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心理から見た「後悔しない子育て法」                      




    

心理から見た「後悔しない子育て法」

この内容はNPO日本次世代育成支援協会の鷲津が、愛知大学OCでの講義の 内容を元に書いております。 著作権はNPO日本次世代育成支援協会にありますので、無断引用、複写等は できません。ご了承ください。 --------------------------------------------------------- 禁止令(子どもに伝えると、後々悪影響が出る言葉) 今回は子育てについての色々なことを書いていきたいと思います。 書き方は、『対話式』が理解していただきやすいので、会話のように展開させ ていきます。 (別に、プラトンにあやかるワケでもありませんが。) では、本文です。 ---------------------------------- 『9.8%』と『0.8%』 これは、【ある言葉】を言われた人の割合です。 『9.8%』は、問題を起こした子ども達の内で、そのメッセージを親から受け取 った事がある人の割合。 『0.8%』は、問題の無い子ども達の内で、そのメッセージを親から受け取った 事がある人の割合。 さて、その言葉とは・・・。 【おまえなんかいなければよかった】 つまり、この言葉や態度を親から受けた子どもは、不適応行動(万引き、暴力 行為、喫煙、不登校、暴走族等の非行)をとった人達では、約10人に一人い るのに対し、問題が無かった子ども達では100人に一人にも満たなかったと いう調査の結果が有るのです。 (不適応行動をとるグループととらないグループにおいて、親から禁止令メッ セージを受けた割合を示す大津博士の実験結果) この言葉以外にも、問題のなかった子供達と不適応行動をとった子供達の間で 、『親に言われた事がある割合』がとっても違う【言葉】が沢山有ります。 例えば、【親の言うことを黙って聞け!】と言われたことが有る割合は、不適 応行動を起こした子供達では『27%』なのに対し、問題の無い子供達では『11% 』なんですね。 「・・・という事は、逆から考えると、これらの言葉を言われた子どもは不良 になりやすい って事じゃないですか!」 ------そういう事なんですよね。 子供に対して親から送られるメッセージの中には、子供の心を徐々に蝕み、不 登校や非行などの要因となる言葉が有ります。 グールディング博士等は『するな』という否定的なメッセージを12種類定め て、それを【禁止令】と名づけました。 それらをわかりやすく書くと、下記のようになります。 (グールディング夫妻の禁止令は、( )内の言葉です。) ----------------------------------------------------- 1 おまえが男だったらなぁ (女であるな)男女逆の場合も同様です。  2 遊んでいる暇があったら勉強しろ (楽しむな) 3 子供なんだからまだ無理だ (成長するな) 4 おまえは肝心なところで失敗する (成功するな) 5 忙しいから○○できない (実行するな) 6 おまえはバカね、不器用ね (重要な人物になるな) 7 自分の家はよそと違う (仲間入りするな) 8 むやみに人を信用してはいけない (信用するな) 9 体が弱いのだから無理をするな (健康であるな) 10 親の言うことを黙って聞け (考えるな)  11 泣く子は嫌い (感じるな) 12 おまえなんかいなければよかった (生存するな) ------------------------------------------------------- 「へぇ〜〜っ。これらの言葉が不適応行動を引き起こす原因になる可能性が有 るんですね。」 ------そう、しかもこれは結構、大人になっても引きずるんです。 ここ一番っ! って時に弱い人っているでしょ。 そういう人は、子供の頃に『おまえは肝心なところで失敗する (成功するな )』っていう禁止令を、よく言われていた可能性があるんです。 「でも、こういう言葉って、よく使っちゃいますよね。」 ------ええ。ただ例えば2番とか3番などは、絶対に使ってはいけない!って いう訳ではないんですよ。 使い方に問題が有る場合はとってもマズイ という事です。 「・・・っていうと?」 ------それは、ちょっと長くなりますので、また今度ご説明しますね。 禁止令 その2 さて前回の続きです。 禁止令に見える言葉でも、ケースによってはOKと書きましたよね。 それの説明に入りますが、その前に一つ・・・。 講演やセミナーで、この話をすると、 『私は【おまえなんかいなければいいのに】なんて言ったことはないですよ!』 とおっしゃる方が沢山おられます。 「ですよね〜。私だってそんなことは言ったことはないですよ!」 ------確かに、この言葉そのままを言う人は少ないでしょう。 でも、夫婦問題のカウンセリングにおいて、意外とよく聞く言葉がこれ・・・。 『本当はずっと前から別れて家を出て行きたかったんだけど、 オマエ(子供)がいるから辛抱し続けてきたんだよね〜。』 「あ、それって有り得る話かも。」 ------そうなんですよね。でもこれは、子供にとっては 『貴方(子供)がいるから、私は不幸な人生を送り続けねばならない』 つまり、【おまえなんかいなければいいのに】の同義語になっちゃうんです。 ちなみに、下記の言葉を耳にしたことはありませんか? /////// 【うちの子供は、とってもお茶目なんですよ。 先日も夫と私がちょっとした言い合いをしていたら、おかしなところでつまづ いて転んだりして、思わず2人とも笑い出しちゃって・・・。 夫なんか、さっきまで目を吊り上げていたのに、にこにこしちゃって 『オマエは何をやってもダメだな〜』 なんて言っちゃって。】 /////// 【ウチの主人は、いつも『オレは男だ!』って感じでいばっているのに、 子供については女の子が良かったみたいで、よく私に『女の子が欲しいな〜』 って言うんですよ。 ウチは男の子が二人なので、近所の家のお嬢さんをみると『いいな〜』なんて 羨ましがっちゃって・・・。 確かに女の子は大きくなったら家事を手伝ってくれたりするし、 服を買ってあげても喜び方が違いますから、私も欲しいんですけどね。】 /////// 【私は東京から嫁いできたので、どうもこの地方の方言は馴染めないんです。 『村のつきあい』も苦手ですし・・・。 でも、主人はいつも仕事で帰りも遅く、たまの休みはゴルフに行ったりするの で、話し相手はこの子だけなんですよ。 ただこの子がとっても優しい子で、私の事をとってもわかってくれて、もう一 心同体のような感じだから毎日が過ごせるようなものです。】 /////// 【なんか毎日が忙しくって・・・。 今日も地域の集りが有って子供の食事もキチンとできなかったし、 明日の休みに子供が買い物につきあってって言ってたけど、植木屋さんがくる から行けないし・・・。 悪いとは思っているんですけどね。】 /////// 【昨日は子供につきっきりだから、疲れちゃった。 なんか咳き込みがひどくって・・・。 ウチの子供って小さい頃から体が弱いんですよね。 いつもこっちが忙しい時に限って喘息が出たりして・・・。 もっともこっちもいつだって忙しいからそういう時だけはかまってあげないと ね。】 ---------------------- 「聞いたことありますあります。  ・・・って、これってひょっとしたら禁止令ってことですか?」 ------そういうことです。 前回書いた禁止令のどれにあたるか、当ててくださいね。 しかし我々って、結構使っているんですよね。気付かずに・・・。 だから、問題なんですが。 というところで、長くなった為、『ケースによってはOK』というのはまた今 度書きます。 ここで、大事な事を一つ。 これを読んでおられる男性(お父さん)へ。 ここに書いた文は、お母さんに向けて書かれているように思われる方が殆どだ と思います。 また、実際問題として、子育てでメインの役割を担うのは、確かに『お母さん 』です。 でも、子育ては【夫婦が共同し行うこと】であり、【お父さんとお母さんの共 同責任】なんです。 だから、もしお母さんが子供に禁止令を言ったとしたら、その責任の半分はお 父さんに有ります。 これだけは、胸にとめておいていただきたいのです。 