薬の話

ステロイド内服剤 の副作用

われわれの体内にある副腎皮質では、コレステロールを原料として、3種類の
副腎皮質ホルモン(鉱質コルチコイド、糖質コルチコイド、男・女性ホルモン)が作られています。
このうち鉱質コルチコイドは、アルドステロンに代表され、「遠位尿細管において
Naを再吸収し、Kを排泄する」という電解質代謝作用を持っています。
一方、合成の副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)も、鉱質コルチコイドと同様の電解質代謝作用を示し、Naの再吸収やKの排泄を促進します。
Na再吸収促進の結果、水分の貯留が起きやすくなり、副作用として
浮腫や 高血圧が現われることがあります。
ステロイド剤の中で、リンデロンは この電解質代謝作用はほとんど無いのですが、それでも高血圧の患者に原則禁忌となっています。
私の場合、ステロイド剤内服の患者さんには、必要に応じて「塩分を控え、フルーツをよく摂ってください。」と指導するようにしています。
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薬剤師
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患者さん(74歳、男性)
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こんにちは。今日は 新しい飲み薬が出ていますね。少し症状が悪化しましたか?

ええ、今までの 飲み薬(ザジデンとアタラックスP;抗アレルギー剤)と 塗り薬 だけでは、かゆみが おさまらなかったんです。
そうですか。
本日、皮膚科からの処方箋
<院外処方せん>
分2 朝夕食後
7日分
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きょう新しく出たお薬は、リンデロン(一般名ベタメタゾン)という、ステロイドのお薬です。合成の副腎皮質ホルモン剤
で、アレルギーやかゆみを抑えるお薬です。胃を保護するためにマーズレンS(胃潰瘍治療薬)が いっしょに出ていますが、このリンデロンは
、胃を荒らさないように必ず食後に飲んでください。

ステロイドって怖い薬ですよね。
:必要な時に最小限使う・・・ それができれば、この薬は 強力にかゆみを抑えてくれるとても良いお薬なんですが・・・でも確かに副作用も多いですね。もし万一胃の具合が悪い、ひどく喉が渇くなど、いつもと違う気になることがあれば何でも直ぐにおっしゃってください。
:
はい、わかりました。
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併用薬(他院でもらっている高血圧の薬)
アダラート(Ca拮抗剤)
フルイトラン(サイアジド系利尿剤) |

:いま、他の病院の薬を 飲んでおられますか?

高血圧で**病院に通っています。そこで出された薬の情報を持っています。これです。
:お借りします。高血圧ですか・・・アダラートとフルイトランを服用されているのですね。アダラート(一般名ニフェジピン;Ca拮抗剤)を飲まれていますが、高血圧のことは、きょうリンデロンを出した
皮膚科の先生はご存知ですか?

:ええ、先生にも、この紙(薬剤情報提供書)を見せたので 知っていると思います。
:そうですか。
でも、もしこれから血圧が上がることがあれば、皮膚科の先生に 、もう一度、そのことを伝えてください。それから、今
フルイトラン(サイアジド系利尿薬)も飲まれているようですね。リンデロンもフルイトランも、カリウムを不足させるので、よくフルーツを摂るようにしてください。

:フルーツだったら大丈夫、大好きなので毎日のように食べています。
ステロイド内服剤の副作用は、前述の 「ナトリウム貯留
カリウム排泄」だけではありません。
感染症の増悪、消化性潰瘍、糖尿、骨粗鬆症、緑内障、白内障などなど、命や予後に関わる重大な副作用が
山積みです。
実際の副腎皮質ホルモンは 私たちの体内で多岐にわたる働きをしているので、合成ステロイド剤も
同様の作用を示してしまいます。その中で 抗炎症、抗アレルギー、免疫抑制作用だけを引き出したいところですが、実際は
それ以外の作用も 副作用となって 出てきてしまうのです。
もう一つ、ステロイドの怖いところは、副腎抑制です。
ステロイド剤を長期に飲んで いつもステロイドが体内にある状態が続くと、からだが「副腎皮質ホルモンがたくさん出ているので ACTH(脳下垂体から出る、副腎皮質刺激ホルモン)を分泌しないように」と、誤った命令を脳に送ってしまうのです。その結果、ACTHの分泌が抑制され、よって副腎皮質ホルモンも分泌されなくなってしまいます。
この状態で、もし 外部からの合成ステロイド剤も
何らかの理由で急に中止されれば、体内には副腎皮質ホルモンがゼロとなってしまいます。
生命維持に不可欠な副腎皮質ホルモンが無い・・・これは、場合によっては死に至ることをも
意味します。
患者さんによっては、膠原病など、ステロイドが欠かせない方もおられます。もしステロイドの内服が長く続いていたら、「自分の判断で決して中止しないように」 と患者さんに指導しなくてはいけないと思います。
上記の皮膚科ドクターの場合は、こうした副腎抑制を少しでも減らすために、投与量を漸減する、半減期の長いリンデロンから短いプレドニンに変える、朝1回の服用にする、隔日投与にする・・など、症状の軽減とともに 処方も変えておられるようです。
(薬の話 No.20/H 11.05.23)