薬の話


高 脂 血 症 の 薬


<院外処方せん>
リピトール(10mg) 1錠
分1 夕食後

14日分
一般名;アトルバスタチン
HMG-CoA還元酵素阻害剤

薬剤師: こんにちは。今日から新しい薬が出ていますね。
先生からは薬について何か聞いておられますか?
患者さん: はい、ずっと前からコレステロールが高いといわれていたんですが、
食事に気をつけるだけで特に薬は出ていませんでした。
でも今日、血管の検査結果が出て、年齢以上に動脈硬化が進んでいると
言われました。
薬剤師: そうですか。今日の薬はリピトールといって、コレステロールを下げるお薬です。
コレステロールは主に肝臓で作られるんですが、この薬は肝臓でコレステロールが
作られるのを妨げる薬です。
患者さん: これから作るコレステロールを減らすんですか?
だったら、今までに作られて、すでに多くなったコレステロールは、もう減らないんですか?
薬剤師: いいえ、減らしてくれますよ。コレステロールは体に必要なものですから、肝臓で作る量が減った分、血液中から肝臓へ回収するコレステロールの量が増えます。それで血液中のコレステロールが減ります。
患者さん: 年齢以上に動脈硬化が進んでいるといわれたのがとても気がかりなんですが、この薬を飲んでいると、動脈硬化も良くなるんですか?
薬剤師: そうですね。動脈硬化も少しずつ改善してくれると思います。
それと、動脈硬化がなぜ怖いかというと、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいからなんです。
この薬は、こうした病気も予防くれますよ。





  


リピトールは肝臓におけるコレステロールの合成を抑えて、その結果 コレステロールの血中濃度を下げる薬です。
この薬は一般名をアトルバスタチンといいますが、同じ仲間に、「プラバスタチン」「フルバスタチン」・・などがあり、いすれも語尾にスタチンがつくことから、これらをまとめてスタチン系と呼んでいます。

スタチン系のコレステロール低下作用は強力で、中性脂肪やコレステロールなどが高くなる高脂血症のうち、コレステロールが高いタイプには、第一選択薬となります。

スタチン系はまた心血管系障害の発症を約30%抑えることが複数の疫学調査で明らかになっています。また最近は脳血管障害の発症も有意に抑えることも、やはり統計で明らかになりました。
主なスタチン系薬
一般名 商品名
プラバスタチン メバロチン
シンバスタチン リポバス
フルバスタチン ローコール
アトルバスタチン リピトール
セリバスタチン
(販売中止)
セルタ


プラバスタチンを用いた疫学調査では、動脈硬化で狭くなってしまった血管も、プラバスタチン服用によってその硬化病変を有意に縮小させることが明らかになりました。つまり動脈硬化は退縮(改善)することが明らかになったわけです。しかし、その退縮はごくごくわずかで、それだけではとても心血管障害の発症を30%も抑えることが説明できませんでした。

最近の研究では、心血管障害の発症に、プラークの破綻が大きく関与すると考えられています。
プラークとは、コレステロールや中性脂肪が増えたときに血管壁にできやすいもので、動脈硬化の隆起物です。非常に脂質に富み、不安定で壊れやすいものです。これが厄介なのは、非常にもろくて膜が破れやすく、破れると急激に血栓ができてしまう点です。

今までは、高脂血症で心筋梗塞や脳梗塞などが起きる原因は、動脈硬化が進んで血管内腔が狭くなり、やがて血管が閉塞するためと考えられていました。しかし現在は、血管の閉塞よりもむしろ、脂質に富んだ不安定なプラークが壊れて急激に血栓が生じることのほうが主な要因であると、考えられています。

スタチンは、プラークを安定させ、膜を破れにくくする作用があり、主にこの作用で強力に心血管障害などを抑制しているものと考えられています。

スタチンの良いことばかりを書きましたが、注意していただきたい点もあります。
スタチンによる副作用でもっとも重大なものとして、横紋筋融解症という筋肉障害が報告されています。自覚症状として、筋肉の抜けるような脱力感、赤褐色の尿などがあります。めったに起きることではありませんが、念のためこうした症状に気をつけながら、服用していただきたいと思います。

薬の話 No.52 平成15年6月15日)


[参考文献]
後藤田貴也:粥状動脈硬化症進展における高脂血症の関与、最新医学 56(6): 1144-1150, 2001.
山村修、他:脳梗塞、医学と薬学 49(2): 180-187, 2003.
高橋和男、他:高脂血症治療の意義とEBM、最新医学 56(6): 1127-1133, 2001.


スタチン関する詳しい説明は、こちら

 

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