薬の話

薬疹を起こす薬剤
薬を飲んで薬疹が出た・・・薬局窓口で患者さんに接していると、このような事例に時々遭遇します。しかし、患者さんの中で薬疹を起こした原因薬剤の名前を知っている人は、意外に少ないと感じます。
薬の名前が分からなければ、また再び原因薬物を服用してしまう危険性があります。
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薬剤師 |
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患者さん |
初めて薬局に来られた患者さんに、問診票を書いてもらいました。副作用の欄に、「薬疹が出たこと、有り。原因薬;ピリン」と患者さんが
記載されていました。
:記載、ありがとうございました。
ところで、ピリンによって 薬疹が出たとのことですが、もう少し詳しく聞かせていただけませんか。
:はい、2〜3年前と思いますが、中耳炎で
** 耳鼻科にかかった時にいただいたお薬で
ぽつぽつが出たんです。
:それは、ピリンが原因だと分かっているのですか?
:いいえ、発疹だから たぶんピリンだろうと
自分で思っています。
:そうですか。では、何が原因薬なのか、はっきり
わからないですねぇ。
耳鼻科の先生は その時 何か おっしゃっていましたか?
:発疹が出たと訴えたら、「では 薬を変えましょう。」と言われました。
原因薬の名前は、先生が知っています。
以上は、実際 ある患者さんとのやりとりです。患者さんに薬疹が起きた場合、その原因薬を医療関係者だけが知っていても意味がありません。
また、薬疹が出たために薬を変更すれば、その場はしのげたかもしれませんが、今後
患者さんが どの薬に気をつければいいのか不明のままです。
患者さんが今後その薬剤を服用しないためにも、患者さん自身に薬剤名を知らせなくてはいけないと思います。
さらに、患者さんが薬疹の原因薬を ピリンと思い込んでいる事も、また問題です。問診票に患者さんが書いた原因薬剤名を、そのまま信じてはいけないと痛感しています。

薬疹とは、薬が全身に吸収された後、皮膚や粘膜など
目に見える部分に発生する病変のことです。
薬疹にはいろいろな種類があります。 はしかのような発疹ができる場合や、いろんな形の紅斑や紫斑が出来る場合、あるいは皮膚が剥がれ落ちたり、やけどのような水疱が出来たり・・・と、その病態や重篤度も様々です。また最近は、光があたった部分に一致して浮腫性紅斑ができる「光線過敏型薬疹」が増えているそうです。
薬疹の原因は、アレルギー反応によるものが大部分です。
薬剤自体 抗原となるには分子量は小さいのですが、血液中のタンパクと結合する事により分子量が大きくなり、抗原となり得ます。
抗原として生体に認識され それに対する抗体ができる・・つまり、「感作が成立する」・・までの時間は、薬剤によりかなり差があるようです。
はやいもので数日、長いもので数年以上かかる場合があるそうです。(そのため
長い間飲み続けた薬で、今まで何とも無かったのに
ある日突然 薬疹が出始める・・・ということも
ありうるわけですね。)
しかし、いったん抗体ができてしまうと、次に薬が体内に入ってきた時に、今度はすぐに
アレルギー反応が起きてしまうのです。
アレルギーが「遅延型」による場合は数時間後ぐらいから、また「即時型」による場合はわずか数分〜十数分で発症し始めます。
このアレルギー反応は 繰り返されるうちに どんどん重症化することを念頭に置かなくてはいけません。
よって、薬疹が起きたのに 次にもまた同じ薬を服用・・・このようなことを漫然と繰り返すと、ついには命に関わるアナフィラキシーショックがおきたり、より致死率の高い型の薬疹へと移行する等、重症化していく恐れがあるのです。
薬疹が出たために処方が変更になった場合、調剤薬局でも
その経緯は分かります。
再び同じ薬を服用しないためにも、薬剤情報や処方箋コピーなどで、その時の処方薬すべての名前を患者さん自身
に知らせる事が大切だと思います。
また 患者さん自身も、原因薬の名前を 主治医から教えられなかった時は、自分から医師に聞くように心がけて下さい。
そして他院にかかる都度、それを示すことが大切です。
また薬疹が起きた時に服用していた薬が複数あって 原因薬を特定できない時は、(特定するために)
皮膚科を受診をされた方がいいと思います。
(薬の話 No.27/H 11.10.22)
薬疹に関するより詳しい説明は、こちら → 主な薬疹の種類
<参考文献>
「調剤と情報 1997年 5月号〜10月号」薬業時報社 (目で見る薬の副作用
第17〜22回)
「医薬品作用の基礎と応用」薬業時報社 p.706-715