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兼題季語 | 寒椿 | 水温 む |
雲雀 | 朧 | 花水木 | 草茂 る |
日傘 | 蝉 | 衣被 | 称名寺 吟行 |
茶の 花 |
湯ざ め |
平成21年(2009年)12月19日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「湯ざめ」「当季雑詠」 | |
湯ざめなく湯女の壁絵を囃しけり | 内山眠龍 |
早よ来いや湯冷めするぞと婆の声 | 坂井寛也 |
石投げてカンと鳴りそう冬の月 | 渡辺伊世子 |
湯ざめして鏡見つめるにきび面 | 大津浩 |
シナリオもなくまた星の飛びにけり | 中村光男 |
冬の田や箒木の影一枚に | 倉林潮 |
湯ざめすな妻に言いつつ一人酒 | 船橋貞夫 |
湯ざめして猫抱き寄せて寝につきぬ | 山田瑛子 |
ほどほどに電話切りたし湯ざめかな | 石渡静江 |
枯菊のまだまとひをる香かな | 小林久夢 |
日記買いあてなき日々も胸はずむ | 滝澤千恵子 |
ガラス戸をたたく木枯らし陽がまぶし | 鈴木晴雄 |
無断転載不可 |
平成21年(2009年)11月21日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「茶の花」「当季雑詠」 | |
ほろほろと散れば濡るるも初時雨 | 内山眠龍 |
白き朝茶の花露に飾られし | 渡辺伊世子 |
茶の花やろくろを廻す娘は三十路 | 倉林潮 |
格子戸に影うつしてや柿すだれ | 石渡静江 |
しんがりに付いて穏やかお茶の花 | 山田瑛子 |
茶の花や寂寞として畦にあり | 船橋貞夫 |
風に舞う落葉踏みしめ行く走者 | 鈴木晴雄 |
茶の花やまぶしいほどの富士の峰 | 矢毛石幸子 |
茶の花の黄色の蘂や恋心 | 中村光男 |
茶の花に定まりきれぬ日和かな | 小林久夢 |
茶の花の白さ哀しき喪服かな | 坂井寛也 |
茶の花の垣を挟みてご挨拶 | 大津浩 |
茶の花や黄金のしべをかくし持つ | 滝澤千恵子 |
無断転載不可 |
平成21年(2009年)10月17日(土) 横浜市金沢区 | |
「称名寺」吟行 | |
秋風を添はせ色即是空かな | 内山眠龍 |
水澄んで朱の橋揺らすものの影 | 松田初枝 |
風の中甲羅に一葉落したり | 渡辺伊世子 |
ここよりは結界となり初紅葉 | 山田瑛子 |
どんぐりのころころころと浄土まで | 中村光男 |
走り根は隧道いだき秋寒し | 市村英子 |
紅葉寺四方より鳶の笛囃す | 矢口治美 |
三界をつなぐ反橋薄紅葉 | 鈴木晴雄 |
水澄みて平橋反橋影映す | 石渡静江 |
秋の山息はずませてけもの道 | 滝澤千恵子 |
穂芒の影の静けさ秋の水 | 小林久夢 |
鯉はねて水面にゆれるすすきかな | 矢毛石幸子 |
秋惜しむ池面に滲む橋の紅 | 倉林潮 |
反橋を駆ける靴音秋澄めり | 久保榮子 |
音絶えし中世の隧道秋の風 | 川副正枝 |
朱の橋を渡る足音薄紅葉 | 大津浩 |
三界に遊ぶ心地ぞ寺の秋 | 船橋貞夫 |
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平成21年(2009年)9月19日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「衣被」「当季雑詠」 | |
くそ坊主するりつるりと衣被 | 内山眠龍 |
皮むけば目鼻入れたし衣被 | 矢毛石幸子 |
夫婦とは老とは萩のこぼれをり | 小林久夢 |
恥じらいつ風に揺らめく紅芙蓉 | 船橋貞夫 |
遠き地の岩塩つけて衣被 | 中村光男 |
衣被地蔵顔かな盆の上 | 渡辺伊世子 |
焼塩を捜す男の衣被 | 大津浩 |
避難場所くつろぎかもす衣被 | 鈴木晴雄 |
衣被真白きほほを上気させ | 滝澤千恵子 |
役目終え汚れ気になる秋日傘 | 石渡静江 |
松ぼくり今日はいいことありそうな | 倉林潮 |
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平成21年(2009年)8月15日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「蝉」「当季雑詠」 | |
空蝉や記憶すっぽり抜け落ちて | 内山眠龍 |
蝉の穴覗けば遙かなる昔 | 小林久夢 |
空蝉や吾が足跡の消え難し | 倉林潮 |
空蝉の並ぶや縁ある如く | 中村光男 |
はめ絵してとんでばんざい汗かきつ | 鈴木晴雄 |
皮靴の外人混じり盆踊 | 大津浩 |
初孫の頭に余る夏帽子 | 船橋貞夫 |
水槽に水母ただようほのあかり | 滝澤千恵子 |
どくだみの臭い許すや白い花 | 石渡静江 |
