、雑巾掛け、土間の掃き掃除、庭の掃き掃除、最後に庭と土間に打ち水。雨戸を知らない子がいた。説明ではなく雨戸の開け閉めをする事で理解。体験こそ誰にも勝る先生。庭掃除の竹箒は横に転がすように、掃き跡が孤を描くように掃くことも学んだ。

釜を洗う
 釜を洗うことも子供たちに見せた。こびりついていたご飯粒を洗い落とし、ご飯粒と洗い水は堆肥場に、灰で釜にこびりついた煤を洗い落とした。水で洗うよりよく落ちることを実際に見させた。昨日の体験ででてきた割り箸や竹の器も燃料として焚きつけとして利用した。燃やした灰も、畑に撒くということも知った。昔は生活ででた残滓も決してゴミとせず、肥料・洗剤など多様に利用した。循環型の暮らしや再利用が考えられていたことを学習した。

草木染めをしよう
 草木染めはふだんの生活の中にある素材からタマネギと、町の歴史に登場する藍を素材としておこなった。タマネギの表面の薄皮はゴミにしてしまうものだが、染色材料になる。藍は、江戸時代から明治時代にかけて盛んにつくられた農産物。明治23年には三芳村の藍の生産量は入間郡でトップだったが、現在は全くおこなわれていない。昨年から資料館で実験的に作付けを始めている。タマネギの皮や藍の葉を煮ることから始め、午後も続けておこなった。子供たちには苦ではなく、楽しみながら満足したようだ。

昼  食
 昼食は、職員が釜で冷や麦とトウモロコシ。竈の薪は、昨晩の夕食で使い捨てられたゴミも燃やされた。ゴミに出すこととなく利用されることを子供たちは理解した。

終了と畑の種まき
 最後に野菜の種を撒いた。種は、大根・ホウレンソウ・ちんげん菜・にんじん・タマネギである。迎えに来た保護者の方々にも、この体験は参加していただいた。
 秋、これらの野菜が実った時には、収穫祭を企画することを約束して、2日間の事業は終了した。

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