禁止令3 前回の続きです。 禁止令に見える言葉でも、ケースによってはOKの場合とは? 例えば、【3 子供なんだからまだ無理だ (成長するな)】というのについ て考えてみましょう。 テレビでオリンピックなどを観て、小学生の低学年の子供が宙返りをしようと した場合、 『(危険だから)子供なんだからまだ無理だ』 と言うのは、当たり前ですよね。 「そりゃそうです。怪我でもしたら大変ですもんね。」 ------だから、この場合は禁止令(子供に言うと後々悪影響が出る言葉)には あてはまりません。 ところが、実は子供が夏休みにこの禁止令を、よく受けている場合が有るんで す。 「えっ? 夏休みに、子供に『成長するな』なんていう人が、そんなにいるん ですか?」 ------お子さん、夏休みにポスターを描くとかの宿題は有りませんでした? 「有りましたよ〜。もうウチの子供はヘタだワ遅いワで、終盤にこっちが手伝 ってやって、なんとかマトモなのを提出できましたけど。」 ------それが、【成長するな】という禁止令にあたるんです。 これは少し難しい理論になっちゃいますので簡単にまとめますが、 この場合で言うと、要は『いらいらしたから』とか、『ヘタで恥ずかしいから 』とかいう、自分(親)の【情動(感情)】から出た言葉は禁止令になりやす いんです。 早い話が、『いらいらしたから』とか『恥ずかしいから』とかの【自分(親) の為】の言葉が禁止令になるんです。 ところが、『危ないから』のように、【子供の為】に発した言葉は禁止令にな らないんですね。(この言葉は【対抗禁止令】と言います。) 「そうか〜。でも、これってよく考えないと、子供の為に言ってるつもりで、 実は自分の為に言ってることが有るかもしれませんね。」 ------えらいっ! そうなんですよね。 だいたい人間って、『貴方の為に言うんだけど』って言う時は、結構、実は自 分の為に言ってる場合が多いですからね。 学習の【旬】 食べ物には旬というものがありますね。 子育ても同じです。 例えば、集団コミュニケーションと言われているのがそうで、この複数の人と コミュニケーションを取る能力は、小学3年生くらいから数年間、一気に高ま るんです。 それまでは、例えばお母さんとの1対1の関係、つまり2者関係で暮らしてい るのですが、この時期から複数相手の3者関係への対応能力に目覚めていくん ですね。 このとっても重要な時期を心理学ではギャング・エイジと呼んでいます。 (ギャングと言っても、映画に出てくる悪いやつらの集団ではありません。単 に「集団」という意味としてとってください。) 高校 大学 社会人と進んでいったのはよいが、どうもグループや集団と上手 くコミュニケーションが取れない・・・と悩む人が、急速に増えていますが、 その人たちは実はこのギャング・エイジの時期に、例えばファミコンなどのゲ ームをしたり自分の部屋で1人だけでいる事が多かったりしていた可能性が高 いんです。 そして、この集団コミュニケーションの能力を身に付ける【旬】を逃すと、後 々に身に付けようとしても、大変な苦労が伴います。 勉強もそうです。 『人よりも早く出来るようになること』が、全て良いわけではありません。 【旬】に合った教育や子育てが大事なんですね。 【依存】について 僕は毎週火曜日は、カウンセラーを目指す人達とお話(スーパービジョン)し ているんですが、その時に【依存】について突っ込んだ質問を受けたので、ち ょっとそれについて書いてみます。 依存症とか共依存とか、最近はよく依存という言葉を聞きますよね。 いつまでも結婚しないとか、中年になってもずっと親のスネをかじる子(?) というのは、確かに激増しています。 ややこしい恋愛関係にのめり込む若い人も確実に増えました。 この人たちは、確かに依存傾向が強いですし、またその場合は親のどちらかが 依存傾向が強いこともわかっています。 そして、これらのおかげで、依存というのはとっても悪い事のようなイメージ を抱いておられる方も増えたような気がします。 でも、依存というのは誰もがするし、その傾向は持っているんです。 問題なのは【過度の依存】なんですよね。 『依存』という言葉を『頼る』という表現に置き換えてみると、【誰もがする 事】である というのがよく理解できるはずです。 (もちろん、厳密には両者の意味は異なってきますが、とりあえず話をわかり やすくする為に・・・ということで。) 例えば、『信頼する』 という言葉は、良いイメージでしょ? でも、これは『信じて・頼る』ということです。 だから『信じて頼ったら、イヤ!(>_<) と断られた』ときに、人は【裏切られ た】 と大ショックを受けちゃうんですね。 これをちょっとわかりやく書いてみましょう。 【思うように行かない(自信を無くす=自分は頼りにならない)。】     ↓ 【自分では何ともならないので人に頼る】←この時点で、もう凹んでいる。     ↓ 【頼った相手に断られる(周囲や社会に対しても信頼できなくなる)。】=超 凹む。     ↓ 【自信もなく何も信じられない 】     ↓ 【ますます思うようにいかない】 これで立派な悪循環の完成です。 * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * さて、では、だから『頼るのは悪いこと』か・・・? と言われると、僕はそ うでもないと思うんですね。 人生として考えると、まず子は親に頼ります。 そして成長し、夫(妻)は妻(夫)に頼ります。 最後は、老人は子供に頼ります。 この流れを全部否定してもしょうがないと僕は思うんです。 お互い頼り頼られることによって、楽しい暮らしが築くことができれば、それ はそれでいいのではないでしょうか。 ただ問題は、冒頭にも書いたように【過度の依存】なんですよね。 これは依存される人の心を壊すのはおろか、依存する人の心も壊していきます 。 もう一つは、『頼られたからって人は必ずそれに応えなければならないワケで はない』 という【当たり前のこと】を、人間はついつい忘れてしまうんです よね。 『自分が頼った相手は、それに応えるべきだ。』 というのはおかしな考えだし、同様に 『自分が頼られた場合は、必ずそれに応えなくてはならない。』 というのもおかしな考えです。 でも、ついつい我々は、このおかしな考え(イラショナル・ビリーフ)に巻き 込まれる場合が多いんですね。 『依存』したりされたりして上手くいかなかったからといって、ずっと孤独の 道を進むというのは、あまり良い人生とはいえません。 適度の依存は、『信頼』や『助け合い』につながることだってあります。 大事なのは結局、【過度】に陥らない【バランス】なのではないでしょうか。 『依存はいけない!』と子どもを叱るよりも、現実的な、そして過度にならな い上手な依存の仕方を子どもに教えることができるとベストなんですけどね。 アダルト・チルドレン 今回は、ちょっと怖いお話です。(^ ^;) 十数年前からアダルト・チルドレンという言葉が、書籍などでよく目に付くよ うになりました。 アダルト・チルドレンは、言葉からすると『子供のような大人』かな・・? と思いやすいのですが、これは元々は、アルコール依存症(中毒)の親のもと で育った子供が、大人になった時に表れる共通の【症状】から名づけられたも のです。 つまり、育った家庭環境に問題(例えば親がアルコール依存症とか両親の不和 など)が有った子供が大きくなり、大人になっても心の傷が処理しきれておら ず、主に依存や回避傾向が強い場合を指す事が多いのですが、実はこれは数少 ない特殊な話ではありません。 例えば貴方がもし、子供の頃に家庭で傷ついたことが有ったとしたら、その経 験を一度、気楽な感じで友人に話してみてください。 「そうかぁ、実は僕もこんなふうだったんだ」 とか 「私も有ったわ」 という反応する人が、いかに多いか驚かれるのではないでしょうか。 結局、こういう話は、誰もわざわざ自分からしないから、表面に出てこないだ けなんですよね。 だから子供時代の家庭環境が主な原因で、アダルト・チルドレンの気(け)が ある人や、また現在の自分達家庭の間の問題で、我が子がアダルト・チルドレ ンの予備軍になりつつある人は、結構数多く存在すると言われています。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 子供の頃、なにか家庭内で気まずいことがあった時に、わざと『子供だからよ くわからない』ふりをして、場を和らげようと必死に(でも顔は子供らしく笑 いながら)【ボケ役】を演じた事ってありませんでしたか? 