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兼題季語 | 寒鴉 | 冴返る | ものの芽 | 都筑区 吟行 |
新茶 | 蟻 | 夕凪 | 朝顔 | 月 | 三渓園 吟行 |
七五三 | 冬の雨 |
平成22年(2010年)12月18日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「冬の雨」「当季雑詠」 | |
影法師消へゆく先も冬の雨 | 内山眠龍 |
残る葉を削ぎ冬の雨止みにけり | 栖村舞 |
枯枝が根を張るごとし青き空 | 渡辺伊世子 |
日の匂ひ溜めて親しき布団かな | 小林久夢 |
野仏に傘かざしたし冬の雨 | 船橋貞夫 |
山間の紅葉のトンネル仁王立ち | 石渡静江 |
冬の朝猫と烏のにらみ合い | 伊藤良博 |
冬の雨根のものふっくら煮る厨 | 山田瑛子 |
北からの特急洗ふ冬の雨 | 植村文彦 |
冬の雨息に曇りしハーモニカ | 中村光男 |
係留の舟に筵や冬の雨 | 大津浩 |
湯煙の茅葺き屋根や冬の雨 | 町野夜香木 |
冬の雨滲む空港旅立ちぬ | 坂井寛也 |
灯をともす昼餉の茶の間冬の雨 | 鈴木晴雄 |
迷ひ犬行方気遣ふ冬の雨 | 浦野和子 |
酔ふほどに寝床遠のく寝酒かな | 鈴木英雄 |
虫喰ひも芸術めけり枯落葉 | 倉林潮 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)11月20日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「七五三」「当季雑詠」 | |
シャッターを閉づ呉服屋の七五三 | 内山眠龍 |
七五三絵馬に幼き筆の跡 | 渡辺伊世子 |
遠富士や一夜でまとふ雪被衣 | 鈴木英雄 |
石段がステージとなる七五三 | 伊藤良博 |
鈴生りの実を隠しおり柿紅葉 | 石渡静江 |
よその子の見えぬ世界や七五三 | 栖村舞 |
七五三親子揃って紺のタイ | 船橋貞夫 |
労りの歩巾となりぬ紅葉径 | 山田瑛子 |
B級のグルメ競ふや酉の市 | 大津浩 |
千歳飴背比べして歩いてる | 鈴木晴雄 |
千歳飴ふふめばたちまちその昔 | 小林久夢 |
負けないで正座もじもじ七五三 | 滝澤千恵子 |
秋の航手を振り合ふてはなれゆく | 浦野和子 |
商店街今日は主役の七五三 | 坂井寛也 |
新蕎麦や大病癒えし友の笑み | 中村光男 |
一瞬の輝き桜紅葉かな | 倉林潮 |
核家族持て余したる千歳飴 | 町野夜香木 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)10月16日(土) 三渓園吟行 | |
昔の名苑に拾ふや秋の声 | 内山眠龍 |
葛の葉や松を覆ひて遊び蔓 | 栖村舞 |
赤蜻蛉つがふて舞ふも笛哀し | 鈴木英雄 |
水脈微か古池に揺る名残萩 | 町野夜香木 |
青鷺の立つや武骨に動かざる | 中村光男 |
蓮池や泥かき上げて太き鯉 | 坂井寛也 |
秋あざみ緑のレース広げをり | 浦野和子 |
落剥の御堂に落つる秋日かな | 小林久夢 |
石仏の膝に鎮座す新松子 | 倉林潮 |
天高くそびえる塔や燈明寺 | 滝澤千恵子 |
爽やかな風吹抜けて茶屋の中 | 石渡静江 |
探幽の襖絵撫づる秋の風 | 大津浩 |
大池の舫ふ孤舟に秋の風 | 船橋貞夫 |
鰯雲刺しつらぬくか三重塔 | 伊藤良博 |
蔓もてばぬかごが落ちし鯉の池 | 渡辺伊世子 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)9月18日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「月」「当季雑詠」 | |
湯上がりの身や江上の月匂ふ | 内山眠龍 |
月光の束を鶏舎の藁に置く | 倉林潮 |
月の影隠れしうさぎ誘ひたり | 浦野和子 |
茶柱とともに呑みこむ今日の月 | 鈴木英雄 |
酔ひ醒めて月は一つとなりにけり | 大津浩 |
月青しフォッサマグナの岩肌に | 山田瑛子 |
遠回りして月光の人となる | 小林久夢 |
月見上ぐ埴輪のような童子かな | 中村光男 |
