半田レベラー

鉛フリー半田とは

鉛フリー半田レベラーとは

現在一般的に使用されている半田はすず(Sn)鉛(Pb)をを37%含有
させたものです。2006年7月よりRoHS指令によりEU内で製造・販売
される一部の製品においては鉛の含有が原則禁止となります。したがって
現在鉛フリー半田への切り替えが行われています。
鉛フリー半田にも様々な種類があります。

@Sn-Ag-Cu(すずー銀ー銅)系
  現在最も一般的に使用されています。特にSn-3Ag-0.5Cuのタイプが
 多いようです。他にSn-1.2Ag-0.7CuやAgが3.5%のもの、またBi(ビスマス)
 やGe(ゲルマニウム)を加えて4元素としたものもあります。
 機械特性は良好ですが融点が往来の半田と比較して高く、基板の食われ
 や装置の半田槽のステンレス食われなどの現象があります。Biの添加によ
 り融点は下がりますが、硬くて脆くなるため機械特性が悪くなります。

ASn-Cu-Ni(すずー銅ーニッケル)系
  すずー銀系に比較すると融点はさらに高くなります。銅食われが少なく
  耐蝕性は高くなります。銀を含まないため価格は安くなります。

BSn-Zn-Cu(すずー亜鉛ー銅)系
  融点が低く、現行の半田と同様な条件での実装が可能です。価格も安い
  ですが酸化しやすいために使用条件が限定されます。

このほかにもBi(ビスマス)やIn(インジウム)、Al(アルミニウム)を加えたもの
など多くの種類があります。

半田を通常のものから鉛フリー半田に変更
したものが鉛フリー半田レベラーです。
作業工程はまったく一緒ですが、使用する
半田の融点により作業温度、浸漬時間
が変わります。
 弊社では鉛フリー半田対応として設計さ
れている HAL-211(ソルダーコート製)
を使用しております。この製品は高温対応
のために半田槽の材質やヒーター容量等が
現行の装置とは異なります。したがって
往来の加工装置にて半田のみを入れ替えて
使用する場合に比較して良好な製品を安定
して供給できます。

鉛フリー半田レベラーの特徴

現在プリント基板の表面処理として
@鉛フリー半田レベラー
A耐熱フラックス処理
B無電解金メッキ処理

が多く使われています。特徴を簡単に比較すると以下のようになります。

耐熱フラックス処理 無電解金メッキ 鉛フリー半田レベラー
半田濡れ・
上がり性
接合強度
コスト
表面平滑性 ×
保存性 ×

鉛フリー半田レベラーは他の処理に比較して濡れ・スルーホールの上がり性は良好です。また
金メッキやフラックス処理に比べて保存性が良く、経時劣化後の再加工が容易です。
その反面表面の厚みのばらつきは大きく、現状すずー銀系の半田ではコストも高めになって
います。ただし表面の厚みのばらつきも往来の半田よりは少なくなります。

鉛フリー半田レベラーの注意点

鉛フリー半田レベラーの採用に関しては以下の点についてご注意ください。

@製品の混入・区別

往来の半田と鉛フリー半田を外観で識別
することは大変困難です。したがって製品
の区分をはっきりさせておくことは重要です。
シルクによる印字や色を変更することなど
の工夫が必要と思われます。混入した場合
には弊社では蛍光X線を用いての識別が
可能です。また納入時に鉛フリー使用と
確認できるデータの添付もご希望により
行います。 

A基板の銅食われ

往来の半田に比較してすずー銀系の
半田は基板表面の銅が浸漬時に半田内
に溶解する「銅食われ」が大きくなります。
特に銅厚みに対して繊細な場合には
注意が必要です。そのため表面をレベラー
処理することにより実装時の「銅食われ」
は減少し、実装用の半田槽の銅濃度管理
は優位になります。

BUL申請

鉛フリー半田レベラーでは温度・浸漬時間
ともに高く(長く)なるために往来の申請
条件では作業が困難な場合があります。
また使用する半田の種類をULに対して
申告するよう求められております。

鉛フリーレベラーによる処理

耐熱フラックスによる処理

鉛フリー半田の管理

現在「鉛フリー半田」と呼ばれるものはその
半田中の「鉛(Pb)」1000ppm以下
でなければなりません。
鉛フリー化が進むにつれ使用している半田
が本当に「鉛フリー」と呼べるものであるかの
確認が必要となります。これまで弊社では
半田メーカーに分析を依頼しておりましたが、
結果が出るまでのタイムラグがあるためその
間の製品について明確な保証ができない状況
にありました。
今回エスアイアイナノテクノロジー社製
SEA1000A(蛍光X線分析装置)を導入し、
社内にて即時に分析を行えるようになりました。
今後はメーカー分析と併用することにより、
より「鉛フリー半田」としての信頼がより得られ
ることとなります。

鉛フリー半田の保証体系