薬の話


狭心症患者にバイアグラ


いつも眼科の処方箋を持ち込む患者さんが、今日は珍しく循環器科の処方箋を持って来られました。

<院外処方せん>
バイアスピリン 1錠
  朝食後
 14日分
パナルジン100mg 2錠
朝夕食後
 14日分
薬剤師: こんにちは。今日はいつもと違う病院の処方箋ですね。どうされましたか?
患者さん: 先日、坂を上っていたら、急に胸が苦しくなって脂汗が出てきたんです。
急いで病院に行ったら即、検査入院。その結果、生まれて初めて、狭心症だと言われました。
写真を見せてもらって恐ろしくなりましたね。心臓の血管の一部が、ほそ〜くなって、今にも詰まりそう!
その後すぐ手術で、細くなった血管にステントというものを入れて、血管を拡げました。
今はもう、快調です。
薬剤師: それは大変でしたね・・


手術後は順調で、もう胸の痛みも感じないとのことでした。

ところが、帰り際に患者さんは次のようなことを聞きました。
「ボクみたいな人が、バイアグラのんでも大丈夫?」

私は「えっ?」と言う感じでした。





バイアグラそのものは、狭心症患者にとって害を及ぼす薬ではありません。それどころか、バイアグラは当初、狭心症治療薬として開発された薬なのです。
ではなぜ、狭心症の方にバイアグラは勧められないのでしょうか?

まず一つは、バイアグラ服用後の「激しい運動」が、狭心症患者にとって良くないためです。

二つめは、狭心症患者は、硝酸薬(冠血管拡張剤)を処方される機会が多いためです。

バイアグラは血管を拡げる働きのあるED治療薬です。
同様に血管を拡げる働きがある硝酸薬と併用すると、血圧が急激に下がって危険なことが有ります。
このため、バイアグラと硝酸薬は、併用してはいけないものとなっています。

硝酸薬で最もよく知られているのは、ニトログリセリンのように、胸痛発作時に舌下に入れて服用するものでしょう。しかし硝酸薬はこれだけではありません。発作時にスプレーするようなタイプのものも有ります。また、発作の有無にかかわらず、毎日定期的にのむ薬も有ります。また、シップの様に、体に貼り付けて徐々にお薬を皮膚から吸収させるようなテープ剤、軟膏剤なども有ります。
このように硝酸薬は非常に種類も多く、そのため狭心症患者さんが、自分が硝酸剤を使っていることを自覚しないで使用している恐れもあるため、バイアグラ服用時には、注意が必要です。




最近はED治療薬として、バイアグラだけでなく、レビトラも使われるようになりました。
レビトラも、バイアグラ同様、硝酸薬とは併用できません。
さらにレビトラは、αブロッカーとよばれる薬との併用もできません。併用すると、著しい血圧低下を起こすことがあるからです。
αブロッカーは、高血圧の薬や、前立腺肥大、排尿障害の薬などとして、使われています。

αブロッカーでは勃起障害の副作用が起きることが有るため、その副作用軽減のためレビトラが使われるという危険性もあります。
じゅうぶんに、気をつけたいものです。

薬の話 No.66/平成18年11月3日)



 
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