薬の話
緑内障とは、視神経に異常が起きるために視野が欠けるという、進行すれば失明にもつながる怖い病気です。
以前は、高い眼圧が目の奥にある視神経を圧迫して視神経にダメージを与え、そのために視野が欠けてくると考えられていましたが,最近は、眼圧が高くないのに視神経に異常をきたす緑内障もあることが分かってきました。この緑内障は正常眼圧緑内障と呼ばれ、眼圧が高い緑内障よりも、高い割合で発症していることが明らかになってきました。
| 薬剤師 | / | 患者さん |
正常眼圧緑内障と診断されている患者さんが薬局を訪れました。この患者さんには、キサラタン(一般名ラタノプロスト)という、眼圧を下げる点眼液が処方されています。
でも、点眼薬の減り方が少し遅いようです。
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こんにちは。今日は前回と同じ、眼圧を下げる点眼液 「キサラタン」が出ていますね。
薬歴を見て・・
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前回ここに来られたのが、3ヶ月前ですね。3ヶ月間をキサラタン 1本では、足りなかったのではないですか?
ええ。
目薬をさすのをよく忘れてしまって・・
そうですか。
キサラタンは眼圧を下げる大切なお薬ですから、これからは忘れないようにしてくださいね。
はい・・これから気をつけます。
あのぅ・・先生からは「眼圧は高くない。」と言われているんですが・・・ 眼圧が高くなくても、やっぱり
この薬は ささなくては いけないんですよね。
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そうですね。眼圧が正常範囲でも、あなたにとっては まだ高いということなので、この薬が必要だと思いますよ。
前回の時、ここの薬剤師さんは、薬を渡す時に「このキサラタンは眼圧を下げる薬です。」と説明されたんです。
ある日、友達と目薬のことを話していたら、その友人が「眼圧が高くないと先生に言われているんだったら、眼圧を下げる目薬なんかべつに必要ないんじゃないの?」と言ったんです。それで、それからは あんまり真面目に目薬をさす気がしてなかったんですよね。
そうでしたか・・こちらの説明も少し不十分だったかもしれませんね。すみませんでした。
正常眼圧緑内障の患者さんの視神経は、他の人に比べ弱いのではないかと考えられているんです。だから、たとえ眼圧が正常でも、その圧迫に耐えられずに視神経が押しつぶされてしまうのです。つまり眼圧が正常でも、あなたにとってはまだ高いということなんですね。
目の奥にある視神経を眼圧から守るためには、今よりも更に眼圧を下げることが必要なんです。先生もそう考えてこの眼圧を下げる薬を出しておられると思いますよ。
正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲にあるにもかかわらず 視神経乳頭(網膜から視神経線維の束が出て行く部分)に異常をきたし、視野が欠けてくる病気です。
視神経乳頭に異常をきたす原因としては、もともと視神経が弱くて正常な眼圧にも耐えられない、あるいは視神経を取り巻く血管に血流障害があって視神経に十分な栄養や酸素を届けられない・・などが考えられます。
一般に、眼圧が高い緑内障に比べると、正常眼圧緑内障は病気の進行が緩やかですが、それでも何らかの手段で視神経障害の進行をくい止めなければ、失明に至る恐れがあります。
視神経は、いったんダメージを受けると、もう元には戻りません。
高い眼圧の緑内障であれば、眼圧を下げることが、進行をくい止める治療法となります。では、最初から眼圧が高くない正常眼圧緑内障の場合は、どのようにして進行をくい止めればいいのでしょうか?
同じ正常眼圧の範囲内であっても、より低い眼圧にある目の方が、緑内障の進行が少なかった・・こうした統計データが数多くあります。このことから、正常眼圧緑内障であっても、眼圧を下げることは有用であると考えられているのです。つまり、正常眼圧緑内障の場合も、眼圧を下げる点眼薬が大切な治療薬なのです。
一方、視神経乳頭の血流が増加できれば視神経障害の進行を抑えられることが推測されますが、今のところ、血流改善の治療薬が確定されるまでには至っていないようです。
しかし、ある種の点眼薬や内服薬が視神経乳頭の血流を改善したという報告が次々となされており、こうしたデータが多数積み重ねられることにより、血流改善の治療法が確立されるのも、近い将来であろうと思います。
(薬の話 No.44/H 14.3.21)
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