薬の話


骨粗しょう症の薬の飲み方

骨粗しょう症の治療薬に、ベネット(リセドロン酸ナトリウム)とよばれるものがあります。
骨から血液中へカルシウム分が溶け出るのを防ぐことにより、骨粗しょう症を改善する薬です。
ベネットは、服用に際して、いくつかの注意点があります。

以下は、当薬局を訪れた78歳の女性と、薬剤師との会話です。

<院外処方せん>
ベネット(2.5mg)
1錠 起床時

14日分
薬剤師: こんにちは。今日も前回と同じ、ベネットが出ていますね。
この薬を飲まれて、なにか気がかりなことはありませんか?
患者さん: いいえ、特にありません。
でもこの薬は、飲み方にいろいろ気を使いますね。
いつも朝起きて一番に飲むようにしていますが。
薬剤師: そうですね。これからも朝一番に服用してくださいね。そしてその後30分は、何も食べたり飲んだりしないように。薬の吸収がグ〜ンと悪くなってしまいますから。
今、この薬以外に何か服用している薬はありますか?
患者さん: 病院の薬は無いんですが、自分でサプリメントのCa剤を摂っています。
薬剤師: そうですか。Ca剤とベネットを一緒にとると、ベネットが吸収されにくくなるので、くれぐれも一緒に飲まないように気をつけてくださいね。
患者さん: 吸収が悪くなるんだったら、Ca剤はやめといたほうがいいですね。
薬剤師: ベネットを服用している間は、血液中のCaが不足しがちになるので、積極的に摂っていただいていいですよ。
ただし、Ca剤は、ベネット服用後30分以上経ってから摂るようにして下さい。そうすれば大丈夫ですから。






ベネットは一般名リセドロン酸ナトリウムといい、ビスホスフォネート系という系統に分類される骨粗しょう症の薬です。
私たちの骨は、一度作られたらそれで終わり・・・ではなく、日々新しいものへと入れ替わっています。
つまり、骨は絶えず新陳代謝を繰り返しているのです。
古い骨は破骨細胞によってこわされ、その壊された部分には、骨芽細胞によって新しい骨が形成されていくのです。
この、骨を作る働きと、壊す働きがバランスを保って初めて、正常な骨量が得られます。
しかし、もし壊す方が盛んになってしまうと、骨はどんどん減ってしまいます。
ベネットはこの壊す方、つまり破骨細胞の働きを抑えることにより、骨粗しょう症を治療します。

ベネットは、服用に際し、いくつかの注意点があります。

ひとつは、食道潰瘍の問題です。
ベネットは食道粘膜に潰瘍を作り易いのです。薬が食道に留まることの無いように、確実に胃に送るため、十分な水(コップ一杯、180ml)で服用することが必要です。
また、服用した後の30分は、横にならない注意が必要です。横になると薬が食道にとどまり易く、またいったん胃に入った薬が再び食道に逆流し易いのです。
このため、ベネットは、寝たきりの人は服用できません。

もうひとつは、吸収の問題です。
ベネットの吸収を良くするためには、服用した後、しばらくは水以外のものは摂らないようにする必要があります。
もしベネットを服用してすぐ朝食を摂ったり他の薬を服用してしまうと、ベネットの吸収は非常に悪くなってしまう場合があるからです。
これは、食物や薬に含まれるカルシウムや鉄、マグネシウムなどの陽イオンが、ベネットと難溶性の塩を作り、消化管からほとんど吸収されない形になってしまうためです。例えばCaイオンを多く含む牛乳や、海外製のミネラルウォーターは、ベネットと共に摂らないよう気をつけなければいけません。また紅茶やコーヒーもベネットの吸収を非常に悪くします。

ベネットを服用した後30分間は、飲んだり食べたりしない・・ちょっと我慢が必要ですが、これも吸収を良くするために必要なんですね。ただし服用後30分経てば、何を摂っていただいてもかまいません。摂ってしまうとそれ以後の薬の吸収は悪くなりますが、それまでの30分の間に吸収された薬の量で、十分な薬効が得られるからです。

これらの注意は、ベネットだけでなく、他のビスホスフォネート系骨粗しょう症治療薬((ボナロンやフォサマック、アクトネルなど)にも、共通して言えることです。

また上記の患者さん例のように、ビスホスフォネート系の薬を服用している患者さんが、骨粗しょう症に良いと考えてCa剤を併用することは、十分考えられることです。くれぐれも同時服用することの無いよう、これらの薬やサプリメントも30分経ってから摂るよう、気をつけて下さい。


薬の話 No.55/平成.16年1月4日)


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