「なぜCCCDに反対なのか?」
遅くなりましたが、いち音楽ファンとしての管理人のCCCDに対する考えです。
わたしの意見を一言で言うと
「こんなに不完全なもの(CDSによるCCCD)はとても認められない」です。
コピープロテクト事体には反対するつもりはありませんが、
"今のような不完全な物を、売る側がきちんとした説明もせず主流にしようとする"
ようなやり方にはどうにも納得が行かないのです。
・ほとんどのCDプレイヤーでは再生が保証されておらず、機種や
使用状態によっては再生されないこともあるというのに
・かからなかった場合でも返品は一切受け付けず、
以上についてはごくカンタンな説明しかしていない。
さらに、
・再生時CDプレイヤーに著しく負担をかけて寿命を縮める
(場合によっては故障に至る)可能性があるのにそのことには触れず、
・音質の点でも、今までのCDと比べて「原音に忠実な記録、再生の点で劣る」
と言われていることもメーカー側は認めていません。
しかもそこまで弊害のあるコピープロテクトなのに、パソコンにある程度慣れた人ならば解除することはさほど難しくはないのです。
パソコン環境への対応のいい加減さも信じられません。
CCCDをWIN PCのCD-ROMドライブに入れると
・いきなりなんの断りもなく、勝手にレジストリを書き換えたり
ファイルをコピーしたりされたうえで、
・聴けるのはパソコン用圧縮音源(CCCDの規格により47Kbps〜132Kbps、
ちなみに通常のCD音源は16bit×44.1kHz×2=1411.2Kbps)
(水道水真水さんよりご指摘を受けて太字の部分訂正しました、↑ステレオ音源ならばこうなるそうです)
つまりCDに入っているオーディオトラックよりもかなり音質の劣る別物です。
(参考リンク:萩原健太さんがPC JAPANに寄せた文章
“WIN-PCにCCCDが一体何をしているか”がわかります)
これはずいぶんユーザをナメた話しではありませんか。
(しかも勝手に変えられたPCを元通りにするには、avexのサイトからDLしたアンインストーラでは根絶できず、FacsyS「avex CCCD Player 完全アンインストーラ」でないとダメだそうです)
さらに、MacintoshやUNIXには全く対応していないのもいい加減です。
オーディオ機器での再生保証がないこと、そして
すべてのパソコンでの再生保証をしていないということ。
いずれにしても、メーカー側からユーザを限定することは、売り上げに自ら歯止めをかけているようなものだと思います。
音楽配信メモ:1/22トップ記事
「電子透かしを入れた音楽ファイルの有効性を確認」を見ると、
CDS(現行CCCD)よりも技術的にまともなCCCDが作れる可能性があるようなのに
現在の(音質にも影響の大きい)中途半端なプロテクトを主流にしている事も
大きな不信感のひとつです。
一体なぜそんないい加減な方式を採用しているのでしょうか。
調べても調べても疑問のつきないCCCD問題ですが、現時点でのわたしの反対理由は以上です。(2003.02.16.)
●Homeへ● ●CCCDアンケートへ●
(以下は付け足し的な心情的反対意見です、もし気が向かれましたらご覧ください)
CCCDで最も不安なのは再生機器に過剰な負担をかける点ではありますが、心情的に一番許せないのは音質をないがしろにしている事です。
以下、C堂 CCCD特集に掲載されている山下達郎さんがCCCDについて発言した文章から一部引用させていただきます。
>「えー、15年間CDというもののクオリティーに対して非常に疑問をもちつつですね、
>やってきて、やっとここまで、えー改善してきたのにこれでまた、そういう音質的に
>ですね、あの欠陥がある、いかなる要素もですね、私は認めませんので‥‥」
また、別の機会の達郎さんの発言で「マスタリング技術は年々、日進月歩で向上している」ということを知りました。だから年月を経た音源はリマスターの必要があるのだ、と。それで、あれだけ多くの洋楽アーティストのリマスター盤が続々、物によっては何度も出される理由がやっとわかりました。
これらの話から、CDやレコーディング技術に関わる方々が、今までいかに「より良い音」を求めて研究・努力されてきたかが伺われます。おそらく、全員が同じ方向を目指して苦心されて来たことでしょう。
それなのにCCCDはその流れに逆らうような、今まで積み上げてきた根幹を揺るがすような物としか思えません。今までの数多くの技術者や、現場の方々は一体これをどう受け止めているのでしょうか。
そしてアーティスト自身にとっても、せっかく作り上げた大切な作品が自分の意図しない音質でリスナーに届けられるとあっては無念なのではないか?と。
また、現在CCCDよりも有益なコピーガードを持つメディア(DVD-AやSACDなど)がすでに出回り始めていることを見れば、CCCDがおそらく一過性のメディアになることは目に見えています。そういう流れになったとき憂き目を見るのは、アーティストとその音楽です。たまたまその時期CCCDで世に出てしまったために、一時の徒花のごとくなってしまうケースがありうるかも、と思うと耐えられない想いです。アーティストを守るために導入したはずのCCCDによってかえって活躍の可能性が狭められるとしたら、CCCD唯一の存在異義がまったく裏目に出てしまうことになりかねないのです。
‥‥そうなってしまっても、誰も責任を取れないと言うのに。
すでに数多くの作品がCCCDリリースされていますが、アーティスト自身にはCCCD回避の選択権はほとんどないと聞きます。ご自分で検証して努力の末回避できた方、止むなくCCCDとなった方、そしてCCCDで最高音質を求めて努力した方‥‥と少しずつではありますが、リスナー側にそれぞれのアーティストのCCCDへの姿勢が伝わって来るようになりました。
どういうケースであれ、表明のあった方には信頼感を覚えました。
ファンはみんな待っているのです。
できることなら、今後(特にCCCDで)リリースのある方からは「CCCDに対する考え方やスタンス」をなるべく表明して欲しいと思います。切に希望します。
最後に、わたし自身の耳でCCCDを聴いてみた感想を述べておきます。
実際にCCCDを何度か店頭で試聴してみましたが、クラブ系やラウドな物ではハッキリ言えないものの、それ以外では総じてやや籠ったようなヌケの悪いサウンドに聴こえました。それが元々意図されたものかどうかは知る由もないのですが、いくつかシングル(通常CD)とアルバム(CCCD)で同一曲が収録された例で聞き比べてみたところ、CCCDの方だけが籠った音に聴こえた物がありました。
仮に「それは気のせい」だとおっしゃる方がいらしたとしても、音楽は楽しんで聴くもの。音質や故障の不安を抱いたまま楽しめる訳がありません。
わたしたちはただ心置きなく好きな音楽を楽しみたい、それだけです。
We Love MUSIC, We Respect 'Our' MUSIC !!
2003.03.11. キリンジカタギ管理人:みやもり