食卓で、昔は明るく父と母、父と子、母と子・・・と話していたのが、何時の 間にか時が経つにつれて父と子、母と子だけのV字型の会話になってしまい、 沈黙にプレッシャーを感じた事ってありませんか? 『子は鎹(かすがい)』と言いますが、鎹になろうと必死だった子供の頃の思 いは忘れてしまい、大人になると子供の前で、『どうせ子供だからわからない だろう』と、際どい会話をしてしまう・・・。 こうしてアダルト・チルドレンが繰り返し造られてしまう流れが出来てしまい ます。 アダルト・チルドレンは世代間で繰り返し連鎖して継がれていくんですね。 【学習】のしかた たまには『学習』について書きますね。 僕の娘は、塾の講師をしており、特に受験の学年を主に受け持っています。 1年間の間に生徒のレベルを2ランクくらい上げるのが得意なので、一番大変 な3年生(中3 高3)が担当にまわってくるそうです。 さて、どうしてレベルアップが可能なのか・・・?ですが、娘は確かにスパル タ系というのも有りますが、『メタ学習』を真剣に取り組んでいるんですね。 「『メタ学習』ってなんですか?」 ------メタ というのは『上位概念』。 つまり、メタ学習というのは、学習のやりかたを学習する という事です。 勉強が【出来ない】と思われている子供の殆どが、実はこのメタ学習をやって いない・・・ということなんですね。 早い話が、【やり方が悪い(自分に合ったやり方をしていない)】か、教えて くれる人との【相性が悪い】かが多いんです。 これについては、発達心理学の天才学者ピアジェの理論(注)を参考にしてく ださい。 さて、学校の先生は、『努力家』が多いんですね。 だから、意外とこのメタ学習、つまり『楽をして効果のでる学習のやり方』、 というのを、あまりやらずにきているんです。 逆に言うと、あまり勉強していないように見えるのに、難関な学校にヒョイっ と入ってしまう人は、このメタ学習に力を入れている とも言えるのですが・ ・・。 もし、勉強に『お金』『時間』『エネルギー』をかけるなら、是非この【メタ 学習】にも関心を持ってくださいね。 (注)--------------------《ピアジェの実験結果》 発達心理学の天才ピアジェは、小学校入学前くらいから、中学くらいまでの子 供達を対象として、物理の知識について数々の研究を行った。 そして、わかった事は、 「物理学において、得意不得意という能力差はない!」 もちろん、いい点数をとる子供もいれば、悪い点数をとる子供もいたが、それ はあくまで、全体としての知能指数が良いか悪いか、という問題であって、他 の科目がいいのに物理が「劣っている」ということはなかった。 では、なぜ現実に、物理だけ点数がよかったり、逆に悪かったりする子供がい るのか? これについて、ピアジェの見解はこうである。 「物理が得意な子供 というのは、物理が得意というよりも、その与えられた 教育の形式に、適応できる能力を持っているのである」 早い話が、『教えられ方にうまく合わせる能力がある』ということである。 したがって、「劣っている子供」も、別の道筋から進んでいけば、理解できな かったことも理解できるようになるのである。 【進路】について 学習について書いたので、ついでに進路についても少し書きますね。 ちょっと例を挙げて考えてみましょう。 太郎君は頑張って高校受験を乗り越え、めでたく希望高校の一年生となりまし た。 入ったばかりなのですが、高校では大学受験の為に2年生には国立理系とか私 立文系とかのクラスに分かれるようで、進路を早くも考えている人もいるよう です。 太郎君は、数学や理科が苦手だけど、国語や社会が得意だし、またテレビの影 響もあって、将来弁護士になりたいという夢を持っていました。(←立派です ね。僕なんか大学は4年間楽しく遊べりゃいい なんて思っていましたが・・ ・。) そこで太郎君は、先生に夢を言ったところ、先生は 『そうか。それなら是非国公立大学へ入らなきゃな。○○大学を目指せ!』 と、地元の旧帝大を目指すよう、太郎君にハッパをかけました。 「いいんじゃないですか?」 ------そう思うでしょ? 「えっ? 違うんですか?」 ------今、弁護士になろうとしたら、法科大学院を出て、司法試験を受けなけ ればなりません。 ところで、この僕が住んでいる地区、つまり愛知・岐阜・三重・静岡・長野の 、名古屋大学を始めとした全ての国公立大学や私立大学の法科大学院の司法試 験の合格者数ってご存知ですか? 「いえ。」 ------上記の県の法科大学院全て合わせて78人です。 「それって、多いんですか? 少ないんですか?」 ------いろいろ言うと語弊が出るので評価はしませんが、ちなみに明治大学の 法科大学院は84人の合格者を出しています。 「愛知・岐阜・三重・静岡・長野の全ての法科大学院の合計より多いんですか !」 ------そうなんですよね。 さて、これらの事を考えると、もし太郎君が本気で弁護士を目指し、また弁護 士で成功しようとしていて、親も本気で応援するのなら、地元の国公立大学の 法学部を目指して苦労していていいのか(苦手な数学や理科も含めた5教科も マジメにやって)??? という事なんですね。 司法試験の全合格者のうち、東京六大学+中央大学の法科大学院で40%(828人) を占めていることを考えると、太郎君は好きな英国社だけ一生懸命やってそれ らの大学を狙い、あとは学生生活を十分楽しむという考え方も『有り』なんで す。 ここに挙げた例は、ちょっと極端ですが、子供の特性に合わせた進路を人任せ にせず一緒に考えていくというのは、本当に大事なんですよね。 それに、これからの時代は、気楽に考えて大学に入ったものの、卒業してしば らくしたらその大学が潰れたなんてことも考えられます。 そうなったら、洒落にならないですから。 子どもを怒ってしまう・・・。 今回は、【怒り】をどうやって制御するか・・・についてです。 【怒り】はなぜ発生するのでしょうか。 これは、【不満】が主な原因なんです。 では、【不満】はなぜ起こるのでしょう。 これは【思ったとおりにならない】からなんです。 つまり、人は『○○に対して怒る』というより、『自分の思ったとおりになら ないから怒る』・・・ということなんですね。 でも、大体、世の中は思ったとおりにはならないものです。 特に『人(子ども)』は・・・。 まずは、この流れを認知しておきましょう。 * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ *  ところで、【怒った】ら何か良いことはあるでしょうか。 「すっきりするじゃないですか。相手にもこっちが怒ってることをわからせな きゃいけないし。」 ------そうですね。僕もそう思います。 怒るべき時には怒れる人の方が健全だ、と思っているくらいです。 仏や聖人君子じゃないんだし・・・。 では、【怒り続けた】としたらどうですか? 「う〜〜ん、それはどうだろ。良いことがあるかな〜 (- -;) 」 ・・・そこなんですよね。問題は。 【怒り】というのは【飲酒】に似てるんです。 たまに、パァ〜っとやるのには良いのですが、継続すると却って体や心にダメ ージを与えるんですね。 酒飲みについて、こういう言葉があります。 『まずは人が酒を飲む。次に酒が酒を飲む。そして最後は酒が人を飲む。』 【怒り】も同じです。【怒り】が【怒り】を呼び、最後は【怒り】がその本人 の心をズタズタにするんです。 「じゃあ、良いことどころか、凄く悪いことじゃないですか。思ったようにい かないワ、自分の怒りで自分の心がズタズタになるワ じゃ、丸損ですね。」 ------そこが大事です。『丸損』っていうのを思いっきり頭に叩き込んでおく ことが重要なんです。 だから、何かがあって【怒り】が続いている時は、今言った流れを思い出して ください。 例えば、子どもに今怒っているとしますね。 でも・・・。 『今、怒り続けている・・・ということは、何かが思うとおりにならなかった からだ。     ↓ そして怒り続けるという事は【丸損】なんだ。     ↓ では、何が思うとおりにならなかったのだろう。     ↓ それは子どもが言うことを聞かない(テストが悪かった、片づけをしない等) から。』 ここで、上記の --------------------------------------------------- でも、大体、世の中は思ったとおりにはならないものです。 