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兼題 | 寒晴 | 猫柳 | 水温む | 春燈 | 横浜元町 山下公園 吟行 |
苔の花 | 簾 | 盆一切 | 虫籠 | 鎌倉吟行 | 時雨 | 年の暮 | |
席題 | あめんぼう | 梅雨明 | 天の川 | 名月 | 紅葉 | 日向ぼこ |
平成23年(2011年)12月17日(土) Lプラザ | |
兼題 「年の暮」「当季雑詠」 席題 「日向ぼこ」 | |
我が影を剥ぎ取り寒波過ぎゆけり | 内山眠龍 |
湯けむりの街を褒美に年の暮 | 浦野和子 |
払はれて御目塵なき年の暮 | 栖村舞 |
今風の眼鏡にかへぬ年の暮 | 植村文彦 |
母に似る値切り上手や年用意 | 町野夜香木 |
いつとなく人に耳貸す年の暮 | 山田瑛子 |
十分の床屋で済ます年の暮 | 大津浩 |
手品師のように取り出すマスクかな | 高久靖人 |
暖炉燃ゆ駅舎に開く山頭火 | 津田明光 |
ぷっかぷかぽかぽかぽかと柚子湯かな | 関谷正道 |
容赦なき禍福を照らす冬の月 | 渡辺伊世子 |
年暮るる畑の残滓を燃やしをり | 船橋貞夫 |
累代の事案結審年の暮 | 鈴木晴雄 |
しがみつくあとひと吹きの枯葉かな | 伊藤東 |
息白し消えては浮ぶ玻璃の月 | 倉林潮 |
焼芋の温もり残す新聞紙 | 石渡静江 |
日向ぼこ昔むかしの子守唄 | 小林久夢 |
野良猫に不審顔され日向ぼこ | 鈴木英雄 |
涙拭き寒夕焼に立ちつくす | 滝澤千恵子 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)11月19日(土) 神奈川地区センター | |
兼題 「時雨」「当季雑詠」 席題 「紅葉」 | |
生きてゐてひととき冬の露天の湯 | 内山眠龍 |
片時雨句碑の一文字染め始む | 大津浩 |
鷹匠の手を蹴り低く翔びゆけり | 栖村舞 |
鯛焼の一丁焼の重さかな | 植村文彦 |
時雨来て農夫そのまま影となり | 倉林潮 |
陽光を一人占めして石蕗の花 | 津田明光 |
冬晴の刻をたがわぬ鳶の声 | 小林久夢 |
大黒天笑みて熊手のど真ん中 | 渡辺伊世子 |
石垣に錦絵描く蔦紅葉 | 石渡静江 |
高尾山富士を肴に紅葉酒 | 関谷正道 |
嵯峨野来て時雨も楽し旅のひと | 浦野和子 |
懸崖に群舞競ひし菊の花 | 伊藤東 |
葱抜くや夕餉の鍋に思ひ馳せ | 船橋貞夫 |
狐火や江戸地図辿る行き止り | 町野夜香木 |
杉玉の青き匂ひや酒蔵小春 | 山田瑛子 |
繩暖簾いつもの顔におでん酒 | 鈴木英雄 |
流れゆくバックミラーの紅葉かな | 高久靖人 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)10月22日(土) 鎌倉・八幡宮、他吟行 | |
将の名を刻まぬ墓や身に入みて | 内山眠龍 |
千歳の社頭に鷺や秋時雨 | 栖村舞 |
離れ咲く菊一輪の無念かな | 伊藤東 |
鎌を手の敗荷の舟傾ぎをり | 町野夜香木 |
瞑れば静の衣ずれ秋しぐれ | 小林久夢 |
秋寒に土牢の闇深さ増す | 浦野和子 |
古都の雨蔦に愁ひを重ねけり | 船橋貞夫 |
武士の道ただ真っ直ぐや竹の春 | 高久靖人 |
蕭条ともののふの墓冷ややかに | 石渡静江 |
末枯れて雨に打たるる右府の墓 | 津田明光 |
敗荷刈られ小舟に雨しとど | 倉林潮 |
源平池栄枯盛衰破蓮 | 植村文彦 |