満月や金銀銅と変化をし | 坂井寛也 |
洞門をくぐりて眩し萩の群れ | 町野夜香木 |
月照らす沼のほとりの河童の碑 | 鈴木晴雄 |
月光や山嶺黒く際立てり | 船橋貞夫 |
里山に蜻蛉追いかけ網が舞う | 石渡静江 |
秋風のひらりシーツを乾かしぬ | 渡辺伊世子 |
稲光遣らずの雨と祖母ぽつり | 小野舞子 |
笛吹けば虫の仲間の心地する | 栖村舞 |
ブラインドひっぱり上げて秋高し | 伊藤良博 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)8月28日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「朝顔」「当季雑詠」 | |
空の紺奪ひ朝顔咲き上がる | 内山眠龍 |
路地裏に朝顔の藍炸裂す | 鈴木英雄 |
朝顔や勝手気ままな遊び蔓 | 山田瑛子 |
朝顔の市賑わいて半被の背 | 渡辺伊世子 |
朝顔の墨絵の和紙に夕の膳 | 町野夜香木 |
朝顔のやはらやはらと開けけり | 栖村舞 |
宵涼み闇に咲き散る火の粉かな | 鈴木晴雄 |
空蝉の命いづこに弾けたる | 坂井寛也 |
朝顔や宵の名残のこむらさき | 小林久夢 |
口づけをしたし朝顔紺の艶 | 船橋貞夫 |
朝顔の蔓の行き先風の中 | 倉林潮 |
乱舞する跳人の熱気倭武多かな | 石渡静江 |
秋桜も首かしげてる待ちぼうけ | 滝澤千恵子 |
短髪の頭濡らすや汗拭い | 浦野和子 |
秋めくや遠きビル群近く見ゆ | 大津浩 |
たっぷりと目薬たらし夏終わる | 中村光男 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)7月24日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「夕凪」「当季雑詠」 | |
四肢五体悶え唸りし猛暑かな | 内山眠龍 |
滴りや苔に溢るる日の匂ひ | 町野夜香木 |
夕凪や物憂く浮かぶ小舟かな | 船橋貞夫 |
夕凪や地下道隅に占ひ師 | 山田瑛子 |
どくだみも摘めば窓辺の花となり | 浦野和子 |
夕凪や膚ほとびて麩となりぬ | 栖村舞 |
シロップをかけて食べたや夏の雲 | 中村光男 |
夕凪やトロントロリと波の音 | 坂井寛也 |
夕凪に縁台将棋で気を晴らす | 石渡静江 |
夕凪や浅瀬の浜の砂温し | 渡辺伊世子 |
樹脂製の壜に音なしラムネ玉 | 大津浩 |
夾竹桃町工場の機械音 | 倉林潮 |
開聞岳湖は夕凪逆さ富士 | 鈴木晴雄 |
遠き日の逡巡悔やむ熱帯夜 | 鈴木英雄 |
夕凪やつり糸たれて時すぐる | 伊藤良博 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)6月19日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「蟻」「当季雑詠」 | |
麦青む満山の風貰い受け | 内山眠龍 |
蟻一つ座敷に迷い塵となり | 坂井寛也 |
蟻もまた流されてるや大津波 | 中村光男 |
黴の香を残す色紙やひとり言 | 倉林潮 |
蟻一匹二匹三匹雨もよひ | 小林久夢 |
里山の土は香し蚯蚓出づ | 船橋貞夫 |
十薬や寺の窟を守りをり | 大津浩 |
ピンク色庫内に灯る新生姜 | 小野舞子 |
あかあかと篝火たきて鵜飼い船 | 石渡静江 |
麦飯の大釜で炊く昭和かな | 町野夜香木 |
虫干しや着物の数ほど若返り | 浦野和子 |
しゃがみこみ蟻指で追う幼い子 | 滝澤千恵子 |
蟻せっせ己が怠惰をふと思う | 山田瑛子 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)5月15日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「新茶」「当季雑詠」 | |
新緑の森や鳥語も艶めきて | 内山眠龍 |
新茶呑む今日は珈琲淹れない日 | 坂井寛也 |
夏来るホースの中を水走る | 中村光男 |
名瀑にゆれる若葉や手打ちそば | 船橋貞夫 |
沢蟹や岩場に光る水のあと | 町野夜香木 |
しゃくなげの崩れる紅に惑わされ | 倉林潮 |
