蒲田学校薬剤師会の紹介

薬物乱用防止活動について

 学校薬剤師の活動の一つに、薬物乱用を防止するための教育的活動があります。薬の専門家として乱用薬物の危険性を周知させるため、学校号においては児童や父兄、教師に対して、また、時には地域住民に対しても乱用薬物に関する情報提供や助言、講話などを通し、直接的、間接的に薬物乱用の防止活動にかかわっています。児童を取り巻く環境も大きく変わってきており、薬物乱用の問題は、より深刻化が進んでいる状況です。学校薬剤師は、薬物乱用から破滅への道を、未然に防ぐために、地道な啓蒙活動をしています。
<児童を取り巻く環境の変化>
・不良外国人による未成年者への乱用薬物の販売。
・乱用薬物に対するイメージの変化=乱用薬物のファッション化(テレビ、映画、芸能人などの影響は大きい。)
・手軽に手に入れることが出来るようになった社会状況。
・インターネット、携帯電話の普及による新たな売買ルートの広がり。
・海外ルートによる覚せい剤密輸の増加。
・集団で行動する若者は勝手に顧客を増やしてくれるので売る側(売人)に狙われやすい。

 都心の繁華街ではお金さえあれば容易く乱用薬物が手に入る状況です。また、「ダイエットに効く」「記憶力が良くなり勉強がはかどる」「気分がよくなる」などと騙されて薬物に手を出してしまう例や、「仲間はずれになりたくない」など集団で行動する若者特有の行動意識から乱用を始めてしまうケースも目立ちます。

<乱用薬物のファッション化>
多くの俗称を持つ乱用薬物
覚せい剤・・・・スピード、エス、アイス
マリファナ・・グラス、チョコ、ハッシッシ
コカイン・・・・コーク、クラック、スノー
LSD・・・・・・ペーパー、アシッド、シュガー
MDMA・・・・エクスタシー
シンナー・・・・アンパン

S(エス)やスピードが、覚せい剤であるとは知らずに、勧められるままに手を出してしまう例もあります。

<覚せい剤乱用の深刻化>
日本では最も多く乱用されている薬物、覚せい剤。
現在は、第3期覚せい剤乱用期とまで言われています。


                (東京都健康局医薬品安全部資料より)

覚せい剤による検挙者の数が群を抜いて高いのがわかります。また大麻の検挙者も増加の傾向にあります。

<覚せい剤乱用の特徴>
従来の注射による覚せい剤の乱用方法から今日では、より手軽な方法である吸入(あぶり)が好まれ流行しています。
ガラス器具を使ったものからアルミ箔をつかった簡単な方法での吸入(あぶり)は覚せい剤の乱用を手軽にし、現在、乱用する若者の間では主流となっています。

(注射は痛みを注射器自体の入手も困難であり、エイズなどの感染症の危険も大きい。)

(「あぶり」と呼ばれるアルミ箔を使った吸引方法、ライターの火でアルミ箔上の覚せい剤をあぶり、気化した覚せい剤を吸入する。)

(「きんぎょ」と呼ばれる覚せい剤の水溶液。口から飲み込む。)

(簡単に摂取できる錠剤型の覚せい剤、ヤーバー)
他にも覚せい剤の結晶をすりつぶしてストローで鼻から吸い、鼻粘膜から吸収する方法もある(通称、スニッフ、スニッフィング)。

(スニッフ用に短く切ったストロー)

保護者の方々はアルミ箔や、短く切ったストローのゴミが子供部屋にあったら注意する必要があります。

<薬物乱用による影響>
乱用される薬物には人に対してもたらす快楽の他に3つの危険性を併せ持っています。
@依存
  乱用されるほとんどの薬物は一度使用するとなかなかやめられなくなる。
A耐性
  同じ効果、快感を得るためには、除々に使用量を増やしていかなければならなくなる。
Bフラッシュバック
  薬物の乱用を止め、治療により普通の生活に戻ったようでも、心理的ストレス、睡眠不足、飲酒、他の薬物の乱用がきっかけとなって、突然、幻覚、幻聴、妄想などの精神異常が再燃することがある。

<薬物乱用への間違った認識
薬物に手を出してしまった多くの青少年は薬物に対して誤った認識を持っています。
・一回だけなら中毒(依存症)にならない。
・一回だけなら乱用ではない。
・自分はいつでも薬物を止める事ができる。
果たしてそうでしょうか?
 乱用される薬物はすべて脳に快感を与えるものばかりです。快感を覚えた脳は本人の意思とは無関係に再び快感を得るために薬物を摂取するように命令を発し続けます。
それはお腹が減ったら食べ物を求めるのと同じように、薬物に壊された脳はごく自然に乱用者の心に薬を使うように要求し続けるのです。そして、その要求を拒む事はその人個人の力(遺志)ではもはや不可能になります。これが依存症と言われる状態です。依存症はたった1回の使用でも形成される事もあり本人の遺志とは無関係に引き起こされる事なのです。
 薬物乱用の結果たどる道はみな同じです。
刑務所(少年院)、薬物性精神病、死(事故、自殺、中毒死)。


         (フラッシュバックと薬物性精神病の模式図)

 残念ながら薬物を乱用し始める前の自分(健康、精神状態)に戻る事は決して出来ません。出来るのは乱用を中断し症状がこれ以上進行するのを防ぐ事だけなのです。

<薬物乱用に関するアンケート結果>
東京都内のある中学校2年生を対象にに実施したもの

問1、薬物を乱用するのは個人の自由だと思う。
@はい  Aいいえ






問2、友人や先輩に薬物を勧められたらどうしますか。
@逃げる
Aやめるように話をする
B自分はやらないと断る
C1回位ならと手を出す
D興味があるので積極的にやってみる







問3、覚醒剤を一度だけならやってみたいと思った事がある。
@はい
Aいいえ
B無回答







問4、身近に薬物を乱用している人がいますか?
@いる
Aうわさで知っている
Bいない
C無回答







 個人の自由を履き違えている児童が多く、薬物乱用の問題が社会全体に影響を与える問題であると言う認識が足りないのが分かります。薬物に興味を持っている好奇心旺盛な児童も少なからずいます。
 最近では、身近に薬物乱用者が「いる」、「うわさで知っている」を合わせると10%もの児童の身近に薬物汚染が近づいているようです。
この中学校ではここ数年、徐々にこの割合が増えてきているのが大変懸念されます。

 「ウチの子に限って」は実際に薬物に手を出してしまった子供の親がよく言うセリフですが、保護者の側も、中学生の周りでさえ10人に1人の割合で薬物汚染が身近になって来ている現実を、認識するべきです。
 将来に関わる問題として、家庭でも乱用薬物に対して話をする機会が必要です。薬物乱用の徴候を見逃さないようにしましょう。
・言葉遣いが粗暴になる。
・がらの悪い友人達とつきあい始める。
・夜間外出し、朝なかなか起きてこない。
・家族と食卓につかなくなる。
・息がくさい(覚せい剤乱用の場合)。
・子供部屋のゴミ箱にアルミ箔や短く切ったストローがある。

 子供を取り巻く社会が一体となって薬物乱用を許さない環境づくりが大切です。

 学校薬剤師も薬物乱用の無い社会の実現のため、学校を中心に活動を続けています。

(注)写真の一部と「フラッシュバックと薬物性精神病の模式図」に関しては(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの発行資材より転用、又は参考にしアレンジしたものを掲載しています。

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