PEGA-SA500とMcFileの相性問題について

2001/10/14 作成
2001/10/15 公開
2001/10/17 追加
2001/10/18 追加

現在(2001/10/14)、PEGA-SA500に同根されているアップデータをPEG-S300/S500C（いわゆる初代クリエ)に適用すると、McFile Ver.1.2が起動時に致命的エラーになるという現象が発生しています。この現象を独自に調査したところ、PEGA-SA500の問題ではなくMcFile側のバグであることが判明したため、McFile利用者の方向けの対応方法および、開発者向けの情報をここに記述します。

なお、今回の相性問題の解決については、McFileおよび当サイトで公開しているアプリケーションプログラムでのみ調査対応を行っています。そのため、他のアプリケーションプログラムで発生している相性問題には当てはまらない可能性がありますが、同様の症状で悩まれている開発者の方は、「開発者向け情報」の項目を参照してみてください。【追加】公式な見解が発表されたので、開発者の方はそちも合わせ参照してください。

※このページ内の情報を使用した、または、使用しなかったことによ る全ての損害について作者はその責を負いませんし、また不具合等に対処する義務も一切負わない事をここで明らかにしておきます。

• 症状
  PEG-S300/S500C 等のハイレゾ対応していない機種へ PEGA-SA500 で提供されるアップデータを適用すると、McFile が起動時に致命的エラーで
  停止する。なお、この症状は日本国内未発売のOS4.0搭載ノーマル解像度機であるPEG-S320でも発生します。
  
  
• 原因
  McFile でハイレゾ適用機種の判定を誤って処理していたため、上記アップデータを適用するとハイレゾ対応でない機種(PEG-S300/500C等)でもハイレゾ用のコマンドを使用してしまい、その結果として致命的エラーになる。
  
  
• 対応
  現在、ハイレゾ適用判定を正常に行うように修正した McFile Ver.11.3を公開していますので、入れ替えてください。また、βテスト中の McFile Ver.2.0b5 ではこの問題は発生しません。
  
  
• その他
  当サイトで公開しているアプリケーションの中で、「TRAIN for Palm/Pilot」「DATrainTime(アプリ版およびTTimeConf)」「PocketBBS」はMcFile Ver.1.2と同様の障害が発生することが確認されています。こちも対応版を公開していますので、導入さている方は最新版へ入れ替えてください。
  
  
• 開発者向け情報
  今回のバグは McFile 内でハイレゾライブラリをロードするする部分のロジックがおかしかったため発生しました。このロジックは他のアプリケーションにも含まれている可能性が高いと判断したため(*1)、以下にバグが含まれていたロジックと修正内容を記述しておきます。なお、この内容は独自に調査したものであり、メーカーからの正規な情報ではありません。アプリケーションの修正等を行う場合は必ず自身で内容の検証行い、問題が無いことを確認してから実施してください。
  
  (*1)実は SonySDK のドキュメントから切り貼りして、若干手を加えただけのものです。
  
  【追加】2001/10/16 の更新で SonySDK のハイレゾライブラリの実装例が修正されました。
  
  
  バグが含まれているハイレゾライブラリロードのコード
  
  以下のコードを見ていただくとわかると思いますが、06行目のFtrGet でエラーになる場合(初代CLIE等のソニー独自Ftrが存在していない機種)は、ハイレゾライブラリをコールする部分はスキップされますが、06行目でエラーにならず、尚且つsonySysFtrSysInfoP->libr &sonySysFtrSysInfoLibrHRが偽（ソニー独自Ftrが存在するがハイレゾ未対応機、つまり初代CLIE+PEGA-SA500およびPEG-S320)の場合はerrorの内容はそのまま保持されることになり、結果として18行目のifが真となりハイレゾライブラリのリファレンス番号を獲得していないもかかわらず、HROpen を実行してしまい致命的エラーになります。
  
  

  01	SonySysFtrSysInfoP sonySysFtrSysInfoP;
  02	Err error = 0;
  03	Err status = 0;
  04	UInt16 refNum;
  05
  06	if ((error = FtrGet(sonySysFtrCreator,sonySysFtrNumSysInfoP, (UInt32*)&sonySysFtrSysInfoP))) {
  07	/* Not CLIE: maybe not available */
  08	} else {
  09	if (sonySysFtrSysInfoP->libr & sonySysFtrSysInfoLibrHR) {
  10	/* HR available */
  11	if ((error = SysLibFind(sonySysLibNameHR, &refNum))){
  12	if (error == sysErrLibNotFound) {
  13	/* couldn’t find lib */
  14	error = SysLibLoad( ‘libr’, sonySysFileCHRLib,&refNum );
  15	}
  16	}
  17	}
  18	if (!error ) {
  19	/* ハイレゾモードを使用する */
  20	error = HROpen(refNum );
  21	・
  22	・
  23	}
  24	}

  
  
  
  修正したコード
  
  今回は、09行目が真だった場合のみ、ハイレゾライブラリを使用するように変更しました。
  
  

  01	SonySysFtrSysInfoP sonySysFtrSysInfoP;
  02	Err error = 0;
  03	Err status = 0;
  04	UInt16 refNum;
  05
  06	if ((error = FtrGet(sonySysFtrCreator,sonySysFtrNumSysInfoP, (UInt32*)&sonySysFtrSysInfoP))) {
  07	/* Not CLIE: maybe not available */
  08	} else {
  09	if (sonySysFtrSysInfoP->libr & sonySysFtrSysInfoLibrHR) {
  10	/* HR available */
  11	if ((error = SysLibFind(sonySysLibNameHR, &refNum))){
  12	if (error == sysErrLibNotFound) {
  13	/* couldn’t find lib */
  14	error = SysLibLoad( ‘libr’, sonySysFileCHRLib,&refNum );
  15	}
  16	}
  17	if (!error ) {
  18	/* ハイレゾモードを使用する */
  19	error = HROpen(refNum );
  20	・
  21	・
  22	}
  23	}
  24	}

  ※この症状についてはPEGA-SA500が手元になくとも、CLIEのデベロッパーサイトでIDの登録を行い、PEG-S320のROMイメージとエミュレータを入手することでデバッグは可能です（私はそのようにしてデバッグして、PEGA-SA500ユーザーの方に最終チェックをお願いしました)。
  
  

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