白狐

  音楽のために書かれた
      三幕の妖精劇
           作
        岡倉覚三
 1913年2月 ボストンにて
  

* * *

フェンウェイ・コートの御前に。
ご提案がなければ
この愚かな試みは
決して為されなかったでしょう
拙作を捧げます
                  岡倉覚三
              1913年3月2日
  

* * *

善行を積み
転生を求めよ
仏陀の慈悲を信ずるままに
  

* * *

日本の民間伝承によれば、狐は超自然的な力を持つと信じられていた。そしてまた、人間の姿、特に若い女性の姿を仮りるとも。このような俗信から、多くの空想的な物語が生まれた。この戯曲は広く知られた伝説、信田の森の狐の伝説に基づいている。妻が行方知れずの間、狐は彼女の姿を仮りて夫と幸福に暮らす。が、ついに本物の伴侶が生還し、偽の妻は悲嘆に暮れることになる。

登場人物

舞台は日本の中央の地。足利時代よりも昔、14世紀の終わり頃。