秋惜しむ身代り像の膝撫でて | 大津浩 |
秋時雨白旗社不動鷺 | 鈴木英雄 |
大銀杏黄葉偲びて八幡宮 | 関谷正道 |
合格の文字に秋の陽鷽の絵馬 | 渡辺伊世子 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)9月17日(土) 神奈川地区センター | |
兼題 「虫籠」「当季雑詠」 席題 「名月」 | |
板前の一刀きらり鮭一尾 | 内山眠龍 |
ときめきの移ろひに似し酔芙蓉 | 山田瑛子 |
虫籠が終の住処となりにけり | 浦野和子 |
虫籠の置き忘れたる音色かな | 高久靖人 |
秋の蝉宙を掴みて落ちにけり | 植村文彦 |
名月やほろほろ揺るる草の丈 | 小林久夢 |
御蔵入り籤の虫籠煤光り | 大津浩 |
虫籠を下げてふたつの影法師 | 町野夜香木 |
エアコン切りさやけき風に飛び込みぬ | 鈴木英雄 |
名月や更地に残る寮の杭 | 倉林潮 |
虫籠を畳におきて腕枕 | 伊藤東 |
名月や廂に落ちるも留まらず | 船橋貞夫 |
名月や影絵となりし眠る街 | 渡辺伊世子 |
虫籠を引きずり兄追ふ幼かな | 中村光男 |
ガキ大将虫かご家来に持たしをり | 坂井寛也 |
秋雲に倒れてゆくか五重塔 | 栖村舞 |
退院の荷が整へば菊日和 | 津田明光 |
アイロン掛け枚数減りて夏終る | 石渡静江 |
秋暑し青信号のとうりゃんせ | 関谷正道 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)8月20日(土) 神奈川地区センター | |
兼題 「盆一切」「当季雑詠」 席題 「天の川」 | |
腕まくりして何もせぬ大暑かな | 内山眠龍 |
蜩のずれを気にせぬ二重奏 | 大津浩 |
足ひとつ浮いたままなり茄子の馬 | 伊藤東 |
仏壇に寛永通宝盆用意 | 町野夜香木 |
天の川難書完読せしばかり | 栖村舞 |
艶やかに面を上げたる茄子の馬 | 船橋貞夫 |
唖蝉や大樹の幹のひとかけら | 倉林潮 |
口ぶりの常とはちがふ魂迎へ | 小林久夢 |
新盆やまだその声の耳にあり | 中村光男 |
迎え火のお鈴の響きそこかしこ | 石渡静江 |
七夕の空に飛び交ふメール便 | 鈴木英雄 |
威銃村の一日の始まりぬ | 植村文彦 |
羅を召され読経す僧の威儀 | 山田瑛子 |
街中に打水をして雨上る | 浦野和子 |
送り火にもみじの如き手を合はせ | 坂井寛也 |
草陰に黒い瞳や青蛙 | 渡辺伊世子 |
炎帝に露座の大仏灼かれおり | 関谷正道 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)7月16日(土) 神奈川地区センター | |
兼題 「簾」「当季雑詠」 席題 「梅雨明」 | |
仁王立ち空を仕切るや雲の峰 | 内山眠龍 |
青簾潜りて加賀に飛び込めり | 船橋貞夫 |
青簾灯を消してなほ薄明り | 栖村舞 |
簾巻くがらんどうなり能舞台 | 倉林潮 |
船宿のけふの仕舞ひや夕簾 | 植村文彦 |
すだれ越し豆腐屋喇叭通りすぎ | 坂井寛也 |
雲の峰めがけ長竿振り切りぬ | 中村光男 |
かたくなに粒揃ひをり青葡萄 | 大津浩 |
雲水の裸足美し並び行く | 山田瑛子 |
汗払ふ少女剣士の打込みぞ | 伊藤東 |
ビルの目を簾で隠しうたた寝す | 鈴木晴雄 |
古簾掛けて昭和の匂ひけり | 高久靖人 |
葭簀張る太平洋の片隅に | 町野夜香木 |
人よぎるたび日が踊る葭簀陰 | 鈴木英雄 |
