薬の話


デパケンR を 噛んで服用しても良い?

「デパケン」や、「デパケン」 は、てんかんの薬です。
デパケンは普通錠ですが、デパケンRの方は、薬が徐々に溶け出るようにと工夫された徐放剤です。

徐放剤のデパケンRを服用している患者さんから、以下のような質問メールを受けました。


質問(患者さん): 今までの「デパケン」は、オレンジのとても溶けやすい錠剤だったんですが、「デパケン」に変わってからは、糖衣錠でとても溶け難いようなんです。
どうもうまく薬が溶けず、そのまま便に出てきてしまっているみたいなんです。

トイレで、しょっちゅう、未消化の錠剤のかたまりがポカンと水に浮いています。
網の目状というか軽石状というか・・トイレットペーパーでつまんで潰してみると、グズグズっと潰れるんです。

先週、病院でデパケンRの血中濃度を測りました。今度、3ヶ月後の診察でその結果を聞く予定です。
未消化のデパケンRが そのまま便に出てくる事が続くようであれば、3ヶ月後の診察まで待たず、早めに診ていただいたほうがいいですか?

また未消化で出てくるということは、薬がうまく効いていないということですよね。
デパケンの裏に「かまずに飲んでください」と書いてありますが、未消化で出るのであれば噛んで飲んだほうが良いのでは?と思ったのですが・・・・・やっぱり噛んじゃダメでしょうか?


回答(薬剤師): 添付文書にも記載されていますが、デパケンRはどうしても便に白い残渣が出るようです。
でも残渣が出ているだけで、中身の薬はきちんと溶けていると思いますよ。

ただ、下痢をしているなどの場合は、薬が溶け出す前に排泄されてしまって、そのまま薬が出てしまっていることもあり得ます。
下痢が続いているような場合は、早めに受診されたほうがいいと思います。
そんな時、血液検査結果でもし血中濃度が上がっていないようであれば、先生に相談されて他の剤形・・たとえば散剤・・などに変えていただくことも出来ると思います。

下痢をしていないなら、まず問題はないと思いますよ。
残渣が出ているだけで、薬の成分はちゃんと吸収されていると思います。
しかし念のため、今度の血液検査の結果には気をつけておいてください。

あとデパケンRは、けっして噛まずに、そのまま飲んで下さい。
薬が少しずつ溶け出るようにと工夫された薬なので、噛むと、その工夫が壊れて急激に薬の血中濃度が上がってしまうかもしれません。
裏に書いてあるとおり、噛まずに、そのまま飲んで下さい。










デパケンRで、便に白いかたまりが出てくるという質問は時々受けます。
製薬会社に問合せたところ、やはりこの種の問合せは非常に多いとのことでした。

デパケンRは網目状の構造体(マトリックス)の中に薬を分散させ、その薬が少しずつ溶け出るようにと工夫された徐放性製剤です。
薬は溶け出ても、その後には網目状の構造体が抜け殻のように残り、残骸としてそのまま便に出てきてしまうそうです。患者さんがトイレで見たものは、薬が溶け出た後の残骸だと思われます。
しかし、あたかも薬がそのまま出てきているように見えるため、きちんと溶けていないのではないかと不安に思う患者さんも多いようです。
メーカーでは10時間以上体内に留まっていたなら、ほぼ完全に吸収されていると思われるため、心配はいらないとの回答でした。
(下痢などの場合は、じゅうぶん薬が溶け出る以前に排泄されるため、薬の放出が不完全になる恐れがあります。)

私が気にかかるのは、残骸がそのまま出てきたのを見た患者さんが、よく吸収されるようにと、噛んで服用したいと思われることです。
私の元にも、「デパケンRを、噛んで服用してよいか?」の質問メールが、時々寄せられます。

デパケンRの「R」は、少しずつ溶け出る徐放性製剤ということを表しています。
消化器官内で少しずつ溶けて薬が放出され、徐々に吸収されるようにと工夫されおり、次のような利点があります。

一つは、少しずつ溶け出るために薬の効果が長く続き、一日の服用回数を減らすことが出来ることです。

二つめは、徐々に溶け出すために、飲んだ後の血中濃度の上がり方が穏やかということです。
普通錠であれば飲んだ直後から急速に、しかも高いレベルまで血中濃度がはね上がるのに比べ、徐放剤では血中濃度の上がり方が緩やかで、かつ高く上がりすぎないため、より安全といえます。

しかし、せっかくの徐放剤でも、噛むと薬が一度に放出されて、急激に血中濃度が上がる恐れがあります。
安全に使用するために、必ず注意書きどおり、噛まずにそのまま飲んでいただきたいと思います。


薬の話 No.51/平成15年 4月20日)


 
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