「筑波山系ネイチャー・センター構想(仮称)の試案」

                                   平成19年11月12日
                                   作成:  高梁 百山


水郷筑波国定公園の一部である、筑波山系(筑波山、加波山、吾国山、愛宕山など)は、低山にも関わら
ず豊富な自然環境に恵まれ、ブナ林に代表される豊かな緑、約800種を越える様々なお花、種類の豊富
な鳥獣類が生存しており、筑波山神社、加波山神社、愛宕山神社、薬王院、などの宗教的な結びつきもあ
って、観光客、登山者が四季を通し溢れています。

しかし一方で、違法な登山ルートの開設、動植物の違法な盗掘・狩猟、登山道・林道・関連施設の整備に
伴う環境への悪影響が重なり、自然環境の悪化や動植物の減少を招いています。特に、植物類の環境保護
や保全対策が遅れたため、近年、多くの植物が絶滅の危機にあります。

「筑波山系ネイチャー・センター構想(仮称)」は、関連する国、自治体、団体、NPO、ボランテイア、
有識者などの協力を得て筑波山に開設する施設をイメージし、筑波山の環境・植物・鳥獣保護の活動拠点
として、積極的な筑波山系の自然保護活動を推進する活動の全体構想です。

1.筑波山系の自然保護活動の課題項目

(1)体制→筑波山(筑波山系)の自然保護活動が一本化されておらず、個々の思惑で行動している
(2)法規・条例→国定公園が受ける、国、県、市などの法規や条例が何で、どんな規制内容か不鮮明
(3)拠点→活動拠点が無いため、筑波山系の情報公開もなく、自然保護活動の拠り所や組織がない
(4)業者→県、市などの受託業者が遵守すべき、自然保護活動関連の作業項目・内容が不鮮明である
(5)観光客→筑波山の持つ特殊性による事故が発生し、装備・服装などを指導し防ぐ必要がある
(6)登山者→登山ルート・遵守項目の公開、罰則規定などを徹底し、事故発生を防ぐ必要がある
(7)森林→間伐不足による森林整備が遅れ、ブナ林保護、松枯れ防止など課題が山積している
(8)植物→現状調査と分析が不十分で、絶滅寸前の種も多く、保護活動に加え育成保護が必要である
(9)鳥獣→外来種も増え混乱し、猪などの個体数増加による森林、登山道、林道が荒廃している
(10)監視→自然保護に反する行為が多く、監視・パトロールの絶対数を強化し防止する必要がある

2.対策案(案)

(1)組織→国定公園の一部である「筑波山系」の「自然保護活動」を一本化し、活動を活性化する

   「名称案」:筑波山系ネイチャー・センター活動

   「体制案」(国、自然保護団体、NPO活動支援団体などの協力を得る)

      環境保全茨城県民会議
      茨城県(生活環境部)→市の関連部(つくば市、桜川市、石岡市、笠間市)
                →観光協会、業界の団体
                →NPO、グループ(つくば環境フォーラムなど)
                →ボランテイア団体(各市の団体などに呼びかける)
                →個人(活動拠点や、HPなどで積極参加を呼びかける)
                →有識者(茨城県自然博物館、筑波実験植物園、筑波大学など)

(2)活動拠点→つつじケ丘などに、「筑波山系ネイチャー・センター(仮称)」を開設する
       →国、県、市などの助成を受け開設し、運営管理は原則としてボランテイアが行う
       →必要により、関係する市ごとに活動拠点、活動組織を設ける

   「筑波山系ネイチャー・センター(仮称)にて公開する情報項目(案)」

  a.筑波山系の情報公開→交通網、登山道、森林、動物、植物、歴史、行事など
  b.自然保護活動状況→組織、活動内容、成果、参加勧誘、
  c.写真展示→施設、自然、動物、植物、行事、活動など
  d.研究成果展示→自然保護活動に関連した研究成果など
  e.観光・登山情報のアドバイス→施設、観光ルート、登山ルート、動植物などの情報提供
  f.関連法規、条例の公開→遵守項目の具体的な公開、罰則規定と事例紹介など
  g.情報管理→駐車場、登山道、林道、設備、工事などの情報管理と公開

