中華料理を知る
中華料理の四大系統
北方系料理 これは、おもに黄河流域地方に発展したもので、その主流となるものは、北京料理である。元来、北京は約560年前、明朝第3代皇帝成祖(せいそ)によって建都されてからここが政治、経済、文化の中心となり、料理も北京の発展に伴い興隆したものである。味付けの特徴としては、鹹、甜、酸、辣の他に、五香、香糟、黄醤、麻醤、邪(香菜等の特殊刺激性の味)の9種をベースにしている。有名な料理に北京ダックがある。 |
四川系料理 中国全土のほぼ中央に位置する四川省は、長江(揚子江)四支流を持つ広大な土地で、内陸深く入り込んでいる割りには、気候は温和で、地味肥沃で、四季とりどりの産物に富んだ地域である。四川は言い伝えによると、2千年の昔、秦の時代に大規模な灌漑工事が行われ、民生安定し、食生活にも向上を見、調理技術がよく発達したと言われている。その代表が四川料理でる。味付けの特徴は、鹹、酸、辣、甜、麻、苦、香の7味がある。 |
江浙系料理 揚子江下流および東南沿海地方の料理を総称するが、この区域は河川、湖沼、海浜等の地形に変化があり、人口もまた多く、料理の材料も豊富なため、料理も多彩である。この代表的な料理が、上海料理である。上海は170年位前までは、なもない漁村で料理などなかったのであるが、清代末期に諸外国の租借地となり、国際色豊かな大都市として東洋随一の貿易港に発展していった。それに伴い、料理も諸外国の人々の口に合うように工夫されていった。 |
南方系料理 南方系料理は、南方沿海地方及び珠江流域のものを指す。すなはち、広東、潮州、東江、福建等の各省を総括して南方系という。その代表は広東料理で、特徴は、五滋六味といわれ、五滋とは香、松、臭、肥、濃、六味は、酸、甜、苦、鹹、辣、鮮を指す。味付けは、他系の料理に比べ、手が込んでいて、どんな料理でも主材料に下味をつける習わしがあり、薬味、調味料も種類も多い。 |
中華料理の宴席
中華料理の宴席は、その献立を見るとその宴席の格付けが一目で分かる。宴席の格付けとは、上は満漢全席から、下はごく普通の酒席までの各宴席の品格であるが、簡単に言うと宴席にかけた費用の差と言える。これは一般宴席でも当然言えることで、宴席料理にかける費用によって差がつけられるのだが、それは使う材料の価値とその分量や調理法法の種類などによって決まる。その簡単な見分け方は、前菜の次に出される最初の大皿料理の種類で判別できる。この最初に出てくる料理を頭菜または主菜と言い、この頭菜にフカヒレを使えば魚翅席(ユィ・ツー・シィ)、ナマコを使えば海参席(ハイ・シェン・シィ)、ツバメの巣を使えば燕窩席(イエン・ウォ・シィ)などと名付けられるが、この様に頭菜に使った材料によって宴席の格が決まるのである。
献立の組み方
献立(メニュー)のことを菜単(ツァイ・ダン)と言い、正式には菜譜(ツァイ・プゥ)という。献立の組み方の基本は次の通りである。
前菜 | 頭菜 | 四大菜(炒め物・煮物・蒸し物・揚げ物など) | 湯菜 | 甜菜 |
冷たい料理の盛り合わせ | その宴席の最高の料理 | 別々に出てくる四種類の料理 | スープ | デザート |
変わった中華料理
その1:蚊の目玉のスープ
蚊とはまぎれもない、あのブンブンと飛んでチクリと刺す蚊である。いくら中国でも蚊は蚊で、日本の蚊と同じ大きさで同じ種類である。その小さな蚊の目玉となると胡麻粒よりもさらに小さいのである。その目玉のスープというのだから驚きである。蚊は蚊でもどこにでも飛んでいる蚊ではダメである。重慶の洞窟に住む蚊に限られている。しかしどうやって蚊の目玉を集めるのか?重慶の洞窟に入ると、沢山のコウモリが住んでいて、そのコウモリが蚊を食べる。そしてコウモリの腹の中で蚊は消化されるが、蚊の目玉だけが消化されないで糞に混じって排泄される。そのコウモリの糞を集め裏ごしにかけると、消化されなかった目玉だけが残る。その目玉だけを集めてスープにしたものが、蚊の目玉のスープである。中華料理でも最高級の宴席でないと出てこないし、この蚊の目玉のスープは一椀20万円とも30万円とも言われている、天下の珍味である。
その2:二十日ねずみの残酷料理
二十日ねずみの子供が生まれるとすぐ親から離し、子ねずみを蜂蜜で育てる。それも、これでもかと言わんばかりに、子ねずみに蜂蜜を飲ませ丸々と太らせるのです。子ねずみは腹いっぱいに蜂蜜を飲まされ、腹が太鼓のようにポンポンに膨らみ、歩くことも出来ないような状態になるのです。だいたい生まれてから3〜4日目で食べごろになります。客が注文すると、皿に生きたままの子ねずみが出てくる。客は子ねずみの尻尾を指で持ち丸ごと口の中に入れ、口の中でピクピクしている子ねずみを噛むと、子ねずみの体の中に溜まっている蜂蜜がジュワァと出てくると同時に、子ねずみは「チチッ!!」と鳴きながら食べられてしまうのです。