薬の話

喘息吸入液 の 作り置き


右図のような院外処方箋が、薬局へFAXで送られてきました。

<院外処方せん>
80歳、男性

吸入用

ビソルボン吸入液 1.0ml
ベネトリン吸入液 0.3ml
蒸留水 0.7ml

以上 1回量

20回分


交感神経を刺激することにより気管支を拡張させるベネトリンと、痰の喀出を助けるビソルボンが処方されています。
おそらく患者さんは喘息で、この薬剤を、自家用の吸入器(ネブライザー)を用いて吸入するものと思われます。

近くの医院からの院外処方箋ですが、この医院から こうした内容の処方箋を受け取るのは、今回が初めてです。

ところで この吸入は、喘息発作時の頓用なのでしょうか?それとも毎日定期的に吸入するのでしょうか?

また 薬剤が3種類書かれていますが、これらは 吸入する際に患者さん自身が計量混和して調製するのでしょうか?
それとも、20回分をこちらの薬局の方で混合しておくのでしょうか?

・・こうした点が不明であったため、処方医に電話で問合せました。







薬剤師 / 処方医

もしもし。○○調剤薬局ですが、先ほどファックスで送られてきた処方に付いて、お尋ねいたします。

処方箋では 「蒸留水を混和」となっていますが、吸入の場合、浸透圧の面から、蒸留水よりも生食(生理食塩水)のほうが 好ましいと思いますが・・。



そうですか。では蒸留水をやめて 同量の生食に替えてください。


分かりました。
それから、それぞれの薬剤は こちらの薬局で混合して患者さんにお渡しすればよろしいでしょうか?


はい、薬局のほうで あらかじめ20回分を混合して、患者さんにお渡ししてください。
本来は、患者さんに、吸入直前に計量・混合してもらった方がいいのですが、この患者さんはほぼ寝たきりで煩雑な操作が困難ですし、また計量間違いがあってもいけませんから。

分かりました。ではこちらで混合して、お渡しします。
ところで、この患者さんは、どういった用法で吸入されるのか教えていただけますか。



患者さんには、ほぼ定期的に 1日2回 吸入するようにと伝えてあります。



1日2回で 20回分だと・・・10日分ということですか。



そうですね・・ただ患者さんの病状によって、調子のいい日は休むとして・・だいたい、10日から14日分と考えています。


そうですか。では、ビソルボンとベネトリンと生食を混合して、14日間 作り置きすることになりますが・・。
その混合薬剤が14日間安定かどうか、先生のほうで今までに なにか、確認などはされていますか?




いいえ、安定性については分かりません。そちらで調べて下さい。




早速、ビソルボンのメーカーであるベーリンガーに問合せました。

ビソルボン・ベネトリン・生食 を、混和して30日間の変化を調べたデータが、メーカー側には有りました。
安定性について、「三剤を混合しても、30日間 配合変化無く、安定」という回答がメーカーから得られ、このことを主治医にフィードバックしました。

また保存に際しては配合変化だけではなく、雑菌汚染への配慮も必要です。
患者さんが吸入時に薬剤を量り取る時には、どうしてもボトル内へ雑菌が混入してしまう危険性が出てきます。このリスクをできるだけ減らすため、小瓶に分けて充填したものを患者さんにお渡しすることにしました。

薬の話 No.45/H.14. 5. 1)


 
TOP
BACK NEXT