(3)具体的な活動例(案)

  a.森林整備とボランテイア活動→間伐作業、草刈り、森林清掃などへの参加
  b.植物の保護・保全活動→林道、登山道などの草刈り、植物保護、植生作業への参加
  c.動植物のガイト→定期的に、樹木、植物、鳥、施設などの観察会、探査会などを開催
  d.登山ガイド→筑波山系の登山ルートの紹介や、ガイドをボランテイアで行う
  e.パトロール→監視パトロールの腕章を付け、定期的に設定ルート他を巡回する
  f.啓蒙活動→ポスター、ワッペン、標識などの作成、配布、設置し、講演などを行う

(4)人材育成(案)

  a.シンポジウムの開催→筑波山系の自然保護全体の開設、活動成果発表、活動内容の議論など
  b.植物関連の人材育成→専門家により、筑波山系の植物関連を講義してもらうセミナー開催
  c.鳥類関連の人材育成→専門家により、筑波山系の鳥類関連を講義してもらうセミナー開催
  d.地質関連の人材育成→専門家により、筑波山系の地質関連を講義してもらうセミナー開催
  e.筑波山系ガイドの認定→誰でも受けられる簡単な試験を行い、合格したものにはバッチを提供

3.筑波山・自然保護活動の作業項目の整理

(1)自然保護関連の法整備

  a.既存法規の整理→国定公園に関連する法規を整理し、分かり易く整理し公開する
  b.関連条例の整備→県、市などの関連法令を整理し、必要により修正・追加の提案を行う
  c.実施環境の整備→法令、条例の公開、パトロールなどを行い、自然保護の啓蒙活動を行う
  d.関連機関との協議→環境保全茨城県民会議、環境再生保全機構、茨城県・国の関連機関

(2)緑化環境の整理

  a.森林整備→枝払い、下草刈、などの環境整備の具体的な手順・規則案を作成する
  b.森林育成→森林(ブナ林等)の保全と、積極的な育成などの具体的な手順・規則案を作成する
  c.植物保護育成→草花の詳細調査、保護・育成方法の検討、育成保護区域の設定などを行う

(3)自然保護施設の環境整備

  a.林道整備→林道整備項目を整理し、清掃などの具体的な作業基準を設ける
  b.登山道整備→登山道整備項目を整理し、清掃などの具体的な作業基準を設ける
  c.駐車場整備→駐車場整備項目を整理し、清掃などの具体的な作業基準を設ける
  d.トイレ整備→トイレ整備項目を整理し、清掃などの具体的な作業基準を設ける
  e.ゴミ環境整備→ゴミ環境整備項目を整理し、清掃などの具体的な作業基準を設ける

(4)自然保護活動の体制整備

  a.活動組織の整備→行政(県、市)、業者、NPO、個人などの一体的な組織化(活動内容と役割)
  b.活動拠点の整備→行政、業者、NPO、個人などを支援する組織拠点を設け、情報公開を行う
  c.活動の定常化整備→決められた活動内容と役割を、定常的に実施し活動成果を評価する
  e.シンポジウム開催→個人、団体、NPO、市町村、県、有識者、などの幅広い知識の集約と組織化

4.筑波山・自然保護活動の人材活用

(1)筑波山の地質、動植物などの専門知識を持つ人材、組織の活用→茨城県自然博物館、筑波実験植物園
                                小・中・高校、筑波大学
(2)筑波山の動植物を見守る人々の活用→NPO、ボランテイア団体、グループ、個人
(3)筑波山に隣接する市町村の活用→市町村の自然保護活動、筑波山に関連した行事などの取込み
(4)関連業者との連携→県から協定委託を受けた各市は、発注業者を本活動に協力させる

5.参考資料(自然保護活動を行っている団体など)

(1)霧が峰パークボランテイア
(2)石川県白山自然保護センター
(3)日本高山植物保護協会JAFPA
(4)高山植物を守ろう
(5)環境再生保全機構
(6)環境保全茨城県民会議
(7)つくば環境フォーラム