走り根を掴んであがく登山道 | 小野舞子 |
マネキンの海恋う如し街薄暑 | 山田瑛子 |
緑さす蕎麦屋縁台去りがたし | 大津浩 |
母投げし種は実を成し青き枇杷 | 浦野和子 |
新茶汲み妣と茶箱を思い出す | 鈴木晴雄 |
新緑のシャワーを浴びてウォーキング | 石渡静江 |
老鶯の声頼もしき山路かな | 小林久夢 |
渡る風若葉踊りて谷さわぐ | 渡辺伊世子 |
風そよぐ岩場の上の夏蜜柑 | 滝澤千恵子 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)4月10日(土) 横浜市都筑区 | |
「都筑区の緑道・公園」吟行 | |
一花散り百花舞はすも風の技 | 内山眠龍 |
のどけしや「う」と彫る石の耳持たず | 久保榮子 |
ふじやとのみちに巳の石花の塵 | 大津浩 |
考古学のさわりに触れてうららかな | 山田瑛子 |
誰か貌の見えぬ古墳に春の草 | 倉林潮 |
芝青む竪穴住居の土湿り | 矢口治美 |
古民家の茅葺屋根や木の芽晴 | 滝澤千恵子 |
雪柳花嫁姿遠からじ | 小野舞子 |
花筏水面の雲の上にあり | 中村光男 |
花いかだ風の足跡描きたり | 坂井寛也 |
句を拾ふ小流れの道芹の花 | 市村英子 |
たんぽぽのここにおわすと丸い顔 | 渡辺伊世子 |
散り乱れなほ美しきさくらかな | 小林久夢 |
石群の干支を探しつ春めぐり | 石渡静江 |
ささ流れ澱みを染める花吹雪 | 鈴木晴雄 |
四阿に風の走りて若緑 | 船橋貞夫 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)3月20日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「ものの芽」「当季雑詠」 | |
逆立ちの足梅東風に遊ばせて | 内山眠龍 |
朽ちてなほものの芽出づる榾木かな | 倉林潮 |
ものの芽のはや色秘めり濃く淡く | 大津浩 |
ものの芽の競い合いしや風匂ふ | 坂井寛也 |
はこべらや水は天へと連なれり | 小林久夢 |
ものの芽やついに来たりし赴任の日 | 中村光男 |
暗闇に姿は見えぬ沈丁花 | 滝澤千恵子 |
ものの芽やけぶる雨触れ艶に見ゆ | 鈴木晴雄 |
声弾み菜の花堤スキップし | 石渡静江 |
春光や鯉さわがしき野川かな | 船橋貞夫 |
汽水湖に漁るあまた蜆舟 | 山田瑛子 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)2月20日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「冴返る」「当季雑詠」 | |
春立つや漲るものを持て余す | 内山眠龍 |
冴返る中に仁王の目玉かな | 小林久夢 |
冴返る木を切る斧のひびきあり | 倉林潮 |
冴返る水琴窟の響く京 | 大津浩 |
冴え返るチャルメラの笛泣いて行く | 山田瑛子 |
冴え返る金剛力士のやせ我慢 | 坂井寛也 |
天神の絵馬の数ほど梅の花 | 渡辺伊世子 |
拍子木の音きんきんと冴え返る | 中村光男 |
大租堂読経ひびき冴え返る | 石渡静江 |
冴返る母の回忌や鉦の音 | 船橋貞夫 |
梅東風や座の老若の声弾む | 鈴木晴雄 |
冴え返るホットチョコと君とぼく | 小野舞子 |
夜話の白い吐息に冴返り | 滝澤千恵子 |
無断転載不可 |
平成22年(2010年)1月23日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「寒鴉」「当季雑詠」 | |
張りつめし大気を蹴るや寒鴉 | 内山眠龍 |
寒鴉癇癪持ちもおりにけり | 坂井寛也 |
清水の舞台めがけて寒鴉 | 中村光男 |
寒鴉監視カメラに近き枝 | 大津浩 |
誰が置きし遮断機脇に注連飾 | 山田瑛子 |
水仙をつめば身に添ふ香かな | 小林久夢 |
駅伝を見下ろし応援寒鴉 | 石渡静江 |
夕やみに寒鴉ただ気配のみ | 滝澤千恵子 |
堂々と路地を徘徊寒鴉 | 鈴木晴雄 |
紅梅やほっぺの赤い子年いくつ | 倉林潮 |
寒鴉畦の中いく夕翳り | 船橋貞夫 |
朝焼けの冴えて水平線に船 | 渡辺伊世子 |
無断転載不可 |