特に『人(子ども)』は・・・。 ---------------------------------------------------- に進んでいくワケですね。 このへんまでくると、【怒り】のパワーは少し落ちてきているはずです。 もちろん納得はいかないかもしれません。 でも、『〜〜であるべき』とか『〜〜は理不尽』という怒りに、【丸損】とい う概念をぶつけてみましょう。 これを上手くやれるようになると、こう言えるようになるはずです。 『しょうがないヤツだなぁ〜。(-_-;) 』 この言葉が、実は【怒り】を制御するオマジナイなんですね。 【怒り】について その2 湿度が高かったり、暑かったりすると、人はどうしてもイライラしてしまいま す。 でも、不思議ですよね。 エアコンの効きが悪い!と事務所の中で怒っている人でも、 海に行った時はもっと暑い中を平気で甲羅干しをしたりしているんです。  寒い時も同じです。 『この寒い中をヤイヤイ言われても、体が動かんわ!』 とふてくされている人でも、もっと寒いスキー場ではニコニコと活発に動いて いたりして・・・。 いかに人間が主観的かよくわかりますね。 さて、うまくいかない時のイライラなどを、まとめてストレスと呼んだりしま すが、その中身は【怒り】である場合が殆どです。 そういう場合、ストレス解消として、その怒りをどこかにぶつけてしまいがち です。 でも、この方法では、実は本当の意味での解消がなかなかできません。   よくやってしまう一番悪い対処方法が、【誰か(何か)に当たる】という事で す。 これは当たられた方も大変ですが、当たる方も「いい方法ではない」と大脳が 判断するので、、最初の(脳の中心部で、情動を司る)視床下部で生じた【怒り 】に、【当たっている自分への怒り】がプラスされて、【怒りの自己増殖】を 引き起こすケースが多いんです。 (この、大脳と視床下部の関係については、今度書きますね。) こうなると、自分にも周りにもマイナスのエネルギーを撒き散らしているよう なもので、最悪のパターンとなってしまいます。 そこで、【おまじない その2】・・・。 何かが上手くいかず、『自分の心に怒りが芽生えたな』と感じたら、 「あ、怒ってる怒ってる」と第三者が自分を観たように、つぶやいてみましょ う。 ここで、『何が原因か』、とか『何のせいで』、とか思ってはいけません。 余計に頭にきますから・・・。 ただ、自分の心の状態を、客観的に説明する感じで、「あ、怒ってる怒ってる 」です。 これで、思考の『立ち位置』が、感情的な視床下部から、冷静な大脳へと移っ ていくんですね。 【怒り】について その3 以前、怒りなどと思考とは同じ頭の中でも発生する場所が違うと書きました。 思考というのは、主に新しい脳と言われる『大脳』から発生し、怒りや悲しみ は古い脳と言われる『視床』などから発生します。 ところで、この古い脳というのは生存する為にとっても大事な場所なんですね 。 例えば、危険を感じると『怒り』や『恐れ』を発生させ、その危険に素早く反 応し身を守る指令を体の各部分にとばします。 つまり、すぐ逃げられるようにとか、すぐ闘えるようにするワケです。 だから、眼や耳からの情報は、この視床に特急便で届くようになっているんで すね。 それに引き換え、思考というのは危急のモノではないので、情報は普通便で届 きます。 このタイムラグが問題なんです。 思わず手が出ちゃった・・・というのは、これが原因です。 大脳に普通便が届きじっくりと考える前に、視床が特急便に反応して『殴れ』 と手に指示を出しちゃった・・・という事なのです。 僕がよく『10秒数えてからなら、怒ってもいい』と言う理由はここに有りま す。 特急便が視床に届いてから10秒経つ間に、普通便が大脳に届いて、大脳はそ れを【理性的】に判断します。 だから、それでもなお怒りが収まらない場合は、それは【怒ってもよい事】な んですね。 さて、もっとも大事な【おまじない】です。 『怒り』の原因の中で、もっとも厄介なのは【〜べき主義】なんですね。 『〜すべきである』『〜であらねばならぬ』という【考え方(ビリーフ)】が 、怒りを巻き起こすんです。 ですので、もし自分の心に【〜べき主義】が発生したら、つまり『〜すべきで ある』『〜であらねばならぬ』という言い方をしそうになったら、是非この言 葉に言い換えてください。 ☆☆☆ 「〜にこしたことはない」 ☆☆☆ これは、最高のおまじないです。 間違いなく、貴方も子供も家族も周りの人も、HAPPYな方向に変わってい きます! 絶対にお薦めの言葉ですよ。 国語の天才になる方法 幼稚園(保育園)、若しくは小学校低学年までのお子様がいる方へ。 国語がメチャ得意になる方法をお教えしますね。 天才、とまではいかなくても、偏差値70近く(レベルで言うと東大くらい) にはなれますよ。 そんなに大変な努力や費用は要りません。 1日30分くらいの時間と、1カ月に1500円位の予算でOKです。 では、方法です。 まずはブックオフなどの中古図書店へ行って、なんでもいいから適当に5〜6 冊絵本を買ってきます。 (1冊105円ので充分です。) そして、それを子供と一緒に読みます。 ここまでは、『もう、やってるよ』という方も多いでしょうね。 でも、これからが問題です。 適当な場所で、 『麻美ちゃんは、これってどう思う?』 とか、 『一郎君なら、どうする?』 と尋ねるのです。 そして、子供がそれについて話したら、それを 『う〜〜ん、そうかぁ。なるほど〜。』と聞くだけ・・・。 (もちろん、自分が理解出来ないことは、聞き返してOKです。) ただ、絶対に守っていただきたいルールは 子供が言ったことについて【評価をしないこと】。 特に【良い・悪い】の評価は厳禁!です。 「たったそれだけ?」 ------それだけです。 ここまでがメインですが、この後も簡単なフォローアップが要ります。 このあと、毎月15冊位の絵本を買っては一緒に読み、ゴチャゴチャと子供と 喋っていくワケですが・・・。 今度は、途中で本をパタンと閉じ、子供に聞いてみましょう。 『さ〜て、ここからどんなお話になるでしょう?』 例えば、かぐや姫で、彼女が3人の求婚者に難題を出しますよね。 その後のストーリーを子供に作ってもらうんです。 (この方法は発達心理学の第一人者、託摩武俊先生の本から使わせていただい ています。) 別に、出来なければそれはそれでしょうがありません。 でも、もし出来たら大いに誉めてください。 そして、また同じポイントから、『今度は別のお話を作ってみて?』とお願い してみましょう。 これを、あせらずにじっくりと、色々な話でやってみましょう。 これが出来るようになれば、もう万々歳! とりあえず、両親で『乾杯!』です。 さて、いよいよ締めの話となります。 今まで買った本で、再度読んだ本にシールを貼っていきます。 そして、ある程度期間を経てもシールが無い本は、片っ端から捨てていくので す。 これによって、子供と相性の良い本が残っていくことになりますね。 その傾向を把握して、今度はその流れに沿う本をじっくり選んで買っていくん ですね。 これで、流れとしては完成です。 よく、『うちの子は、せっかく本を買ってあげても読まないんです。』という 悩みを聞きますが、これは、『子供の読みたい本を与えずに、親が読ませたい 本を与える』からなんですね。 そうじゃなく、最初は多少手間がかかりますが、上記の方法を是非やってみて ください。 一度流れが出来上がったら、あとは不思議なくらい上手くいきます。 そしてその子は、 【全然勉強しないのに何故かいつも国語でよい点を取る子】に育つんですね。 子供の犯罪 未成年の子供が起こす事件が、よくマスコミを賑わしています。 ただ、マスコミの論調で気になる部分がかなり有るんですね。 まず、『普通の家庭の普通の子供』と書かれていますが、この『普通の家庭』 というのは、どうやら『両親が揃った』という意味のようです。 別に深読みするわけではありませんが、裏を返すと『両親の揃っていない普通 の家庭ではない子供ならいざしらず・・・』というニュアンスで読者が無意識 に感じたとしら、これは母子家庭などで頑張っている人達に対して大変無神経 な話です。 次に、『純真でやさしい』はずの子供が何故殺傷などの残虐なことを?・・・ という感じの記事も多いのですが、人間は大人より子供の方が残酷なのです。 