薬の話


はがれてしまったホクナリンテープ


2歳のA子ちゃん(体重13.4kg)は寝ている間の咳がひどく、気管支を拡げる貼り薬のホクナリンテープが処方されていました。

薬剤師: こんにちは。今日も前回と同じ、ホクナリンテープ(0.5mg)が出ていますね。
前回このテープを使って、なにか気がかりなことはありませんでしたか?
患児の母: お風呂上りにテープを貼って、それから寝かせるのですが、しばらくたって子供の様子をのぞいてみたら、テープがはがれてしまっていることがあるんです。
汗ではがれていると思うんですが。
そうした場合、新しいテープを貼りなおしたほうがいいんでしょうか?
薬剤師: だいたい、貼ってから何時間ぐらいではがれたのでしょうか?
患児の母: 3時間ぐらいかな?
薬剤師: そうですか。新しいのを貼っていただいても、とくに心配は要らないと思いますが、はがれたもの(今まで貼っていたテープ)を絆創膏などで貼りなおしたほうが、より安心だと思います。


ホクナリンテープは、気管支を拡げて呼吸を楽にし、咳などを鎮める薬です。
これは飲み薬ではなく、テープ状の貼り薬になっています。胸や背中、腕などに貼ることにより皮膚から薬を吸収させ、気管支にとどいて効果を現します。

ホクナリンには、テープ製剤だけでなく、内服剤も有ります。
内服剤に比べ、テープ製剤のほうは薬がゆっくり吸収されるため、血液中の薬の濃度も徐々に上がる形となります。テープ製剤は急激に高い濃度まで上がるようなことはありません。(下表参照)

ホクナリン2mg 健常成人単回投与時 薬物動態パラメータ (ホクナリン添付文書より)
. Cmax (ng/ml) max (時間) 1/2 (時間)
内服(2mg錠) 3.19
テープ(2mg) 1.35 11.8 5.9
テープ貼付後 約12時間ではがれ、新しいテープに貼りかえたと仮定した場合、
その約12時間後には 約1.69 ng/ml の最高血中濃度に達すると予測されます。
この値は、はがれずにテープを貼り続けた場合の最高血中濃度 1.35 ng/mlの1.3倍になりますが、
内服したときの最高血中濃度 6 ng/mlに比べると、ずっと低い値となります。

途中でテープが剥がれてしまった場合、新しいテープを貼り直したとしても、まず問題はないとは思います。
しかし私はより安全のため、上記の患者さんの例のように同じテープを絆創膏などでとめて貼り直すことをすすめています。





ホクナリンテープは、皮膚から徐々に薬が吸収され、ゆっくりと効果があらわれ、持続します。貼付後 8〜12時間後に効きめのピークがあらわれるため、明け方の咳き込みなどを抑えるには、夕〜眠前に貼るのが効果的でしょう。
体が皮脂などで汚れていると剥がれやすくなるため、私は入浴後の貼付を勧めています。入浴後しばらくして、汗や水分等よくふき取ってから貼付するよう、伝えています。貼付時、しっかりとテープを押さえつけると、よりはがれにくくなるそうです。

2mgのテープ剤の場合、24時間貼り続けることで、総量2mgが吸収されるのですが、たとえ途中の12時間で剥がれたとしても、すでに8割以上の吸収は完了しています。よって、12時間以上たってテープがはがれてしまった場合、はがれたテープは再貼付する必要はないと伝えています。
またテープによってかぶれがひどいような患者さんの場合にも、「12時間たったら、剥がしてもいいですよ」と伝えることも有ります。

薬の話 No.63/平成18年 6月11日)

 

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