風流の真似ごと軒の古簾 | 小林久夢 |
熟れ熟れて売るるあてなし蛇苺 | 関谷正道 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)6月18日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「苔の花」「当季雑詠」 席題 「あめんぼう」 | |
苔の花風を招きて紅ほのか | 内山眠龍 |
玉砂利の濡れし匂ひや苔の花 | 町野夜香木 |
玉砂利の音に震えし苔の花 | 高久靖人 |
神木は地を掴みをり苔の花 | 栖村舞 |
ほうたるの夜の湿りの甘さかな | 小林久夢 |
源流の暗みに薄ら苔の花 | 船橋貞夫 |
鐘の音にそよと応へし苔の花 | 鈴木英雄 |
千年の石段守る苔の花 | 中村光男 |
摩訶不思議雨の恵みの苔の花 | 大津浩 |
苔さくや無沙汰の年をせめるなり | 伊藤東 |
土牢の上人見しか苔の花 | 植村文彦 |
黴にほふセピアの写真懐かしき | 石渡静江 |
苔の花墓を褥に眠り咲く | 滝澤千恵子 |
年経りて墓守る苔の花開く | 浦野和子 |
蚊の羽音消えてしばらく耳朶の腫 | 倉林潮 |
曇天の泣き出しはじめ走り梅雨 | 坂井寛也 |
あめんぼう今はチャンスを待つ身かな | 関谷正道 |
薔薇大輪遺影微笑むかに見ゆる | 山田瑛子 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)5月21日(土) 横浜元町・山下公園吟行 | |
万緑や港の見える丘万歩 | 内山眠龍 |
夏来たる樹々は己の影にたち | 中村光男 |
風連れて少女かけ来る若葉かな | 小林久夢 |
訪れる人無き十字の墓に蔦 | 渡辺伊世子 |
十字架に亀裂の傷み青葉蔭 | 矢口治美 |
聖五月外人墓地に天使座す | 松田初枝 |
桟橋の水母はゆるくおよぎけり | 伊藤東 |
茂る中海恋しさの母子像 | 船橋貞夫 |
潮の香を句帳に綴じて木下闇 | 植村文彦 |
青葉風弓をはなるる矢音かな | 久保榮子 |
浜っ子となりて一日初夏の風 | 山田瑛子 |
繋船の鉄鎖撓める夏日射 | 栖村舞 |
杉木立吹き抜けてゆく薔薇の風 | 倉林潮 |
若葉風下駄の絵もある歩道かな | 大津浩 |
山手路や日傘の似合う女の居り | 坂井寛也 |
風薫る節電開化の風車かな | 関谷正道 |
若葉風木の間がくれに氷川丸 | 鈴木英雄 |
風流れ犬戯れる薔薇の丘 | 滝澤千恵子 |
潮香る銀杏若葉に弾む声 | 浦野和子 |
薫風にピアノ奏でるウェディング | 石渡静江 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)4月16日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「春燈」「当季雑詠」 | |
花散るや風の技とも余震とも | 内山眠龍 |
憂ひある半跏思惟像春燈下 | 町野夜香木 |
春の朝農夫の影は畝一枚 | 船橋貞夫 |
避難所に歓声あがる春燈し | 山田瑛子 |
停電や春の灯ともし独り酒 | 関谷正道 |
キャンドルに復興願ひ春ともし | 大津浩 |
春燈や動くものあり魚籠の中 | 倉林潮 |
魚信来ぬ海底からの春便り | 植村文彦 |
見て見られゆきつもどりつ花見舟 | 伊藤東 |
ブレーキをかけて辛夷の家を過ぐ | 栖村舞 |
春愁の香り彷徨うカフェテリア | 高久靖人 |
大地揺れ渦巻き乱る花筏 | 鈴木英雄 |
