薬の話


小 児 の 解 熱 剤
※ともに、成分はアセトアミノフェン

5歳児、体重18kg
(この他に抗生剤バナン2.1gも処方)
<院外処方せん>

ナパ 0.5g   分3 毎食後 
14日分

アルピニー坐薬[100mg] 3個
1日1個、高熱時肛門に挿入

薬剤師: こんにちは、今日はどうされましたか?
患児の母: はい、朝から咽が痛いといいまして。
熱も少しあるようなんです。今のところ、微熱ですけど。
薬剤師: 先生は、どうおっしゃっていましたか?
患児の母: はい、咽がだいぶ腫れているそうです。
これから熱が上がるかもしれないねといわれました。
薬剤師: そうですか。今日は解熱剤が出ています。
ナパという飲み薬と、アルピニーという坐薬です。

この二つは、名前は違いますが、中味はどちらも同じ成分の薬です。

ところで、飲み薬と坐薬はどちらも同じ成分の薬なんですが、どのように使い分けるか、先生からお聞きになっていますか?
患児の母: はい、昼間は毎食後に飲み薬を飲み、それでも熱が高かったら夜寝る前に坐薬を入れるようにといわれました。
薬剤師: そうですね。それが一番使いやすい方法だと思います。
38.5℃を目安に、それ以上だったら寝る前に坐薬を使ってください。
患児の母: もし昼間、どうしても熱が高かったら、坐薬を昼間に使ってもいいですか?
薬剤師: いいですよ。でも、飲み薬との間隔は少なくとも4時間は保っていただきたいです。
昼間に熱が上がって坐薬を入れる場合があっても、前回飲んだ飲み薬と坐薬との間隔は4時間以上あけるようにして下さい。
またその坐薬と、次の飲み薬の間隔も4時間以上あくように、飲み薬の服用時間を後へずらしてください。



             



上記のナパとアルピニーはどちらもアセトアミノフェンという成分の薬です。
アセトアミノフェンは、比較的安全な鎮痛解熱剤とされています。
お医者さんから処方される解熱薬や市販のかぜ薬、痛み止めなど、非常に数多くの薬に、アセトアミノフェンは配合されています。
よって、複数の薬を併用する場合は気をつけないと、重複してアセトアミノフェンを服用してしまうこともあります。
商品名は違うからと安心していると、中味は同じアセトアミノフェンだった・・ということも起こり得ます。
アセトアミノフェンは、少々重なって多く服用しても、低体温などの副作用はおきにくいのですが、それでもやはり気をつけたいものです。

一方、アセトアミノフェン以外にも多くの解熱剤があります。
これらの中には、以下に示すように、注意が必要なものもあります。

 アスピリンをはじめとするサリチル酸系解熱剤
インフルエンザや水痘などのウイルス性の疾患にかかっている小児に、解熱剤としてアスピリンを用いた場合、ライ症候群という、非常に致死率の高い脳症を引き起こす危険性が高まると考えられています。
アスピリンだけでなくアスピリンアルミニウム等のサリチル酸系の解熱剤は使えません。小児用の一般向けかぜ薬には、これらの成分は入れないことになっています。
またサリチルアミドやエテンザミドもアスピリンと構造が似ており、注意が呼びかけられています。風邪の時に処方されるPL顆粒にはサリチルアミドが含まれているため、小児のインフルエンザや水痘には使わないよう注意されています。


 メフェナム酸
ポンタールなどの商品名で販売されています。
インフルエンザ脳症を発症している患者にポンタールを解熱剤として投与すると、脳症を悪化させる恐れがあるとされています。よって、インフルエンザによる発熱には、ポンタールは投与しないようにと注意されています。


 ジクロフェナク
ボルタレンなどの商品名で販売されています。
ボルタレンの場合もインフルエンザ脳症を発症している患者に投与すると、脳症を悪化させる恐れがあるとされています。よって、インフルエンザ脳症を起こしている患者には、ボルタレンは投与できません。
また、ボルタレンによるライ症候群も報告されているため、水痘やインフルエンザなどウイルス性疾患にかかっている小児には投与できません。



これらを総合すると、比較的安全な解熱剤は、やはりアセトアミノフェンといえそうです。
しかしアセトアミノフェンでも、その安全性はオールマイティではありません。薬疹を起こす例も報告されているからです。
こうした過敏症には十分注意しながら、上手に利用したいものです。


薬の話 No.49/平成 15年 1月 5日)
 
 
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