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平成21年(2009年)7月18日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「日傘」「当季雑詠」 | |
マドンナと云われ日傘を回しけり | 内山眠龍 |
古日傘かもめかもめといふ遊び | 小林久夢 |
日傘してあくびしている昼下がり | 中村光男 |
ハイカラな老女帽子に白日傘 | 大津浩 |
パラソルに見え隠れするランドセル | 矢毛石幸子 |
パラソルの下で寝ころびハワイアン | 渡辺伊世子 |
サクランボ元気ですかと宅配便 | 石渡静江 |
あぐらかき熟れしトマトをかじる午後 | 滝澤千恵子 |
菖蒲田の溢れる水に咲き揃い | 鈴木晴雄 |
よしきりの声先導に暗き道 | 倉林潮 |
夏霧や淡水彩に森を描く | 船橋貞夫 |
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平成21年(2009年)6月20日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「草茂る」「当季雑詠」 | |
蒼穹を掬い取りけり岩燕 | 内山眠龍 |
廃校舎錆びし鉄棒草茂る | 中村光男 |
草茂る尽きぬ生命のほとばしる | 渡辺伊世子 |
草茂り踏み分け入りてかくれんぼ | 石渡静江 |
草茂る初音が原に大き富士 | 船橋貞夫 |
産院の医師不足とや草茂る | 倉林潮 |
朗朗と老鶯届く休み茶屋 | 大津浩 |
夏萩に筧の水の音ばかり | 小林久夢 |
庭の木に隠れてやすむかたつむり | 矢毛石幸子 |
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平成21年(2009年)5月16日(土) 戸塚地区センター | |
兼題 「花水木」「当季雑詠」 | |
花水木影にも匂ひありにけり | 内山眠龍 |
カタカナの通り塵なし花水木 | 大津浩 |
大川の空ほしいまま鯉のぼり | 中村光男 |
花水木風にはじいて大の笑み | 渡辺伊世子 |
呻けども産土恋し蟇 | 倉林潮 |
行く川の水音かそけし花水木 | 小林久夢 |
月影におとなう人や花水木 | 鈴木晴雄 |
海棠の紅に招かれ光則寺 | 船橋貞夫 |
夕暮れに白さを増して花水木 | 矢毛石幸子 |
垣根越し花水木咲く散歩道 | 石渡静江 |
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平成21年(2009年)4月18日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「朧」「当季雑詠」 | |
人影の寄り別るるも朧かな | 内山眠龍 |
鐘の音の朧なりけり草の宿 | 小林久夢 |
花吹雪分けて江ノ電現わるる | 倉林潮 |
彼岸寒花のいのちを存へり | 鈴木晴雄 |
無残かな宴終りし落ち桜 | 船橋貞夫 |
パーキングエリア人消え星朧 | 大津浩 |
朧夜や動く影ある露天の湯 | 中村光男 |
おぼろ月盃かわす友もなし | 矢毛石幸子 |
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平成21年(2009年)3月21日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「雲雀」「当季雑詠」 | |
風の尾となり一天に揚げ雲雀 | 内山眠龍 |
桃の花巫女の摺り足裾捌き | 倉林潮 |
辛夷咲く高さに夕の月淡し | 小林久夢 |
城跡の草原ゆれて揚雲雀 | 鈴木晴雄 |
名演の余韻にひたり朧月 | 大津浩 |
春光の透き通りゆく青菜かな | 中村光男 |
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平成21年(2009年)2月21日(土) 野毛地区センター | |
兼題 「水温む」「当季雑詠」 | |
下萌への野を従へて川肥る | 内山眠龍 |
水温むろくろの陶土に細き指 | 倉林潮 |
水温む水琴窟の音柔ら | 大津浩 |
ばばの手のほっこりとして桃の花 | 小林久夢 |
水温む声弾ますや園の艶 | 矢毛石幸子 |
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平成21年(2009年)1月31日(土) 戸塚地区センター | |
兼題 「寒椿」「当季雑詠」 | |
寒椿振り向かせてや野辺の媚 | 内山眠龍 |
寒椿客凜と坐す茶室かな | 大津浩 |
ます酒の酔いも早しや寒椿 | 矢毛石幸子 |
身ぐるみを削がれ鮟鱇吊られをり | 小林久夢 |
情念を花芯にとどめ寒椿 | ほたる |
寒椿茶店手伝う娘の笑窪 | 倉林潮 |
あるがままの生き方変えず寒椿 | てる子 |
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