春泥に背負う子失せしランドセル | 石渡静江 |
福島に春の燈ともすすべ待つも | 渡辺伊世子 |
春燈や水の上ゆく屋形船 | 小林久夢 |
春燈を月に託して夜もすがら | 浦野和子 |
涅槃粥赤子の口へそっとそへ | 坂井寛也 |
アネモネに悩み打ち明け眠る夜 | 滝澤千恵子 |
谷底に一本白き桜かな | 中村光男 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)3月19日(土) (メール句会) | |
兼題 「水温む」「当季雑詠」 | |
東雲の空柔らかや木の芽風 | 内山眠龍 |
縄文の色に織る帯水温む | 栖村舞 |
銭洗ふ笊に行列水温む | 大津浩 |
大いなる福耳のひと春の宵 | 中村光男 |
水温む握手の和み貰ひけり | 山田瑛子 |
東雲の少し白みて初音聞く | 倉林潮 |
萱草を和えて今宵の酒浄土 | 関谷正道 |
屋根裏に条の光や水温む | 町野夜香木 |
闇を裂く勝鬨かしこ猫の恋 | 鈴木英雄 |
留学の子に持たせしは豆雛 | 植村文彦 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)2月19日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「猫柳」「当季雑詠」 | |
柳腰寄れば尾を振る猫柳 | 内山眠龍 |
日の匂ひ出づる袂や猫柳 | 栖村舞 |
沛然と雨降る河岸の猫柳 | 船橋貞夫 |
蒼穹に銀流しをり猫柳 | 鈴木英雄 |
白梅の夜来の雨を余しをり | 町野夜香木 |
せせらぎが子守唄かな猫柳 | 高久靖人 |
掌の平でそっと包みて猫柳 | 倉林潮 |
逆光に眩しさ増すや猫柳 | 大津浩 |
猫柳赤子の首の据りたる | 関谷正道 |
猫柳風ひょうひょうと土手走る | 山田瑛子 |
音のない音聞く夜のぼたん雪 | 坂井寛也 |
けふからは梅かんざしの舞妓かな | 植村文彦 |
猫柳銀の産毛をまといたり | 石渡静江 |
捨てられし猫柳の芽ふくらみぬ | 中村光男 |
春の雪新婦ヒールを折りにけり | 伊藤東 |
白梅に夕の日色のありにけり | 小林久夢 |
背曲げて梅林を往く二人連れ | 鈴木晴雄 |
仏像の笑みもゆるむや草萌ゆる | 渡辺伊世子 |
無断転載不可 |
平成23年(2011年)1月22日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「寒晴」「当季雑詠」 | |
四肢の萎へ構ふものかや寒稽古 | 内山眠龍 |
寒晴や河岸に木遣の声伸びて | 栖村舞 |
寒晴や益荒男駆ける箱根路 | 坂井寛也 |
寒晴の天を貫く富嶽かな | 小林久夢 |
炭の香に気を引き締めて初点前 | 石渡静江 |
寒晴や嘘も隠しも出来ぬ空 | 高久靖人 |
雪見酒浮きし九谷の色絵かな | 町野夜香木 |
寒晴や鯉寄り添ひて動かざる | 船橋貞夫 |
寒晴やタワーへ呼び込む声の張り | 大津浩 |
空と海大カンバスに寒の晴 | 山田瑛子 |
寒晴や水子地蔵の口固し | 倉林潮 |
寒晴や不意のビル風めくらまし | 鈴木英雄 |
寒晴や小さき門の大国旗 | 植村文彦 |
寒晴や碧に溶け込む白き尾根 | 鈴木晴雄 |
迷ふ手につぼみ一輪白つばき | 浦野和子 |
金箔を川面にちらす冬日かな | 伊藤東 |
雪こんこ絵本の中に迷い込み | 中村光男 |
杜氏の手湯気朦々と初仕込み | 渡辺伊世子 |
無断転載不可 |