薬の話


薬剤師として できること 

薬局に、患者さんからの問い合わせの電話が入りました。

患者さん: こんにちは。お薬についてお聞きしたいんですが・・
今トイレに行ったんですが、排尿時に少し痛みがありまして。また終わったあともすっきりしなくて、残尿感があるんですが。
このような時に、以前いただいたお薬を服用してもいいでしょうか?
薬剤師: どんなお薬でしょうか?
患者さん: クラビットという薬です。
薬剤師: その薬は、どういう症状のときにもらわれた薬でしょうか?
患者さん: 多分風邪のときにもらったと思います。飲み残して余っています。
薬の説明書には、膀胱の病気にも効くと書いてあるんですが・・
薬剤師: そうですね。クラビットは膀胱炎などにも良く効く薬です。
でも作用の強い薬なので、自分の判断で使うのは良くないですね。
先生に直接問い合わせるか、または受診して、今の症状に合ったお薬を処方してもらってください。



           




薬局にいると、以前もらったお薬を、このような症状のときに使っていいかという質問も時々受けます。
患者さんは自分を頼って聞いてきておられるのだし、また即答してあげたほうが患者さんも早く楽になれていいと、ついつい、安易に返答してしまいがちです。しかしこれは、薬剤師としてできる範囲を超えるように思います。



調剤薬局での薬剤師の役割は、大きく二つ・・薬の有効性の確保と、安全性の確保といわれます。

●有効性の確保について

たとえば、ある薬で、一日量400mgが必要なところ、100mgしか処方されていなかったとします。
この場合、服用しても用量不足で十分に効かないおそれがあります。このようなときは、処方の間違いではないか、処方医に確認します。

また食前でないとうまく吸収されない薬が、食後服用の指示で処方されているときも、薬が十分に効かないおそれがあります。このようなときも、処方の間違いの可能性を考慮して、処方医に問い合わせします。

・・・このように、薬効が十分発揮できるよう、注意を払っています。

●安全性の確保について

たとえば一日量100mgでよい薬が、400mg処方されていたとします。この場合、中毒域に達して危険なことも有ります。このようなときは、処方の間違いの可能性を考慮して、処方医に問い合わせします。

また薬が安全に使われるためには、副作用の問題は避けて通れません。
あらかじめ説明することにより回避できる副作用については、積極的に説明しています。たとえば、光線過敏を起こしやすい薬の場合などは、強い日差しを避けることによりあらかじめ防げる副作用なので、積極的に説明しています。

まためったに起きることではないが、起きれば非常に重大な副作用については、患者さんからよく話を聞いて、副作用の前ぶれ的な兆候が現れていないかなどに注意しています。

また、薬によっては危険な飲み合わせも有ります。このため他院から危険な飲み合せのある薬を処方されていないかなど、併用薬のチェックをしています。

・・・これらのように、くすりが安全に使われるよう、注意を払っています。



           



しかし、こうした薬剤師の仕事も、なんでも自由にやっていいわけではありません。
用量や用法など、処方箋に書かれた内容に疑問を持っても、処方医の了解なしで勝手に書き換えることはできません。処方の内容に立ち入るには、医師の了解が必要です。

最初の電話による問い合わせの話に戻りますが、以前処方されたクラビットという薬は、そのときの症状に合わせて処方された薬です。
こちらで勝手に、こういう症状のときにのんでも良いというのは、書かれた用法を変更したことになってしまうと思います。


処方箋は医師だけが書ける特権。医師の権利を侵さないように気をつけなくてはいけません。
しかし、範囲を守りながらも、やはり積極的に、安全性と有効性の面で患者さんをサポートしていけたらと思います。


薬の話 No.63/平成18年2月18日)
 


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