歳をとって仏様のような人でも、子供の頃には蛙や昆虫に対して、文にできな いような残酷な事をした人だってあるでしょう。 障害を持った人に対しての言葉でも、子供は概して残酷な表現をします。 しかし、そのような子供も成長すると共に『思いやり』や、弱者に対して、相 手の気持ちに立って考えるという事を知っていくのです。 さて現在の日本は外国と違って、かなり無宗教に近いと言ってよいでしょう。 『神』という観念がなければ、犯罪と呼ばれる行動に影響を与えるのは『損得 』と『良心』が主になります。 犯罪心理学では『損得』を重視する理論もあります。 すなわち、その犯罪をして得られるモノ(気持ち)と、捕まるリスク及び捕ま って損をするモノ(気持ち)のウェイトで、発生率はある程度決まってくると いうものです。 (先般の飲酒運転に対する罰則強化を思い出してください。) ところが、子供は、まだ子供であるが故に、この損得の概念が確立できていな いんですね。 しかも今の彼らは、昔の子供たちが恐れたような怖い存在(親父、先生、おま わりさん)というものが有りません。 その上科学が進み、昔のような、親や年寄りに 「悪い事をすると神様(閻魔様)が見ていて、どこかでバチがあたるよ」 と非科学的な話で脅かされる事も無くなった子供たちは、それこそ社会的には 立派に見える人達でも持っているかどうか怪しいような『良心』だけがストッ パーとなるわけです。 自分だけは正常で普通と思っている『大人』が多い中で、『普通の子供』が引 き起こす重大な犯罪事件は、増えていく可能性は高いでしょうね。 劣等感 今回は【劣等感】について、お父さんお母さんに考えていただきたいと思いま す。 劣等感って言うと、自分の『劣っている部分』についての悩み・・・と思って しまいますよね。 でも、人は『何に比べて』、『どれだけ劣っている』か、つまり劣っていると 判断する【基準】を、あまり考えていないんです。 例を挙げてみましょう。 アインシュタインより頭が悪いからといって、悩む人はいません。 朝青龍より相撲が弱くっても平気なはずです。 ・・・という事は、自分と比較する基準が高すぎる場合は、劣等感は生じませ ん。 どちらかと言うと、周囲の自分と近いゾーンで比較しているはずです。 しかも、人はこの基準を『自分で設定』している場合が多いんですね。 考えてみると、結構おかしな話で悩んでいるんですよ。 自分で勝手にあやふやな基準を設定し、それよりも低いと【劣等感】、高いと 【優越感】を感じて一喜一憂しているという事ですから・・・。 基準をどこに設定いるのか? 設定したのは誰で、自分がその基準を適正と判断した根拠は何か? これらをじっくりと考えてみると、『あれっ?』って思える部分が出てくるは ずです。 一度考えてみてください。 勘違いって多いんですよ。 例えば学校で使う【偏差値】がそうです。 あれは、記憶力や計算能力を比較する基準であって、人間性とか信頼性とは全 く関連が有りません。 なのに、偏差値を基準として他人を【信じる】人っているでしょ? あれって100m競争で早い人から順に頭が良い って言ってるのと同じ事なんで すよ。 そんなおかしな話なんかに巻き込まれて、劣等感なんか持ってしまったら悲劇 ですものね。   * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ *  さて、この基準に関してもう少し突っ込んで考えてみましょう。 人から批判されて、落ち込んで【劣等感】が生じてしまう時がありますよね。 例えば人から『君は自分勝手だ!』と言われて、<自分は勝手なのだから人に 好かれない>という劣等感が生じたとします。 でも、本当にそうでしょうか? ちょっと例を挙げてみますね。 【通らないワガママ】ばかり言う人は<自分勝手>と言われます。 では【通るワガママ】を言う人は? これは<自由奔放>って言われるんですね。 次に・・・。 【許せないワガママ】を言うと<大人気ない>と言われます。 では【許せるワガママ】を言う人は? これは<少年の心を持つ人>って言われるんです。 おわかりいただけましたか? <自分は勝手なのだから人に好かれない>ではないんですね。 <好かれにくい言い方をしたから、勝手と言われる>んです。 つまり【貴方の性格】がいけないのではなく、【貴方の表現方法】や、勝手な 思いをどこまで表現するかの【判断力】がイマイチなんです。 これらは【技術】の問題ですよね。 つまり上手な人を真似して、練習すれば上達する・・・という事です。 よく世間では、『劣等感をバネにして頑張れ!』 と言われます。 でも、これって言うのは簡単だけど、実行するのは大変です。 ところが、『劣等感を分析』することは、そんなに大変なことではありませ ん。 凹んだときには、この方法がとってもお薦めです・・・☆ 悩みの素 【比較】 我々は、ついつい何においても【比較】をしてしまいます。 確かに、比較しないと決定できない事も多いし、比較そのものが悪いというも のでもありません。 でも、子どもって大人よりも【比較】されることに【弱い】んですよね。 ですので、ここにちょっと禅の名僧、澤木興道老師の言葉を紹介します。 (もっとも、こんな風にはなかなか思えないですけどね・・・。)  「屁ひとつだって、人と貸し借りできんやないか。 人人みな【自己】を生きねばならない。 お前とわしとどちらが器量がいいか悪いか・・そんなこと比べてみんかてええ。 」 「ケツの穴だからというて卑下せんでもいい。 足だからというてストライキやらんでもいい。 頭が一番エライというものでもない。 ヘソが元祖だというていばらんでもいい。 総理大臣が一番エライと思うておるからオカシイ。 目の代わりを鼻ではできぬ。 耳の代わりを口ではできぬ。 みな天上天下唯我独尊である。」  (「禅に聞け 澤木興道老師の言葉」櫛谷宗則編より) 『言い訳』について 今回は『言い訳』についてです。 「言い訳ですか〜。ウチの子ってよく言うんですよね〜、言い訳を。」 ------そう言われる方って結構多いんです。 さて、ちょっと下記の状況を想像してください。 * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * 小学4年生の太郎君はサッカーが好きで、今日も放課後にサッカーに行ってい ます。 でも、時々夢中になりすぎて、家に帰ってくるのが遅くなり、最近新聞などで 物騒な事件が続いていることもあり、お母さんは少し心配です。 「また今日もサッカーに夢中になってるのかしら?  6時半には晩ご飯だから、それまでに帰ってくるようにって、あれほど言って おいたのに。」 もうすぐ7時になろうとする掛時計を見ながらお母さんはつぶやきました。 その時「ただいま〜」と太郎君の声が・・・。 「もう! ただいま〜じゃないでしょ! 今何時だと思ってるの?! 6時半までには帰りなさいって、あれほど言ったでしょ! どうして遅くなっ たの? (>_<) 」 「だって〜・・・。6時過ぎに帰ろうとしたんだけど、田中君が・・・。」 「もうっ! そうやってすぐに人のせいにしてっ! 田中君が何て言ったか知 らないけど、そうやってすぐ言い訳をいう子は最低よ! まったくいつも言い 訳ばっかり言って、お母さんは大嫌い!」 * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * 「なんか、よく有りそうな話ですね。」 ------ええ。思い当たる人も多いんじゃないでしょうか。 では、今度は下記の状況を想像したてください。 * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * 山田氏はとっても家庭思いのサラリーマンです。 今日も出勤前に奥さんから 「今日は(子供の)太郎の大好きな焼肉だから、みんなで一緒に食べようね! 」と言われ、帰りにビールとジュースを買ってきてね、と頼まれました。 そして今日も無事に定時の5時を少し過ぎた5時半には自分の仕事を終え、退 社しようと腰を上げたところ、少し離れた席で難しい顔をした課長が、「山田 君。まさかもう帰ろうっていうんじゃないだろうね。営業の○○君達が一生懸 命まだ廻っているというのに・・・。」 課長はワンマンタイプだけど、確かにやり手なので、今後も会社の中ではどん どん地位が上がっていくだろうという噂の人物です。 その課長に睨まれて、今後のプロジェクトに加えてもらえないようになると、 それはちょっとまずい・・・と山田氏は思い、また腰を下ろして明日やるはず の仕事にとりかかりました。 * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ‥ * ------想像していただけましたか? 「ひょっとして、この2つって同じ内容の話ですか?」 ------そういう事です。 最初の太郎君の話も、実は田中君というのが子供達の中での実力者で、彼に睨 まれると今後のサッカーなどの遊びに加えてもらえないようになる可能性があ ったので、田中君の顔色を察して帰宅が遅れちゃったんですね。 「う〜〜ん、じゃあ、しょうがないですよね〜。なぜそれを言わない・・・、 あ! 言おうとしてたんですよね。」 ------ええ。 ところが逆に【人のせいにする】とか【いつも言い訳ばかり言う】というレッ テルを貼られちゃったんですね。 子供って、自分でも『悪い』とか『申し訳ない』とか思っていた場合は、結構 すなおに指摘を受け入れるものなんです。 ただ、そうでない場合が問題です。 取り敢えず【言い訳】を言う場合も有りますが、聞く方には言い訳に聞こえて も、実は上記のようなきちっとした理由の場合もあります。 しかも、このケースのように、その理由を言ったにも関わらず最後まで話すこ とも許されず、その上もっとひどいレッテルを貼られたとなると、子供の心に は深い傷と親(大人)に対しての激しい不信感が残ります。 「なるほど〜。確かにやってしまいそうな話ですね。それによく考えてみたら 、自分が子供のころにもそういう事った有ったような気がします。 でも、もしそういうふうにやってしまったとしたら、どうすればいいんですか ?」 ------いい質問です。 いくら親だって、間違いをする時はありますよね。 もし上記のように、よくわかっていないのに叱ってしまった時や、早とちりや 間違えて叱ってしまった場合は、そのあとの子供の言動に必ず何かの兆候がで ます。 その兆候に注意するのが大事です。 「どんな兆候が出るのでしょうか?」 ------子供によって違いますが、口をもぐもぐさせるとか、涙目になっている とか、目を合わさないなどは注意信号ですね。 「兆候に気づいたら、どうすればいいんですか?」 ------何より大事なのは、【しっかりと聞く】ことです。 例に挙げた山田氏は、きっと奥さんに理解してもらえるように遅くなった理由 を話すでしょう。 でも、太郎君は子供なので、上手にお母さんに説明できるとは限りません。 だからこそ、親や大人は【しっかりと最後まで聞く】必要があります。 『買ってあげる』とか『してあげる』親はたくさんいますが、『聞いてあげる 』親は、意外と少ないんですね。 是非、しっかりと最後まで聞いてあげてください。 『いじめ』について 今回は『いじめ』についてです。 新聞では『子供のイジメ』が毎日のように記事になっていますが、別に大人で も『セクハラ』や『パワハラ』など、イジメと呼んでもいいような事が、あち らこちらで起きていますよね。 これらの事について、マスコミや識者は被害を受けた人に、『どうして早く誰 かに言わないの?』と、よく述べていますが、この辺が【正義の味方】の何処 か抜けているところなんですね。 まず第一に、いじめる人間は『あまり言えないタイプ』にターゲットを設定す るんです。 これは痴漢のケースを考えれば、すぐわかります。 ちょっと触れただけで大声で非難されそうな雰囲気を持った女性を最初に狙う 痴漢は、あまりいないはずです。 触っても騒ぎ立てないような女性を狙うのが普通でしょう。 だから、『どうして言わないの?』ではなく、『言えない性格タイプだからい じめられる』んですね。 順序が逆なんです。 もう1つ。 実は友人と飲み会が有った時、僕は何人かに『子供がいじめられたら、最悪の 場合どうする?』と聞いてみました。 回答としては、 『引越しするかな〜。』(←持ち家もあり、地元で商売をしている男性) 『学校に行かなきゃいいだろう。』 などが多かったのですが、実はここが大切なんです。 実際に引越しするかどうかは別として、大事なのは親がその【腹】を持ってい るか、つまり腹をくくれるかどうかを子供は敏感に覚っているんですね。 そして、『いざとなったら、親は引越しするくらいの腹で、自分の味方をして くれる。』という思いが子供の心に存在している場合は、いじめられても、そ れを乗り越えられるんです。 ところで、その話をしていてちょっと驚いたのは、 『でも、オレは知らなかったんだけど、ウチの子もいじめられた事も有ったそ うだぞ。』 という人が多かったこと。 彼らは比較的、子供と上手くコミュニケーションをとっている人達です。 でも、そういう彼ら(親)に対しても、子供は『いじめられている』という事 は言わなかったワケです。 ・・・如何に【いじめられている という事は言いにくい】かが理解できます ね。 さて、もう1つの問題点です。 【正義の味方】の識者たちが前面に押し出すのは、『子供は清純で無垢で良い 心の持ち主である。』というイメージです。 でも、よく考えてみるとわかるのですが、子供の頃って例えば男の子だったら 平気で虫やカエルを殺したりしますよね。 つまり人間の心の奥深くには、『残酷』な部分があるのです。 そして、人間は元々『自分勝手』なのです。 フロイトは人間の心の奥底の部分をイド(エス)と呼び、【快楽原則】で動く と考えました。 この快楽原則とは、簡単に言えば『やりたい事をやり、やりたくない事はやら ない』ということです。 だけど、これでは社会の中では成り立たないだろう・・・という事で、人は心 の中に自我(エゴ)という部分を持ち、そこの【現実原則】に沿って行動する という理論です。(超簡単にまとめてしまいましたが・・・。) さて、子供のうちは、どうしても快楽原則で動いてしまいます。 これは、しょうがないんですね。 だからこそ、【教育】が必要なのです。 先程、人の心には残酷な部分が有る、と書きました。 この残酷な部分を『やりたいようにやる』快楽原則で出してしまうのが子供な んです。 根が深い話ですね。 『学校からイジメをなくそう』なんて簡単に言える問題ではないんです。 人間の本質の暗い部分の話なんですから、簡単になくなるワケがないんです。 だからそうではなく、まずは『イジメに早く気が付くようにするシステム』が 必要ですし、『気が付いたら、一刻も早く軽い段階で手を打つシステム』が大 事なんですね。 これなら、今すぐにでも取り掛かれますから。 ところが現実は、校長先生とかが問題を見て見ぬふりをしたり、手を打たなか ったり、隠したり先延ばししているケースがありました。 これって、要はその校長先生が『やりたくないことはやらない』という【快楽 原則】で動いているんですね。 こっちの方がもっと根が深い問題なんですけど・・・。 触感はとても大事! 五感という言葉が有りますね。 これは仏教では『色、声、香、味、触』と考えられ、それに対応する器官とし て『眼、耳、鼻、舌、身』が挙げられました。 最近よく聞くNLPという考え方も、この中の『眼、耳、身』を重要と考えて います。 さて、この中の『身』、つまり触感ですが、これについてアメリカのハーロー という心理学者が重要な実験を行いました。 彼は赤毛ザルの子供に対し、柔らかい布で作った『クロスマザー』と、針金で 作った『ワイヤーマザー』を与えたのです。 この2つの人形を同じようにミルクを出るような構造にした時、赤毛ザルの子 供はみな、肌触りのよいクロスマザーに寄り付き愛着を示したのは、実験者の 想像どおりでした。 しかし、ワイヤーマザーにだけミルクの出る構造にしたら・・・? 小猿は、確かにミルクを飲む時はワイヤーマザーに寄り付きます。 でも、何かで脅された時などは、ミルクの出ないクロスマザーの元に寄り添っ たのです。 つまり、触感というのは愛着欲求において、とても重要な要素だったのですね。 ここまでは有名な話なのですが、実はこの話には『その後』が有るんです。 実験を続けていくうちに、ハーローは大変ショッキングな事に気付きました。 それは、これらのクロスマザーに育てられた子猿は、発情期がきても性的不能 だったこと・・・。 本当(無機物ではない本当の猿)のお母さんとの関わり合いがなかった猿は、 仲間、友、恋人という関係作りに重大な欠陥が生じてしまったんですね。 最近、性的不能の若者が急速に増えています。 もしかしたら、子供の頃、殆どの時間を生き物ではないゲーム機器やネットと かの環境で育ったのかもしれませんね。 