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地理空間情報フォーラム2008 
「本音で語る測量設計技術者の生きる道」レポート
 

平成20619() パシフィコ横浜アネックスホールで「知っ得!測量時事情報セミナー」が開かれた。



テーマー:「本音で語る測量設計技術者の生きる道」

パネリスト: 野瀬 操 [ 椛蜷ン(兵庫県姫路市)代表取締役、兵庫県測量設計業協会会長 ]

小俣政英 [ OMT(山梨県) 代表取締役 ]

佐藤清一 [ やまと技研(茨城県桜川市) 代表取締役 ]

岩見一太 [ 潟lクストパブリッシング 取締役、季刊GIS NEXT編集長 ]

座 長  : 堤 盛人 [ 筑波大学 準教授 ]

 

はじめに座長から問題提起として、戦後着実に増え続けた測量業者数が、2005年に初の減少となった。公共事業発注量は、平成7年をピークに減少を続け、現在は50%程度となっている。公共事業の縮小で元気のない測量設計業界に、明るい未来はないのか。次に現状と将来展望をパネリストが様々な視点から意見を述べた。

佐藤清一氏は、平成20年に改正測量法、改正作業規定が施行され、電子データーの有効利用が全面に表れてきている。これまでの既成図の電子データーと、実測電子データーを同等に扱わない配慮が必要であり、今後低コストでの実測データーの取得が必要となる。これまでの20世紀は、国土のインフラ整備の工事に必要な測量が主であったが、21世紀は維持管理に必要な基盤データーの測量が主となってくると述べた。

岩見一太氏は、季刊誌「GIS NEXT」の編集長で創刊から6年目を迎える。現在の測量業界は、「衰退ではなく、転換への過渡期だということ」と述べた。日本のGISは高額なシステム導入先行型であった。製品を納入から、今後サービス提供型となって行くだろう。データーを知っている測量技術者がデーターをコーディネートし、データー活用コンサルタントとしてフィールドを広げる可能性がある。

小俣政英氏のOMT(Open-Map-Technologyの略)は、昭和54年の創業であるが、現在では宅地分譲事業を行い事業を継続している、測量業で利益はほとんど出ていないと述べた。GISの名称で官庁営業は行なわず、窓口支援ソフトとして地図上にクレーム書き込みできるソフトを開発し、大手(NEC?)OEM提供している。現在WinVista対応とするため対応に苦慮している。

野瀬 操氏は、業界の特色として委託業務とはいうものの、実際は請負業務であり、業界に価格形成力がなく企業努力が発揮されないと述べた。今後公共事業の受注では、次のニーズを想定し「より早く安く」の実現が必要である。強い会社とは日常のなかで常に先を見据える事が必要であるとして話を締めくくった。

質疑応答のなかで明るい話題として、アイサンの中根氏は、測量専門学校の全国卒業生はピーク時に4000人規模であったが、現在は590人まで減少している。しかし近年の求人倍率は都市部で10倍、地方部では3倍と高い求人数となっていると述べた。

小泉改革により公共事業の減少が続いているが、底が見えない。地理情報空間フォーラムは旧全国測量技術大会で、名称が変更された。「衰退ではなく、転換への過渡期」と、前向きに考えるべきであろう。