長い間待望した「みどりの風」の新施設がついに完成し、サービスを開始する運びとなりました。ここに至るまでには紆余曲折、何度もの設計変更があり、一時、社会福祉法人の認可の手続きが頓挫して着工そのものの断念すら覚悟したこともありました。それらの困難を乗り越えて新施設建設が実現したのは、法人設立準備の過程に当初から参加し、私たちの理想にもっともふさわしい建物のあり方を一緒になって考え、献身的に設計・監理にあたって下さった、象地域設計の皆さまのご尽力の賜物です。私たちのモットーは「地域と共にある、地域に開かれた」施設の運営です。利用者(主として知的障害を持つ人)を、私たちは『仲間』と呼びますが、仲間たちもゲストでなく、ホストとして地域の人々と接し、地域と共に歩むことを目指しています。新施設には、それにふさわしいデザインや工夫が各所に施されています。例えば通りに面したテラスで、近所の人たちが気軽に立ち寄り、仲間たちが焼いたパンやクッキーでお茶のひとときを楽しめるたたずまいなど。障害があっても、人それぞれがもつ違いの一つとして、互いに受け入れあい、全ての人が共存するインクリュージョン(違いを乗り越え互いに包み合う)の世界を求めて、力強く生きていく、そのための拠点が与えられたことを心より感謝いたします。
(社会福祉法人緑の風理事長)
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