薬の話


帯状疱疹を体験して


右脇腹に鈍痛を感じ、やがて胸から脇にかけてかゆみを伴う赤い発疹が帯状に出現。帯状疱疹を疑い皮膚科を受診しました。

診断はやはり帯状疱疹でした。早速点滴で、帯状疱疹の特効薬であるアシクロビルを入れることになりました。
できるだけ安静にし、毎日点滴に通いなさいとのこと。薬局業務が忙しい私には、とても厳しい状況でした。

その後、日とともに痛みが増していきました。これが帯状疱疹の痛みかぁ!という感じです。

ピリピリというよりは、骨に響くズキズキという感じです。頭の芯にひびく痛みとでも表現できましょうか。
今まで患者さんの表現を聞いてきましたが、いざ自分がなってみると、生易しいものではない感じです。

薬局のスタッフには、「いよいよ帯状疱疹にかかる年ですかぁ?」と冷やかされます。いえいえ、年よりも、ストレスが原因です・・たぶん。でも、この痛みに、スタッフに言い返す戦意も半減です。

対応は早かったと思います。早いうちから抗ウイルス治療を開始したと思います。しかし、それでもこの痛み・・
もっと対応が遅かったら、さらに痛みもひどかったことでしょう(汗)

暖めれば痛みが和らぐといいます。確かにお風呂に入ると、少し楽になります。
カイロも貼ってみましたが、これは止めたほうがいいという実感です。暖めすぎになるのでしょうか、よけいズキズキしました。

私は幼いときに水痘にかかりました。そのウイルスが神経節に残り、長年免疫の管理下におとなしくしていたのですが、疲れなどで免疫が低下したためにまた再び暴れだしたのです。神経に沿って発疹ができるため、帯状に発疹が並びます。また神経に障害を生じるため、強い痛みが出るのです。

一昨年は父も同じく帯状疱疹にかかりました。体力が落ちていたと思います。免疫が低下する原因として、加齢がありますが、一方ガンでも、帯状疱疹を誘発するといわれています。父の場合、その直後にガンが見つかりました。父は二年経った今でも痛みに悩まされています。



           

・痛みについて;

帯状疱疹の初期は、炎症性の痛みのため、ロキソニンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤が効きます。

その後、痛みの質が変わります。
神経因性疼痛で、病変は無くなっているのに、痛み刺激が出続けるため、患者を悩ませるのです。この時期には、神経障害に効果があるメチコバール等のビタミンB12製剤が使われます(でもあまり、効き目は実感できませんが・・)
重症例では、トリプタノールなどの抗欝剤が使われます。メキシレチンなどの抗不整脈薬が効く場合もあります。

こうした神経因性の痛みは帯状疱疹後神経痛と呼ばれ、痛みが年余にわたる場合もあり大変厄介です。
初期の段階で痛みを我慢したことも一因ではないかと思います。初期の段階で積極的に鎮痛剤を服用したほうがよいと思います。

・抗ウイルス薬について;

現在、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルの3種類が有ります。

@アシクロビル
ゾビラックスという商品名で、半減期が短いため、ウイルスをやっつけるのに必要な血中濃度を維持するためには1日5回飲む必要があります。

Aバラシクロビル
次世代の抗ウイルス薬で、バルトレックスという商品名です。
消化器官から吸収された後、すぐ肝臓で徐々にアシクロビルに変えられ、ゾビラックスと同じ形になります。
ゾビラックスに比べると効率よく吸収され、また持続性がよいため、一日3回でよい利点があります。

Bファムシクロビル
最新の抗ウイルス薬で、ファムビルという商品名です。
バルトレックスと同様、吸収直後に肝臓で形を変えられ、効く形(ペンシクロビル)になります。
ペンシクロビルは、感染細胞内での半減期が長く、効果がより持続する特長があります。


こうした抗ヘルペスウイルス薬は、いずれもウイルスのDNA複製を阻害することにより、ウイルスが増殖するのを抑えるものです。
では、宿主であるヒトのDNA複製は阻害しないのでしょうか?

これらの薬は感染細胞に取り込まれた後、ウイルスが出す酵素によって一リン酸化されます。その後ヒトの酵素によって三リン化され、初めて効果を発揮します。つまりこうした薬が活性化するには、第一段階として、ウイルスの出す酵素が必要なのです。このため、ウイルスがいる感染細胞内でしか薬が活性化されず、ヒトの正常細胞では薬が働かないので、より安全といえるのです。


薬の話 No.73/平成22年1月3日))


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