ケサリア・ストゥーパ

 

  

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世界最大のストゥーパがケサリアで発掘されました。このストゥーパはインドネシア・ジャワ島にあるボロブドールを凌ぐ巨大なものです。ストゥーパが発掘されたケサリアは東チャンパランにあります。

地元の人の話によると、ケサリアは昔、ケーシュプットラ・ニガム(ニガムは『大きな街』の意味)と呼ばれていました。この地はブッダが出家した時にアルマ・カルマ(ALAM -KALAM=ブッダの最初の師)に出会った場所であり、また、涅槃にはいるためにクシナガルへの最後の旅に出たおり、ヴァイシャーリの人々に托鉢の鉢を手渡した場所だとされています。この高さが104フィートある壮大な遺跡は、ボロブドール遺跡より1フィート高く、1934年にこの地を襲った地震以前には123フィートあったと言われています。(ある記録にはもともと150フィートあったと記されています。ボロブドールももとは130フィートあったといわれています。地震などによって高さが変わったのではないかということです。)

この遺跡は近年、K・K・ムハマンド氏(ASIビハール支部の次長)を団長とするインド考古学局(ASI)の調査団によって発掘されました。発掘は元の形を損なわないように、少しずつ、細心の注意を払って、現在も進行中です。インド考古学局はこの場所を政府の所有地とし、緑地のままにしておくことを提案しています。発掘が完了すれば、この地はブッダが『マハパリニルヴァナ』(永遠の旅)に立つおり、最後に立ち寄った場所として、観光客、とりわけ南アジアからの参拝客を多数集めることになると思われます。

 

伝説によると、ブッダは初めチャパル・チャイティヤで、その後クタガルシャラ(どちらもヴァイシャーリの地名)で二度も3ヶ月以内に訪れる自らの死を予言されたといわれています。ブッダを心の拠り所としていたヴァイシャーリの人々は、悲しみのあまり、到底その予言を受け入れることができませんでした。嘆き悲しみながら、ヴァイシャーリの人々はこの地までブッダの後についてきたのです。ご自分の生涯における数々の出来事に深く結びついた町を振り返ったときに、『私がヴァイシャーリを見るのも、これが最後だ』と、ブッダはその思いを声にされました。

ゴータマがケサリアの地に着かれたとき、随行の人々に向かって、もうここからヴァイシャーリに戻るように、そして、もう自分の教えることは全て教え尽くしたと言われました。そして、唯一の持ち物であった托鉢の鉢を弟子のアーナンダに手渡しました。そのことを記念して、人々はそこにちいさな泥のストゥーパを作りました。それが時を経るにしたがって、ブッダを信奉する人々により、高さを加えられていくことになったのです。

 

クシャーナ朝(45〜250年頃)時代には、ストゥーパは拡張され、特徴のある煉瓦造りの建物になりました。紀元6世紀のグプタ朝時代には、さらに巨大なものになり、百以上ものテラコッタ製の仏像で飾られるようになりました。時代がさらに下ると、このストゥーパがモデルとなり、ブータン、ミャンマー、ティベットなど外国の建築物に影響を与えるようになります。ケサリアの影響を受けたストゥーパや寺院には、韓国のチョルタン、ブータンのスエサンダゥ・パゴタ、ティベットのチェルテン・トリング、マレーシアのミンガラ・チェティとミンガラ・ゾティなどがあります。これらのストゥーパや寺院はどれも、1000年以上も前に建てられたものです。

しかし、なんと言っても、ケサリアの建設様式を踏襲した建造物の中でも秀逸なものは、紀元800年に建設されたジャワのボロブドールです。

 

ケサリアストゥーパは有名なサンチーのストゥーパ(77.5フィート)よりも高さにおいて遙かに勝っています。今日、ボロブドールもサンチーも、ともに世界遺産に登録されています。

興味深いことに、ケサリアストゥーパもボロブドールも共に6段設計になっています。ケサリアストゥーパの直径を計るためには、発掘を待たなくてはなりません。(ある研究者によれば、ボロブドールとケサリアストゥーパの直径は同じではないかと考えられていますが、ケサリアはまだ下の部分が地中にあるため、これよりも大きいことも充分考えられると言うことです。)

 

3年間続いた発掘作業をもってしても、まだストゥーパはその前面部を現わしたに過ぎませんが、この半分しか見ることが出来ない部分からでさえ、その荘厳さは充分に伺い知ることができます。

 

 

ストゥーパはかなり煉瓦が崩れているので、ある程度修復していますし、崩れないように周りに煉瓦造りのフォートのようなものを設置して補強しています。何体か仏像も発掘されおり(全て同じ形です)、保存状態は良好ではありますが、イスラム教徒により破壊されたということで、頭部は発見されていません。仏像は薄いレンガ色に塗装しなおすという作業が行われているため、レプリカの様に見えてしまいます。仏像の高さは約1mで、ブッダが瞑想している姿です。

 

 現地の人はストゥーパに登っている人もいますが、まだ発掘途中の為、グループで観光に行き、上まで登ることはできないそうです。)ただし、ふもとで写真を撮ることは可能です。

 

 

 

ケサリアストゥーパ遠景はこちら:

発掘前は、写真右半分のように一面草と木で覆われており、丘のように見えていたと言います。イギリスの植民地時代にはこの辺りは藍の産地で、イギリス人は農民の監視のためにこの丘を展望台として利用していたそうです。現在、このストゥーパの周囲には商業施設は何もなく、広大な田園地帯です。

 

地図はこちら

 

現地への交通:

ヴァイシャーリより直通道路(細い村道)あり。(バスは通行不能。アンバサダーは可能。)

VAISHALI    KOLUHA    BAKHRA →  ZAFARPUR    SHAHEBGANJ    KESARIA

☆ヴァイシャーリー〜チャンパーラン(ムザファールプール経由)所要時間は約3時間

☆パトナからムザファールプール経由で直接チャンパランに行く場合の所要時間は約4時間