薬の話


ジゴキシン の 中毒


心不全の治療薬として用いられるジゴキシンは 治療域と中毒域が接近しており、服薬指導も 特別な注意が必要です。



薬剤師 / 患児 (2歳 、男児)の母親

ファックス受信した処方箋
いつもは、1) 2) だけの処方だが、今回は 3)が追加されていた。

テルギンG(フマル酸クレマスチン)の「分3」用法については、添付文書の用法「分2」と異なるため、疑義照会が必要なケースでした。・・読者の方よりご指摘頂きました。
<院外処方せん>
1)
ジゴシン散 0.1%     0.1g
ラックビー微粒      0.5g
分2  朝夕食後  30日分
2)
ラシックス細粒     0.375g

アルダクトンA細粒   0.15g
分2  朝夕食後  30日分
3)
セフゾン細粒        1.5g
アスベリン散        0.3g
ムコダイン細粒       0.6g

テルギンG ドライシロップ 0.4g
  
分3   毎食後   7日分

:こんにちは、お薬はもう出来ていますよ。
今日は風邪をひいちゃったのかな?



ええ、少し咳が出て・・・先生はかぜ薬も出すようにおっしゃっていました。



そうですね、1週間分出ています。このお薬(セフゾン、アスベリン)を飲むと、尿や便の色が少し赤くなるかもしれませんが、心配 いりませんよ。今日は抗生物質(セフゾン)も出ていて、もしかすると下痢をするかもしれませんね。
万一,下痢が 長く続くようだと、早めに受診された方が いいと思いますよ。



下痢は良くないのですか?



:そうですね、いつも飲んでいる 心臓の働きを助けるお薬(ジゴシン)の効き目が、強くなるかもしれないですね。ところで、お薬の方は 時間や分量を守って 飲めていますか?



はい、大丈夫です。だいぶ慣れてきました。









ジゴシン(一般名ジゴキシン;強心薬)は、心拍数を下げ、また心臓をしっかり収縮させる作用を持つため、心不全の治療薬として用いられます。
しかしこの薬剤は、治療域と中毒域の間隔が非常に狭く、また併用薬の影響も受けやすいので、注意が必要です。
病院によっては ジゴキシンの血中濃度を測定、解析する事により、薬剤師が 処方計画に参加している所もあります。

ジギタリス中毒で最も怖いのは、危険な不整脈です。
このほか 悪心、嘔吐が現われることもありますが、これらは中毒域に達していることを知らせる 指標になるという意味では、都合のいい中毒症状かもしれません。

これらの中毒は、血清の カリウム値が低下した時に起きやすいので、電解質のバランスを崩しやすい下痢や嘔吐が続く状態には 気を付けたほうがいいと思います。特にこの患児の場合、幅広い菌に対して有効なセフゾンが出ているため、腸内細菌のバランスを崩して下痢をしやすいかもしれません。

また、うっ血を取り 心臓の負担を軽くするために、利尿剤も処方されていますが、ラシックス(一般名 フロセミド; ループ利尿薬)はカリウムを排泄するので注意が必要です。
この処方の場合は、アルダクトンA(一般名 スピロノラクトン; カリウム保持性利尿薬)を併用することにより、カリウムの排泄を防いでいると思います。

心臓病のお子さんを抱えたお母さんは、精神的にも 、とても大変です。ジゴシンを頼るお母さんに、そのジゴシンが、使い方を誤ると毒にもなることを伝えるのは心が痛みます。しかし、いちどは しっかり説明をしなくてはいけない と思います。
お母さんが一人で抱え込まないよう、服薬指導の時には、何でも相談できるような雰囲気作りが大切だと感じます。


薬の話 No.18/H 11.04.14)
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