薬の話

アトピー と 白内障
アトピー性皮膚炎の患者さんの中には 白内障や網膜剥離などの眼障害を訴える人もいます。
私が勤務する調剤薬局では皮膚科や眼科から処方せんを受けますが、その中には やはり若年層の白内障の処方例も 時々あります。
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薬剤師 |
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患者さん |
母親が、19歳になる娘の処方せんを持って調剤薬局を訪れました。処方せんには白内障の進行を抑制する薬(カリーユニ)が処方されています。
娘の眼を案じて、この母親はとても心配そうでした。
:こんにちは。今日は点眼薬が出ています。
こちらは カリーユニといって 白内障の進行を抑える薬です。よく振ってから点眼して下さい。
ところで 患者さんはまだお若いですが 白内障があるのですか?
:はい。うちの娘なんですが、アトピーでずっと皮膚科にも通っていました。 最近急に「ものが見にくい」と言いまして・・
急いで眼科に連れてきたのです。
:そうですか・・。眼科の先生はどのようにおっしゃっていましたか。
:目をこすったり、たたいたりしていなかったかと尋ねられていました。
娘は かくことがいけないといわれてきたので、それならばたたけばいいと思ったらしく、 よく目をたたいていたそうです。 私は気づかなかったんですが・・。
でも今日は先生からたたくことを禁止されました。顔面のかゆみをとるには、冷やすのが効果的だそうです。
顔面のアトピー患者さんは健常者に比べて、白内障や網膜剥離を より高率に起こしやすいそうです。
とくに若年層でのこうした眼障害は今後の生活に重大な影響を与えるため、顔面のアトピーがひどい患者さんは定期的に眼科医の診察を受けることをお勧めします。
アトピー体質の人は 目のレンズ(水晶体)にも病変を起こしてレンズを濁らせる場合があり、特に 顔面のアトピーが悪化したときに白内障が起きやすいそうです。
また、かゆみのために目をたたいたり こすったりすることも、白内障や網膜剥離を引き起こす1因となります。
目をたたかないためにも、かゆみを抑えるステロイドを積極的に顔面に使用すべきと考える医師も 少なくないようです。
しかし、私は顔面にステロイド剤を使用するには、やはり細心の注意が必要だと思います。副作用として皮膚萎縮や毛細血管拡張などがあるからです。
また、長期にステロイドを使用した後 急に中止した場合に、離脱後のリバウンドが起こることがあります。このときは顔面の皮疹が急に悪化するので、より白内障を起こしやすい状態にあるともいえます。
なお ステロイドは、副作用として白内障を起こす場合があることが知られていますが、これはあくまでステロイド内服の場合であって、ステロイド外用では そうした副作用は特にみとめられていないそうです。
最近は、ステロイドとは異なる、免疫抑制剤の外用薬(プロトピック軟膏)が開発されました。当薬局でも 時々顔面のアトピー患者に投薬しています。
前述したような、ステロイドにみられる副作用がおきにくく、顔面のアトピー患者さんには朗報となるよう期待しています。
(薬の話 No.32/H 12.05.01)