記憶法 今回は『記憶』についてです。 実は僕は記憶力がとっても劣っているんです。 だから、『なかなか覚えられない』って悩んでいる子どもを見ると、ホントに その気持ちがわかります。 でも、日本の学校の試験の内容は、実は『記憶』がかなりのウェイトを占めて いるんですね。 そこで、誰でもできる簡単な、しかし重要な記憶法について書きます。 よく、記憶力に自信の無い人は、『覚えられない』って言いますよね。 でも、実は『覚え方が悪い』場合が多いんです。 日頃のことは覚えられなくても、大事な事を覚える方法はあるんです。 それは【イメージを作り、関連させること】。 『語呂合わせ』が、その典型的な例ですね。 数学の√の問題で、『富士山麓にオウム鳴く』という覚え方がそれです。 では、例を挙げてみましょう。 1月は睦月、2月は如月 といいます。 この覚え方をやってみましょう。 睦月、如月、と続いていく頭の文字を並べると、 『ム キ ヤ、ウ、サ、ミ、フ、ハ、ナ、カ、シ、シ』 となりますね。(調べてください。) まず、これで文を作ります。例えば 『向き合う寒い冬は、なんかシンシンとしている』 次に、写真のようなイメージを作ります。 ここでのポイントは、その写真の中に自分が居るということです。 これで完成です。 言葉の頭の字がわかれば、意外と簡単に思い出すものなんですね。 ハだと葉月 という具合に・・・。 あとは3日後、1週間後、1カ月後に思い出すようにすれば、たぶん一生忘れ ない筈です。 このパターンとしては、旧日本陸軍中野学校の記憶法などが有りますが、大事 なのは【イメージと関連させること】。 コツを覚えれば、『記憶力が悪くても、一旦覚えたらなかなか忘れない人』に なれるはずです。 このイメージ法意外にも、民主党や自民党で活躍している鳩山兄弟が東大合格 の為に考えた方法などもありますが、長くなってしまうのでまた機会が有れば 書きますね。 親の『ゆとり』について 子育てにおいて親の『ゆとり』は大事ですよね。 でも、 『ゆとり』というのは不思議なものです。 「ゆとりを持て!」と言われて、 「はい!わかりました。今から持ちます。」とできるものではありません。 そんなに簡単にもてるモノではないんですね。 実は、これは【はず】という言葉がキーワードなんです。 『〜である【はず】だ。』とか 『こんな【はず】ではない。』という、この【はず】に問題が有るのです。 簡単に言うと、『こうあるべきである。』と感じている物事が、そうでない場 合に起こる思いが、『ゆとり』を無くしているんですね。 困ったことですね。 つまり、真面目で努力家で、前向きな人ほど『ゆとり』が無くなってしまうと いうことになりますから。 さて、もう一つ問題が有ります。 ひょっとしたら、心の奥底に『楽(ラク)をするのは良くない事である』とい うスキーマ(認知の枠組み思い込み)が潜んでいませんか? 『楽をする=怠ける』というイメージが潜んでいませんか? 『楽(らく)』というのは『楽しむ』ということと深く関係しています。 このあたりが問題なんです。 これらを自分でじっくりと見直してみると、何かに気付くと思います。 是非、一度考えてみてください。 「お手伝い」が大事 今、子どもが家事をお手伝いする時間というのは、平均で1日数分だそうです ね。 確かに昔と違って、今は電気製品などの進化のおかげで、子どもが手伝う家事 自体が減っているのは事実ですが・・・。 さて、性格心理学の第一人者である託摩博士は、お手伝いをする時間とその子 の頭脳や人格の発達には、相関関係が有るのではないかと仰ってます。 頭脳や人格が優れた人を対象に調査すると、子供の頃に『お手伝い』をよくし たケースが多いらしいんですね。 「よしっ! それなら早速、ウチの子にもさせよう!」 ------ちょっと待ってください。 大事な問題が有るんです。 【良い子】を押し付けたらまずいんです。 『お手伝いする子』イコール『良い子』という訳ではないんですね。 ここで間違って『良い子』を押し付けてしまうと、かえって逆効果になる場合 が有ります。 そうではなく、『お手伝い』というのは家族という共同体の中で、自分もでき ることをやる ということなんですね。 【良い・悪い】の問題ではないんです。 家事という、共同体の中での『やらねばならぬ事』に対して、【回避】せず参 加していく事がその子にとって素晴らしい財産(能力)となっていく・・・と いう事でしょう。 アパシー症候群 随分前の話ですが、あるお母さんから『息子が就職しないのだが』というお電 話をいただきました。 ただ、話をしているうちに、『なんかおかしいな』と感じ、息子さんの歳を聞 いたら、これが50歳台なんですね。 このお母さんの長年の苦労を思うと、もう何も言えませんでした。 さて、無気力で引きこもる症状をアパシーと呼んでいるのですが、以前は大学 生もしくはその前後の年齢が大半を占めていました。 しかし、最近は年齢層が広がり、下は小学生、上は無制限となっていると言わ れています。 20歳未満までは、いろいろな対処法でかなり効果が出ますが、年齢が上がる ほど難しくなり、打つ手の無いケースも出てきます。 (年齢が上がると、本人がカウンセリング等を強硬に拒否する為、会うことも できないんですね。) そして問題は、この人たちは発症する前は『よい子』や『手のかからない子』 である場合が多い、という事なんです。 頭の良い子も比較的多いんですね。 心の病気は、育った環境がかなり関係します。 精神病としては一番有名な統合失調症でも、遺伝だけではなく、やはり育った 環境がかなり影響するのでは、と言われています。 (発症率は約100人に1人 思春期頃に発症する場合が多い。) うつ病に至っては低年齢化が進み、中学生においても全然珍しくなくなってき ました。 ボーダーラインと呼ばれている境界性人格障害(これは治癒率が非常に低いの ですが)の若者も、急増しています。 【心の健康】は、失うととても大変な結果を引き起こすのに、何故か日頃は軽 視されているんですね。 【心】のことを、本当に沢山の方に知ってもらいたいなぁ と思うこのごろで す。 【無力感の学習】 ウチの子は、いくら言ってもやる気を起こさない・・・。 そんな悩みを持った方は、【学習された無力感】に注意してくださいね。 セリグマンというペンシルベニア大学院の院生は、犬に電気ショックを与える 実験を続けるうちに、その犬達の中にのったく反応をしない犬がいることに気 が付きました。 抵抗もせずに、ただひたすら電気ショックに耐えている犬を見て、彼はある事 を思い付き、次のような実験をしたのです。 まず、犬を3つのグループに分け、1つ目のAグループはレバーを鼻で押すと 電気ショックを止められる箱に入れ、2つ目のBグループは電気ショックを止 める手だてが無い箱に入れました。 3番目のCグループは、電気ショックを受けない箱です。 各グループの犬はこれらの箱に入れられ、AとBのグループの犬は電気ショッ クを与えられたのですが、予想どおりAグループの犬は電気ショックを与えら れると鼻でレバーを押し、ショックを回避したのですが、Bグループは為す術 も無く、ただ苦痛に耐えるだけでした。 翌日セリグマンは、今度は真ん中に低い柵がある箱に昨日の犬をいれました。 犬はその柵で仕切られた片側に入れられ、電気ショックを与えられたのです。 柵は低いので、それを飛び越えて柵の反対側に行けば、犬は電気ショックから 逃れることができます。 さて、その結果、犬がどのような行動をとったかというと、Aグループの『鼻 でレバーを押し、電気ショックを自分でコントロールした犬』は、その柵を飛 び越えて、電気ショックを回避しました。 前日、電気ショックを受けなかったCグループの犬も同様です。ところが、B グループの『電気ショックに対して為す術が無かった犬』は、ショックを受け ても、そのままうずくまって哀れな声を出すだけだったのです。 つまり、Bグループの犬は【無力ということを学習した】のです。 それにより、『コントロールできる』という認知の枠組みが、『動いても何も 変わらない』という枠組みに塗り替えられてしまったのです。 この【学習された無力感】というセリグマンの理論は、その後沢山の心理学者 の研究により、人間にも当てはまることがわかりました。 このようになった場合、怒ろうがおだてようが、無駄なんですね。 『やる気が起きない子供』なのではなく、『やる気が起きないようにさせられ てしまった子供』なのかもしれませんから。 