薬の話


心不全とACE阻害剤

我が家の飼い犬のことですが・・。
実はこのワンちゃん、もう15歳のおばあちゃんなのですが、、しばらく前から咳やあえぎを頻繁にするようになり、食欲もなくなりました。時々、泡のような痰を吐き出しています。

動物病院で診てもらうと、弁膜症からくる心不全との診断でした。心臓が弱ってうまく血液を送り出せず、うっ血し、肺水腫を起こしているそうです。

「利尿剤と咳止め、抗生剤と心臓の薬を出しておきます。4種類の薬の中で心臓の薬がもっとも大事なので、これだけでもしっかりと飲ませて下さい。」とDrに言われ、帰宅しました。

この心臓の薬とは何でしょう?後でわかったのですが、ACE阻害剤でした。
イヌの薬も、ヒトの薬も同じで、治療法に変わりなしという印象を受けました。

・・薬の効果はてきめんで、すっと良くなりました。
あれから1ヶ月になりますが、今は薬の種類も減り、ACE阻害剤だけになっています。





心不全は、心臓がうまく血液を送り出せないために、うっ血する病態です。
心不全になると、以下の理由から末梢血管が収縮します。

@心不全になると、からだの隅々まで十分な血液を送ることができません。体は、より大切な臓器である脳や心臓への血流を維持しようとして、末梢血管が収縮します。

A心不全になると、腎臓に流れ込む血流量(腎血流量)も減ります。腎血流量が低下すると、腎臓は、レニンという物質を分泌させ、その結果生じるアンジオテンシンUという物質によって末梢血管が収縮します。

・・・このようにして末梢血管が収縮した状態が続くと、心臓は非常に強い抵抗のなか、血液を送り出さなければならず、さらに心不全を悪化させたり、心臓の筋肉を肥厚させたりします。

ACE阻害剤は、アンジオテンシンUができるのを抑える薬です。これにより血管は拡張し、心臓や血管が肥厚したりするのを抑え、これらを保護するのです。


またACE阻害剤は、心臓だけでなく、腎臓を保護する働きもあります。

アンジオテンシンUは、過剰に働きすぎると、腎動脈を収縮させて糸球体にストレスを与え、いためてしまいます。こうしたアンジオテンシンUの過剰な働きを抑えるACE阻害剤は、腎動脈を拡張させ、糸球体を守ります。
このようにACE阻害剤は、腎臓に関しても、保護する働きを持つのです。

ACE阻害剤は降圧剤として用いられています。
しかし、血圧を下げるだけでなく、臓器保護の役割も持っているため、腎機能が低下した患者などに、積極的に用いられています。


薬の話 No.71/平成 21年8月30日)

 
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