雉潜み 老婆が歩む 千駄掘
(5/25/'97、晴れ)

散歩の途中で、彩りの鮮やかな雄の雉に会いました。

昔しの地名で呼べば、八ヶ崎村から千駄掘村にかけては、
木々に囲まれた大きな農家が、高台にどっしりと家を構え、
細い入り込んだ村の道が、遠い昔しの面影を残しています。

この僅かに残された自然のままの林には、雉が生息しており、
畑が連なった農道に、時々その彩りの鮮やかな姿を見せることがあります。
人が近づいても慌てて飛び立つことをせず、茂みに潜んで身を守ります。
今はすっかり腰が曲がった老婆が、ゆっくりと散歩を楽しんでいました。

村の道の角かどには道祖神が奉られ、先祖代々のお墓にはお地蔵様が並び立ち、
見知らぬ人に会っても挨拶を交わす、そんな素朴さが残る千駄掘です。
今は武蔵野線がその中を走り、新しい道路が村を寸断しつつあります。

甲高い雉の鳴き声も、あと僅かの楽しみかもしれません。