能力が劣っているわけではない! さて、いよいよ受験生を持つ親はハラハラドキドキの季節となってきました。 僕のところにも相談が山ほど来ていますが、もう少し早ければ何とかなったの に、というケースが今年もいっぱい有りました。 天才教育心理学者ピアジェの言を持ち出すまでもなく、 『能力が劣るのではなく、教えられ方がマッチしなかったから、その学問が理 解出来ない』 という子どもが如何に多いか・・・。 例えば、最初の頃は算数が出来たのに、段々と失速していく女の子は結構多い んですね。 これは、その子が算数や物理系の理科を『記憶力』でこなしていっている事に 問題が有るんです。 根本をしっかり理解しないまま、記憶力でパターンとして問題を覚え、パター ンに合った解答を記憶から引っ張り出して対応していく為、パターンがどんど ん増えたりちょっと設問をひねられたりすると、そこでお手上げになっちゃう んですね。 例えば、『躓き』でよく有る話では『分数での割り算』です。 6÷1/3=  という設問で、いきなり先生から 『分数で割る時は分母と分子をさかさまにして、× に変える』 と教わる場合が有るそうです。 6×3/1(つまり3)=18 と変えれば良い というワケですね。 確かにその通りですが、これを深く考えずに、単に『記憶だけして、先に進ん でいく』場合に、【後に失速する子】が生まれていきます。 ちょっと、割り算を図で考えてみましょうか。 _____ _____ _____ |_____|_____|_____| |_____|_____|_____| 6個のマスが有ります。 さて、6÷2は? 『2で分ける』という考え方が有ります。 その場合は真中の横線で分ければわかり易いですよね。 そして答えは3となります。 もう一つ、答えが出てくる考え方が有ります。 『6の中に2が幾つあるか?』 この場合は、縦2つずつの組が3つあるから、これも答えは3ですね。 さて、では6÷1/3は? 『3分の1で分ける』  この考えが難しいんです。 実生活で『3分の1で分ける』ことが無いのですから。 では『6の中に1/3が幾つあるか?』 これはわかりますよね。 上の絵の中にの上段左側のマスに1/3の大きさを作ったのが下図です。 _____ _____ _____ |_|___|_____|_____| |_____|_____|_____| この大きさ、つまり1/3のマスは6の中に18個有りますよね。 そして答えは18です。 _____ _____ _____ |_|_|_|_|_|_|_|_|_| |_|_|_|_|_|_|_|_|_| ここまで子どもと一緒にやると、その子は『分数での割り算』をキチッとイメ ージできるようになります。 また、一緒に考えることによって『わからない事はそのままにせずに聞く』と いう大事さも知ります。 そして、『頭の中で考えるとアヤフヤになることでも、図にしてみると、きち っとイメージできる』ことも学びます。 このような方法で学んだ子は、『分数で割る時は分母と分子をさかさまにして 、× に変えるんだよ』とだけ言われて、それを丸覚えしただけの子とは、将 来において雲泥の差の【素晴らしい能力】を持つんですね。 この話はとっても長くなってしまうので、ここで終わりますが、子どもがテス トで悪い点を取った時は思い出してください。 『能力が劣るのではなく、教えられ方がマッチしなかったから、その学問が理 解出来ない』という事を・・・。 褒め方 子育てにおいて、「褒めることが大事」とよく言われますね。 でも、子どもの頃によく褒められたのに『うつ』になってしまう若者はいっぱ いいます。 これは、どういう事でしょう。 実は、ただ褒めればよいというものではないんですね。 褒め言葉の中に【評価】の要素が強いと、悪影響を及ぼす場合があるのです。 今回は、これをちょっとご説明します。 子どもの心には『快楽原則』というもの、つまり『快い』『不快である』とい う感覚を大事にしている部分があります。 ここのパーツが、『褒められる』と嬉しいと感じるんですね。 ところで、子どもの心の中には『モニター機能』という部分もあります。 ここは、『親から愛されるには?』とか『見捨てられないようになるには?』 というチェックを無意識のうちに行っている部分です。 問題はここです! 例えば、子どもが自分でも満足する絵を描いたとしますね。 それを自慢げに見せに来た子どもに対し、「へぇ〜 凄いね〜!」と褒めるの は、とってもOKです。 でも、この時は褒めずに、それが後日たまたま何かの賞を取ったとして、その 時に、「へぇ〜 賞をとって凄いね〜!」という【評価】の要素が強い褒め方 をすると・・・。 そうです。 そういうケースが続くと、その子は【評価された時だけ I am OK 】という枠 組みが心の中にできてしまうんですね。 1度や2度の挫折で、もう何もかも諦めてしまったり、常に他人(世間)の評 価を気にして神経質になってしまったりする人は、心の奥深くにこの枠組み( フレーム)を持っている人が多いんです。 では、どう褒めたらいいのか? これはいろいろな『褒め方』があるのですが、全てを書くわけにもいかないの で大事な事を1つ書きます。 【共感すること】 これが中心に有ればOKです。 そして、とにかく【良い・悪い】を中心にはおかないことですね。 『!』と『?』が大事 前回、褒める時には【共感すること】が大事と書きました。 さて、その共感を表す際に意識するとよいのが、『!』と『?』なんです。 例えば『凄いね〜!』もそうだし、『やったね!』『偉いな〜!』などがいい 例ですね。 つまり、子どもの『自慢!』に対して『!』で返すということです。 (もちろん、子どもが自慢していなくても、『!』を使って褒めるのはとって もいいことです。) では、『?』は? 『?』もとっても大切なんです。 例えば、「どうして嘘をついたらいけないの?」と子どもに聞かれた時、「ど うしてだと思う?」と聞き返してみてください。 (ちなみに発達心理学によると、子どもは7〜8歳まで『嘘』の意味がわかり ません。ただ『言ってはいけない』と言われているだけなので、その年頃まで は『嘘』と『悪口』の区別がつかないのです。) そんなことから、子どもの思考は発達していくんですね。 また、『?』は相手に関心を持っているかどうかのバロメーターとなります。 そして子どもは自分に関心を持ってもらうことが、とってもうれしいのです。 (例えば、「おや? 今日はゲームをやらないの?」がそうですね。もっとも これは子どもだけではなく大人も一緒です。美容院に行っても気付かない夫を 持った奥さんは、是非この文を夫に見せてあげてください。) 但し、注意が必要なのは、非難する(責める)時に使う『?』です。 例えば、『どうしてこんな事をしたの?』とか『部屋を片付けたの?』など、 本来は謝罪を求めたり、責めたりする意味の言葉を疑問文で使うと、子どもの 心は歪んでいってしまいます。 【共感】と【関心】、これが子どもの心にとって一番のご馳走なんですね。 子どものうつ病 昔は『子どもは鬱にならない』などと言われていましたが、最近はかなり増え ているようですね。 もっとも、子どものうつ病は、大人よりも表面化しにくく、周囲も気付かない 場合が多いので、発見率が上がってきたのかもしれませんが。 ちょっと前になりますが、北海道大学による約2万人の小中学生に対する調査 では、小学生1.6%、中学生4.6% トータルで2.6%がうつ病と推定されていま す。(傳田健三博士) また、北海道大学の研究チームの小中学生3300人を対象とした調査では、小学 生の8%、中学生の23%に抑うつ症状が確認されました。 抑うつ症状があるのに、何も手を打たないでいると『うつ病』に移行してしま う場合もあります。 そして、うつ病は『くせ』になってしまうこともよくあるので、注意と早めの 対策が大事ですね。 小児うつ病の診断基準として、A・ワインバーグらは次のような項目を挙げて います。 ・子どもが不幸な気分と自己を過小評価する傾向の両方。 ・次のうちの2つ以上の症状  1 攻撃的行動  2 睡眠障害  3 人と交わることへの欲求の減少  4 学校への態度の変化  5 学業成績の低下  6 身体的な訴え  7 いつもの活気の消失  8 異常な食欲あるいは体重の変化 また、これらの症状はいつもと違っていて、少なくとも1カ月以上続いていな くてはならない。(出典 子どものうつ病 D・マックニュー他)